ミズノの上級ランナー向けシューズ、ウエブデュエルを履いてみた

ランニング知識

市民ランナーでも上級ランナーはナイキの厚底シューズを履く割合が増えています。他のシューズメーカーもいろいろな試みで対抗しています。その中でミズノは上級ランナー向けに新しい路線を打ち出しています。

ナイキは厚底シューズにカーボンプレートを加えた上級ランナー用のモデルとしてリリースしています。ミズノの「ウエーブデュエル」は薄底シューズにプラスチックプレートを加えたシューズをリリースしました。

長年薄底シューズに慣れてきたベテランの上級ランナーはナイキの厚底シューズの感覚に馴染めない場合も多いです。ミズノ「ウエーブデュエル」をナイキ「フライニット」と比較しました。

ミズノ「ウエーブデュエル」の3つの特徴

ミズノ「ウエーブデュエル」は、前の上級ランナー用シューズの「ウエーブエンペラー」と比べて大きく変わりました。

プラスティックプレートを踵から前足部まで入れた

これまでのミズノシューズはプレートが中足部からかかとに入っていました。「ウエーブデュエル」では前足部からかかとまでプレートが入っています。ミズノが陸上競技のスパイク開発で培った技術をランニングシューズに応用しています。

シューレースでアッパーが絞めやすくなった

シューレースを締める紐穴の形状も変わりました。写真の左が「ウエーブデュエル」、右が「ウエーブエンペラー」です。紐穴の形状もスパイクで得たノウハウが活かされています

アッパー構造の変更

「ウエーブデュエル」は少し固めのアッパーを使っています。左が「ウエーブデュエル」、真ん中が「ウェーブソニック」のオールニットアッパー、右が「ウエーブエンペラー」です。

「ウエーブデュエル」は足のブレを無くすため、縦方向に固めの素材が使われ、シューズの内側に横方向に補強ベルトのようなパーツが加わっています

ベルト上の補強材がシューズ内部にあります。

履き心地を比較

ミズノの「ウエーブデュエル」とナイキの「フライニット」は対照的なコンプトのシューズです。履き心地を比較してみました。

アッパー

ウエーブデュエル:硬い印象

最近のランニングシューズはオールニットでアッパーが柔らかい感触のもの多いです。ウエーブデュエルは硬い感覚があります。走っているうちに馴染んでくるかも知れません。良く言えばしっかりしています。

ズームフライニット:柔らかく全体を包み込む

伸縮性の高いオールニットがアッパーに使われています。全体を包み込むように柔らかくフィットします。この包み込む感覚が嫌いなランナーもいるようです。

シューレース(靴紐)

ウエーブデュエル:しっかり締まる

新しいシューホールはシューレースがしっかり締まります。多少締め難いと感じますがしっかり締めると足に密着する感覚があります。シューホールはシューズ内部のベルトと連結しているので、シューレースをしっかり締めるとベルトも締まります。

締めすぎると足が痛くなることもあります。

フライニット:締め難く解けやすい

フライニットのシューレースは、紐自体が硬くて弾力性が少ないです。シューレースは締め難く、紐が解けやすいです。フライニットのシューレースは評判が悪く、シューレースを変えるランナーもいます。最新の「ズームフライネクスト%」ではシューレースも改良されています。

ミッドソール

ウエーブデュエル:薄底の心地良さを感じる

シューズを履いて歩いてみると、薄底シューズの接地感を感じます。地面にダイレクトに力を伝えられそうな感覚です。

フライニット:厚底シューズ独特の柔らかさ

立ってシューズに体重を乗せただけで、ナイキの厚底シューズ独特の柔らかさを感じます。慣れないと不安定に感じます。

実際に走った印象

1km5~3分50秒のペースで3kmづつ走りました。

ミズノ ウエーブデュエル

安定感

薄底シューズに慣れているという点を差し引いても安定感は高いです。ペースが遅いと着地で「カチャカチャ」と音がして馴染まない感じです。ペースを上げると着地音が短く小気味良くなり、安定感が増します。

1km4分を越えた辺りでも安定感は高いです。速いペースで走りやすいシューズです。

クッション性

上級ランナー向けの薄底シューズなのでクッション性は高くありません。特に低速で走るとほとんどクッション性を感じることができません。ベアフット系シューズ履いている感覚です。ペースを上げると硬いクッション性を感じます。

クッションというよりは反発性です。

反発性

地面からダイレクトに反発を感じます。ペースを上げた方が反発を高く感じることができます。足裏全体でのフラット着地を意識すると、より反発が高く感じられる気がします。プレートによる反発が感じられるのかも知れません。

ナイキ ズームフライフライニット

安定感

ゆっくりペースではしっかりと上手く重心をかけないと不自然にミッドソールが潰れる感覚があります。ペースが上がりリズムに乗れると反発性を利用した安定性が増してきます

クッション性

クッション性は非常に高いです。ゆっくりペースで走っても高いクッション性を感じます。ペースを上げた方がクッション性と反発性のバランスが良くなる気がします。

反発性

ゆっくりペースだとミッドソールからの高い反発を感じることができます。カーボンプレートの反発は余り感じません。ペースを上げてリズムに乗り、着地が上手くできたときはミッドソールから、より高い反発力を感じられます。カーボンプレートの反発も相乗効果になっているのかも知れません。

まとめ

ミズノ「ウエーブデュエル」とナイキ「フライニット」を比較しました。良くも悪くも正反対の印象を受けるシューズです。履き心地は「フライニット」が良く、着地の感覚は「ウエーブデュエル」が良いです。

どちらのシューズも違った意味で難しさがあります。「フライニット」は着地が上手くできると高い反発性を活かして走れます。「ウエーブデュエル」は身体全体を使った走りをしないとシューズの性能が活かせません。

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しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。