左右差を減らして、ランニングの故障を防ぐ

ランニング知識

ランニングで故障したときに、左右どちらか片方に痛みを感じる方は多いのではないでしょうか。片方だけに痛みを感じるのは、身体の使い方の左右差が原因かもしれません。人は利き手があるように利き脚があります。

右脚が利き脚の場合、ランニングで右側の負担が大きくなり、身体の右側を痛めるケースが多いです。逆に利き脚でない左側が上手く使えず、身体の左側に故障が出るケースもあります。どちらにしろ、片方だけを痛めた場合、身体の左右差が関連している場合が多いです。

左右差を完全に無くすことは難しいのですが、左右差を減らすと故障の原因を根本から改善することになります。

身体の左右差とランニング

ランニングは身体を左右均等に使うのが理想です。身体には左右差があるので均等に身体を使うことは難しいです。左右差をなくすことはできませんが、左右差を減らすことはランニングによる故障のリスクを減らすことになります。

身体の左右差は誰にでもあります

人間は利き手、利き脚があります。多くの人は右手、右脚が利き脚です。日常生活では利き手を多く使うことになり、左右差が発生します。利き脚は日常生活では意識しないことが多いのですが、知らずのうちに利き脚を多く使っています

例えば床に座った状態から立ち上がるときに、どちらの膝を立ててから立ち上がるでしょうか?多くの人は利き脚の膝を立ててから立ち上がっているはずです。利き脚でない脚を立ててから立ち上がると違和感を感じるかも知れません。

ランニングは左右均等に使う運動

様々なスポーツがある中で、ランニングは左右を均等に使う運動です。トラック競技の場合はトラックを反時計回りに走るので、右側への負担が多くなりますが、ロードレースでは左右を均等に使って走るのが理想です。

競技によっては左右が非対称の動きもあります。道具を使った競技は左右を非対称に使うものが多いです。野球、テニス、卓球、ゴルフは典型的な左右非対称の運動です。サッカーやラグビーのように左右をできるだけ対象に使うのが理想の球技もありますが、多くの選手は利き脚側を得意にしています。

姿勢が左右非対称になっている人もいる

後姿を見て明らかに左右の肩の高さが違っている人がいます。元々骨格に問題がある人もいますが、多くの場合、日常生活での左右差が原因で姿勢が崩れているのです。原因で最も多いのが荷物を片方に持つ癖です。バッグを左側に持つ癖がある人は左肩が上がります。

骨盤の高さが左右で違っているケースもあります。赤ちゃんを右側で抱っこすると右の骨盤で支えようとして右側の骨盤が上がってきます。

必ずしも左右差があるのが悪いわけではない

ランニングフォームを見ていて、明からに左右差があるランナーも多くいます。見た目が綺麗なフォームで走りたい方は修正すべきですが、特に故障をしないで走れている場合は無理に修正しなくても良い場合があります。

人間の骨は左右全く同じ長さではありません。脚の長さも左右で違う人がほとんどです。走るときに元々ある左右差の、バランスをとるために左右差があるフォームで走っている場合があります。無理に直すと逆に左右のバランスが崩れてしまうかも知れません。

左右差を治した方が良いランナー

人間の身体は骨格レベルで左右差があります。利き脚側を使いやすいのは自然なことです。ランニングをするときに左右差が出るのは当然ですが、左右差は減らした方が良いです。特に身体の片方だけを故障しがちなランナーは、ランニングフォームの左右差を見直す価値があります。

初心者ランナー

初心者はランニングフォームが固まっていないピュアな状態なので、良い姿勢、良いランニングフォームを最初から身に付けやすいです。自分では良い姿勢、良いランニングフォームが分かり難いので、信頼できるパーソナルランニングコーチに一定期間教わるのがおすすめです。

左右どちらかを故障しがちなランナー

故障するのが左右どちらか片方の場合、左右差が原因の場合が多いです。利き脚側への負担が大きくなり利き脚側を故障するケースが多く見られます。利き脚とは反対側が上手く使えずに痛めてしまう場合もあります。

どちらの場合も利き脚と反対側を上手く使えるようにトレーニングすることになります。

ランニングのパフォーマンスを上げたいランナー

中級、上級ランナーでトレーニングをしてもタイムが頭打ちで伸びないランナーは左右差を改善するのがおすすめです。ランニングは左右交互に重心を移動させるリズムが大切です。左右差があるとリズムが乱れてしまいます。

