ランニングフォームを直した方が良いランナー、直さない方が良いランナー

ランニング知識

パーソナルのランニングコーチをしていると「ランニングフォームをチェックして悪いところを治してください」という依頼が多くあります。ランニングフォームが良くなればもっと楽に速く走れるようになると思っているランナーは多いのではないでしょうか。

良いランニングフォームは目的によって違います。各ランナーの筋肉量、骨格、関節可動域によっても違ってきます。理想のランニングフォームを見つけることはとても難しいことです。フォームを変えると今までと違う身体の動きをすることになります。

無理にフォームを変えると違和感が出て無駄な力が入ったり、故障に繋がることもあります。

ランニングフォームを治すメリット

ランニングフォームを治す目的はランナーの目標によって違います。理想のランニングフォームはランナーによって違いますが、共通するメリットが幾つかあります。

効率の良い走りになる

「もっと楽に気持ち良く走れるようになりたい」と思っているランナーは多いです。目的が「速く走りたい」でも「楽に走りたい」でも、ランニングフォームを治すことで目標に近づくことができます。

ランニングフォームを治すと動きが効率的になるのです、同じ力を使っても効率が良いフォームだと楽に速く走ることができます。

故障をし難くなる

膝や足が痛くなって走ることができなくなるのは残念なことです。走りたくても走れなくては目標に近づくことができません。ランニングで膝や足が痛くなる故障は、ランニングフォームが原因の場合はが多いです。

一ヶ所に負担がかかるフォームは長い距離を走ると故障に繋がりやすいです。身体への負荷を分散させ、理にかなった身体の使い方をするフォームで走ると故障のリスクが減ります。

目標達成に近づく

楽に走れるようになり、故障が無くなれば、ランナーの目標に近づいていきます。「目標タイムをクリアしたい」「フルマラソンを完走したい」「健康的にランニングを習慣にしたい」などランナーも目標は様々です。

良いフォームはランナーを目標に近づけてくれます。

ランニングフォームを治すリスク

ランニングフォームを治すメリットは大きいのですが、リスクもあります。特に長い時間をかけて今のランニングフォームを身に付けたベテランランナーはフォームを治すことに注意が必要です。

ベテランランナーは違和感を感じる

ベテランランナーは今のランニングフォームが身体に馴染んでいます。馴染んだ感覚を治すには時間と努力が必要です。悪い姿勢が身についてしまった人が姿勢を治すために時間と努力が必要なのと同じです。

悪い姿勢を一時的に良い姿勢にすることは比較的容易です。骨盤の角度、位置を修正するだけで良い姿勢に改善されます。問題は今まで悪い姿勢に馴染んだ身体は良い姿勢に違和感を感じることです。無理に良い姿勢をキープすると疲れを感じてしまいます。

ランニングの場合も同じです。今まで身体に馴染んだフォームを治すのは大変なことです。

痛みが出てしまうこともある

フォームを変えると今までとは違う筋肉を使うことになります。今までと違う筋肉を使うと筋肉痛を起こすことがあります。筋肉痛であれば一週間程で治りますが、無理な筋肉の使い方をして筋肉や腱が炎症を起こすことがあります。

故障に繋がることもある

フォームを変えることで全体の動きのバランスが崩れることもあります。バランスが崩れることで、身体のどこかに痛みが発生し、故障してしまうこともあります。例えば骨盤を前傾させることで腰が反ってしまい、腰を痛めてしまうことがあります。

こんなランナーはフォームを治すべき

メリットもあり、リスクもあるランニングフォームの改善ですが、フォームを治すべきランナーもいます。

ランニングを始めたばかりのランナー

ランニングを始めたばかりのランナーは、身についたランニングフォームがありません。最初に良いランニングフォームの基礎を身に付けるのがおすすめです。

ランニングをすると痛みが出るランナー

ある程度ランニングを続けているランナーで、身体のどこかにランニングによる痛みが出ているランナーはフォームを治すのが良いです。痛みの原因はランニングフォームによる場合が多いからです。無理して痛みがひどくなる前にフォームを改善しましょう。

頭打ちになったタイムを打破したいランナー

ランニングを始めて4~5年経つとタイムが頭打ちになってきます。フルマラソンやハーフマラソンで自己ベスト記録の更新を目標に走っているランナーはタイムアップの方法を模索するのではないでしょうか。

トレーニング方法を変えたり、走る距離を伸ばすのも選択肢ですが、ランニングフォームの改善も視野に入れると良いです。フォームを治すリスクでも述べた通り、一時的に違和感を感じたり、痛みが出るケースがありますが、長い目で見ると改善のメリットは大きいです。

こんなランナーはフォームを治さない方が良い

フォームを治さない方が良いランナーもいます。周りから見て変なフォームに見える場合でも、その人には合ったフォームかも知れません。

問題が無く調子よくタイムが伸びているランナー

ランニングを始めて1~2年が経ち、身体に痛みが無く、順調にタイムや走れる距離が伸びているランナーはフォームを治さない方が良いです。今のフォームが身体に合っている可能性が高いからです。

走っていて身体に痛みが無いランナー

走っていて身体に痛みが無いランナーもフォーム改善はしない方が良いです。フォームを変えてどこかに痛みが出てしまうのは勿体ないです。走る距離伸びて、走るペースが上がると痛みが出てくるケースがあります。

痛みが出始めてからフォーム改善を考えても良いです。

勝負レースを控えているランナー

ランニングを始めて3年以上の中・上級者ランナーがフォーム改善をして直ぐに理想のフォームになることは稀です。むしろ改善したフォームが身体に馴染まないで苦労するケースが多いです。タイムを狙う勝負レースに向けてトレーニングを積んでいるランナーはフォーム改善をしない方が良いです。

フォーム改善をしてステップアップしたい場合は勝負レースが終わってからにしましょう。

ランニングフォームを治す方法

ランニングフォームを治す方法は幾つかありますが、おすすめはプロのランニングコーチに治して貰うことです。

自分で試してみる

自分で改善を試みるのは直ぐにできる方法です。ウエブや本の情報を参考に自分でいろいろと試します。ランニングの楽しみの一つは自分で工夫をして、自分の身体でトライ&エラーを繰り返して最適なものを見つけることです。

自分で試みるリスクとしては

  • 本やウエブの情報が自分に合っているとは限らない
  • 情報から間違った解釈をして、間違ったトライをしている
  • 自分のフォームを客観的に見るのは難しい

などがあります。

知り合いのランナーからアドバイスを貰う

知り合いのランナーからアドバイスを貰う方法もあります。フォームを見て貰い客観的な意見を貰うのは自分ではできない方法です。

リスクとしては

  • 知り合いのランナーのアドバイスが自分に合っているとは限らない
  • アドバイス自体が間違っている可能性もある

などです。

ランニングコーチに診て貰う

一番のおすすめは、プロのランニングコーチにフォームをチェックして貰い、改善レッスンをしてもらうことです。多くのランナーを診て改善してきたプロによる指導は適切で分かり易いです。

リスクとしては

  • しっかり診て貰うにはパーソナルレッスンとなるので費用がかかる
  • コーチの質によってレッスンの良し悪しがある

などです。

まとめ

ランニングフォームを改善するメリットはたくさんあります。故障しやすいフォームが治れば故障のリスクが減ります。効率の良いフォームになれば楽に速く走れるようになります。フォームの改善はベテランランナーほど難しくなります。

身体に馴染んだフォームを変えるのは違和感があったり、一時的に身体に痛みがでることもあります。フォームの改善はプロのランニングコーチに診て貰うのがおすすめです。

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しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。