真夏のランニング練習中に熱中症にならないための全対策マニュアル!

ランニング知識

真夏のランニング練習は暑いですが、気持ちよい汗をかけますよね。しかし油断していると、どんなに元気な人でも熱中症を発症してしまう恐れがあります。私の経験上、熱中症は「心・技・体」の3つの対策を行うことが大切です。

  • 「心」過信しない
  • 「技」適切な水分&塩分補給
  • 「体」体調を整える

この記事では熱中症の話と真夏のランニング練習における熱中症対策を「心・技・体」分けて紹介します。

熱中症とは

汗をかいて体内の水分や塩分が減少し、体温が上昇することで現れる症状の総称です。症状が悪化すれば後遺症が残ったり、最悪は死に至る可能性があります。しかし、適切に対策を行えば防ぐことができます。

どのようにして起こるのか

熱中症は「環境」「からだ」「行動」の3つの要因が重なったときに発症する恐れがあります。

3つの要因
・「環境」気温や湿度が高い
・「からだ」二日酔いや寝不足といった体調不良
・「行動」激しい運動

真夏のランニングは、これら要因のうち「環境」と「行動」を避けることはできません。「からだ」の要因に対して対策を行う必要があります。

参考記事

環境省熱中症予防情報サイト『熱中症はどのようにして起こるのか?』

真夏のランニング練習における熱中症対策

真夏のランニングは体に大量の熱がこもるため、熱中症の危険が高くなります。熱中症に対する確かな知識を念頭に、「心・技・体」揃った対策を行うことが熱中症対策に大切です。

「心」過信しない

私はどのような物理的な対策よりも「心」の対策を重要視しています。なぜなら熱中症対策を行うのか行わないのかを決めるのは、本人の心持ち次第だからです。

誰しも

「自分は熱中症にかからない」

「暑さに慣れているから大丈夫」

「熱中症になってもちょっとしんどいだけ」

と熱中症を甘く考えて、自分の能力を過信してしまいがちです。

熱中症はどんなに元気な人でも対策を怠れば発症する恐れがあるということを肝に銘じて、自分の能力を過信しないことが一番重要な対策です。

私の過去の失敗

忘れもしない2013年4月14日に開催されたユニセフカップ2013芦屋国際ファンランのハーフマラソン。朝ごはんをしっかり食べて、体調も万全の状態で挑みました。

すこぶる調子がよく、自己ベストを大幅に更新できるペースで走っていましたが、この調子のよいペースを乱したくなかったことと、フルマラソンの経験からハーフマランを甘く考えてしまい、給水所で給水しないといった暴挙にでてしまいました。

異変は15kmを過ぎたところから現れました。急激な足の重みと頭痛によりペースは大幅にダウン。

18km地点では走ることができなくなり、20km手前でめまいを起こし、まっすぐに歩くことができなくなりました。

なんとか完走しましたが、そのまま救急エリアに運ばれて熱中症の処置を施されました。結果も最悪、周りにも迷惑をかけてしまい何も良いことのなかったマラソン大会になってしまいました。

この失敗は、ひとえに「調子が良いから給水しなくても大丈夫」といった自分の能力を過信したことが問題です。みなさんは自分の能力を過信をせず、適切な熱中症対策を行ってください。

「技」適切な水分&塩分補給

水分と塩分の補給はとても大切な熱中症対策です。しかし補給方法を誤ると意味のない対策になってしまう場合があります。

適切に水分と塩分を補給するコツは以下の3つです。

  • 水分と塩分を同時にとる
  • 計画的にとる
  • 練習コースにコンビニを組み込む

水分と塩分を同時にとる

汗を大量にかいたときに、水分だけを補給すると低ナトリウム血症により、吐き気やこむら返りなどの症状を起こす可能性があります。水分補給は真水ではなく、塩分0.1 ~ 0.2%程度の食塩水(1ℓの水に1 ~ 2gの食塩)を摂取することが大切です。

低ナトリウム血症とは

市民マラソン、ウルトラマラソン、トライアスロン等数時間~十数時間に及ぶスポーツでは、塩分の摂取不足や水の過剰摂取によって低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度の低下)が少なからず起こることが報告されています。
軽症では無症状のこともありますが、倦怠感、吐き気、嘔吐、筋肉のこむら返り等の症状がみられます。重症では肺水腫(肺に水がたまった状態)や脳浮腫(脳がむくんだ状態)から呼吸困難や意識障害等の症状が起きます。

引用元:環境省熱中症予防情報サイト『運動・スポーツ活動時の注意事項』

参考記事

環境省熱中症予防情報サイト『運動・スポーツ活動時の注意事項』

計画的にとる

一度に多量に水分を摂取しても、大部分は吸収されず排出されてしまいます。いわゆるがぶ飲みをすると熱中症対策になりません。水分&塩分補給は自身の体調と練習距離に合わせて、計画的に摂取することが重要です。

私が10kmを走るときの水分&塩分補給を一例に挙げると、500mlをスタート、5km、ゴールの計3回に分けて摂取しています。

参考記事

済生会横浜市東部病院 周術期支援センター センター長 谷口 英喜 先生『脱水症と水分補給 ~予防と治療を明確に~』

練習コースにコンビニを組み込む

真夏のランニング練習では、熱中症対策のために飲み物を携帯して走ることをおすすめしますが、そのようなアイテムをお持ちでない方もおられると思います。また想定以上に汗をかいて給水が追い付かないときもあります。

そのような場合でも、練習コースにコンビニを組み込んでおけば、給水所のように使うことができます。

またコンビニを組み込むことの利点として、冷たい飲み物を購入できるといったことが挙げられます。冷たい飲み物は常温の飲み物より熱中症対策に効果的です。理由は2つあります。

  • 冷たい水は深部体温を下げる効果があるから
  • 胃にとどまる時間が短く、水を吸収する器官である小腸に速やかに移動するから

コンビニをうまく活用すれば熱中症対策にとても効果的です。

参考記事

環境省熱中症予防情報サイト『運動・スポーツ活動時の注意事項』

「体」体調を整える

ランニング練習の前日に過度のアルコールを摂取したり、夜更かしをしていませんか。熱中症対策には当日の対策だけでなく、前日から体調を整えておくことが大切です。

前日は飲みすぎない

夏は宴会シーズン、ついついお酒を飲みすぎてしまいます。しかし次の日にランニングをするのであれば、控えめにする方がよいです。

アルコールは利尿作用があるので、体内の水分を吸収した以上に排泄してしまいます。

もちろんランニングあとの一杯も、お酒ではなく食塩水かスポーツドリンクにしましょう。

参考記事

済生会横浜市東部病院 周術期支援センター センター長 谷口 英喜 先生『脱水症と水分補給 ~予防と治療を明確に~』

睡眠をとる

睡眠不足は体温調節機能を狂わせてしまい、熱中症の発症リスクを高める可能性があります。ランニング練習の前日はしっかりと睡眠をとることが大切です。

参考記事

独立行政法人労働安全衛生総合研究所『睡眠不足による暑熱負担の憎悪と予防対策』

まとめ

熱中症を甘く見ると死に至る可能性があり大変危険です。楽しいランニングを続けるためにも、真夏のランニング練習では「心・技・体」揃った熱中症対策を行いましょう。