利き脚と反対側の筋力アップもランニングパフォーマンスのアップに役立ちます。

姿勢の左右差を改善するヒント

自分の姿勢がどうなっているのか、自分では分かり難いです。左右差は鏡を見ることで確認できます。第三者に診てもらうのが一番よい方法です。

鏡を見て姿勢の左右差を確認する

簡単にできるのは全身が映る鏡の前に立ち、姿勢の左右差を観察することです。服を脱いで下着姿の方が分かりやすいです。見るポイントは肩のラインと骨盤のラインです。左右でどちらかが高いかを確認しましょう。

荷物を片方だけで持つのをやめる

姿勢の左右差ができる多くの原因は荷物を片方だけで持つ癖です。できれば荷物はリュックタイプのバックに入れて持つのがおすすめです。仕事上でどうしても片手で持つタイプのバックを使う人は、左右交互に持ち替えるようにしましょう。

セルフケアはストレッチ

姿勢の左右差は片方の筋肉が固まっている場合もあります。簡単にできるセルフケアは全身のストレッチです。全身をバランスよく動かしましょう。ラジオ体操はバランスのとれた動的ストレッチです。しっかりと身体を使う意識をしながら行うと効果的です。

ランニングの準備体操も全身を動かす良いストレッチです。

ランニング前に準備体操、ストレッチは必要?何で必用なの?どんなことをすれば良いの?

信頼できる治療院にいく

凝り固まってしまった身体は中々元には戻りません。信頼できる鍼灸院、マッサージに行くのがおすすめです。良い先生は鍼やマッサージでほぐすだけでなく、姿勢改善に効果的なエクササイズやストレッチを教えてくれます。

左右差の改善は左右差を感じることから始める

姿勢を改善させながら並行して、身体の動きでも左右差を減らしていきましょう。左右差を減らすには自分自身が左右差を感じる必要があります。身体の動かし難さ、力の弱さなどを左右で比べて感じていきましょう。

左右差を感じないのは身体の感覚が弱い証拠

右と左を別々に行なうエクササイズを行っても左右差を感じないという人がいます。利き脚があるので、左右差は必ずあるのですが、左右差を感じる感覚が弱いのです。左右別々のエクササイズを繰り返し行って、苦手な側がどんな風に上手くできないのかを感じることが左右差を治す第一歩です。

ストレッチで左右差を感じる

ストレッチでの左右差は感じやすいです。筋肉が伸び難い側を感じてみましょう。苦手な方の秒数を長くすることで少しづつ改善されていきます。硬いからといって無理に筋を伸ばしてはいけません。軽く伸びている状態の秒数を伸ばします

エクササイズで左右差を感じる

身体の動きで左右差を感じるには、左右別々で行うエクササイズが良いです。エクササイズで左右差を感じたら、どの部分の筋肉が上手く使えていないのかを細かく感じていきます。

左右差を無くすエクササイズは、利き手でない側の手で文字を書く訓練に似ています。使えていない筋肉を目覚めさせていくのです。地味でじれったい作業ですが、筋肉の動きを感じながら使えるようにしていきましょう。

左右差を改善させるエクササイズ

左右差を改善させるストレッチ・エクササイズの例を紹介します。左右別々の動きであれば、改善させるエクササイズになります。大切なのは左右での筋肉の伸び、動きの違いを意識し、左右が同じように使えるようにさせるのがポイントです。

ストレッチ

動画では10秒程度ですが、20~30秒行ってください。苦手な方は秒数を多くします。無理に伸ばそうとしないで、伸びを感じたところで止めてキープします。

ももうら

もも前

ふくらはぎ

ももの外

ももの内側

エクササイズ

丁寧に行い、左右差を感じ、改善しましょう。苦手な方を多く行います。筋トレではないので回数を決める必要はありません。苦手な方を得意な方と同じように使えるようにすることが目的です

カーフレイズ

片足スクワット(膝関節)

片足スクワット(股関節)

バランス

エクササイズと同じく、苦手な方を改善するのが目的です

片足バランス

片足ケンケン

まとめ

人間の身体には左右差があります。先天的に左右の骨の長さは微妙に違いますし、利き手、利き脚もあります。ランニングで左右差があるのは必ずしも悪いことではありません。故障が右か左のどちらかにしか出ない場合、左右差が原因の可能性があります。

左右差を減らすことで故障の原因が改善されます。ランニングのパフォーマンスを上げるためにも左右差を減らすことは有効です。

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しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。