フルマラソンは長時間走ることで数多くのエネルギーを必要とします。そのエネルギーをカラダで作る時に必要なのが補給食です。補給食の適切な選び方と補給のタイミングを知っておくことであなたの目標達成はより現実的になるでしょう。
今回は準備を忘れてしまいがちな補給食について詳しく解説します。
フルマラソンで絶対に必要なカロリー計算
- フルマラソンで消費するカロリー数
- 体内のカロリー数
- エネルギー不足が引き起こす症状
フルマラソンで消費するカロリー数
1.05×METs値×時間(H)×体重(㎏)=消費エネルギー(カロリー)
フルマラソンで必要なカロリー計算は上の式にて求めることができます。
1) METsとは?
運動強度を表す指標として用いられ、その様々な活動ごとの値は国立健康・栄養研究所のホームページにも掲載されています。
ホームページによると、ランニングの場合は下記の通りです。
メッツ(METs) | 速さ(km/h) | フルマラソン完走タイム |
8.0 | 8.0 | 約5時間20分 |
9.0 | 8.4 | 約4時間40分 |
10.0 | 9.7 | 約4時間15分 |
11.0 | 10.8 | 約3時間50分 |
15.0 | 14.5 | 約2時間50分 |
2) 40歳男性・体重75キロ・5時間で完走予定の場合
42,195(km)÷5(h)=8.439(km/h)となるので、今回は9METsで計算します。
上記の式に当てはめると1.05×9×5×75=3543.75となりますのでフルマラソン完走で3543キロカロリー必要となります。
体内のカロリー数
人間のエネルギーとして消費されるものは、主に糖質(グリコーゲン)です。
このグリコーゲンという所蔵庫が主に筋肉と肝臓の中にあります。
1) 人間のグリコーゲン量は約400~500g
糖質は1gあたり4キロカロリーなので、マラソンスタート前に蓄えているエネルギーは
1600~2000キロカロリーということになります。あれ?意外に少ないと思われた方そのとおりです。
2) フルマラソンの平均的なエネルギー消費量は2500キロカロリー
貯蓄されたエネルギーだけではフルマラソンは到底完走することは出来ません。この足りないエネルギーを補うのが、マラソン中に摂取する補給食です。
エネルギー不足が引き起こす症状
エネルギー補給もしたいけど、早く走りたい。食べてる時間が勿体ないと思われる方もいると思います。もし、エネルギーを補給せずに走り続けてしまった場合にどうなるのか?
極度の低血糖症
糖がエネルギーとして使われつづけて減った結果、低血糖となります。血糖値が大幅に下がることでハンガーノックという現象が起きます。空腹によって自らの意志でカラダを動かすことが出来なくなる状態のことをいいます。ときには、痙攣や軽い麻痺などが起こる場合もあります。
意識障害
稀なケースになりますが、カラダだけでなく脳にも糖が足りなくなると意識障害が起きます。前が見えなくなったり、意識を失ったりします。基本的にはカラダよりも脳の方が優先的に糖が使われますので、よっぽど自分を追い込んだ人ほどなりやすい症状と言えます。
フルマラソンで必要な補給食の種類と選び方
補給食の種類
補給食とは言っても、一体どういった種類があるのか?どんなものをいつ食べればいいのか?タイプ別にみていきましょう。
固形物のタイプ
一般的に有名なものはバナナです。その他にもチョコレートや干し梅、塩飴などもよく食べられていますね。
固形物のメリット
・腹持ちが良く、空腹感を感じにくい
・咀嚼することで脳の活性化になる
固形物のデメリット
・消化が遅く、すぐにエネルギーにならない
・走りながらの持ち運びが大変
ゼリー状タイプ
森永のウイダーインゼリー、味の素のアミノバイタルなどがよく利用されています。
ゼリー状タイプのメリット
・固形物タイプより消化が早い
・咀嚼することで気分転換になる
・持ち運びがしやすい
固形物のデメリット
・後半に補給すると肝臓の動きが鈍いため、吸収率が落ちる
・値段によってクオリティの差がある
液体タイプ
エキスやジェルに近いような栄養剤です。明治のピットインやアリストのメダリストが有名です。
液体タイプのメリット
・吸収率が最も早い
・前後半いつ利用しても吸収率が変化しない
・持ち運びしやすい
液体タイプのデメリット
・基本的にはない
・値段によってクオリティの差がある
まとめ
どの補給食も食べれば間違いなく効果は見られます。あとは持ち運びのしやすさとエネルギーになりやすい成分が含まれているのかの違いです。特にBCAAというアミノ酸が多く含まれている商品がおすすめですよ。
一般的な補給食の摂取タイミング
・1時間ごとに補給食をとる
・10キロごとに補給食をとる
1時間ごとに補給食をとる
1時間経過後には最低でも500キロカロリーは消費しています。早めの補給食に感じるかもしれませんが、足を休めながらエネルギーを取り入れましょう。
10キロごとに補給食をとる
各ポイントで山場となる距離は15,25,35キロです。この山場の前に必ずエネルギーを蓄えておく必要があります。山場の直前ではなく、エネルギー変換の時間も考慮して補給しましょう。
エネルギーが切れる前に補給が鉄則!
何度も繰り返しますがエネルギーが切れてからの補給では遅いです。補給食の吸収の早さには個人差もあります。補給は早めから準備して取ることをおすすめします。
【フルマラソン タイム別】補給食の摂取タイミングと固形、ゼリー、液体の補給食の使い分け
それぞれの補給食の種類を説明しました。ではフルマラソン完走するための固形タイプ、ゼリータイプ、液体タイプの補給食をどう使い分ければいいのでしょうか?
補給食のことを知った上で、実際にマラソンを走ることを想定した計画を立ててみましょう。準備しすぎて失敗するなんてことはありません
3時間以内で完走する
・プロは水分のみ摂取
・ゼリー・液体タイプを携帯し、自分のタイミング摂取(個人差あり)
プロランナー~サブスリーのレベルは当日の朝までにカーボローディングを行っていることが多いです。カーボローディングとは、糖質制限をした後に糖質をたくさん摂取することでグリコーゲンをいつもより多く蓄える調整方法です。この準備があるためプロランナーはレース中に基本水分しか取りません。他のサブスリーランナーは補給をするケースはもちろんあります。ただ摂取量とタイミングには個人差があるため、自分のベストタイミングで摂取しています。
3時間~4時間以内で完走する
・10キロ~12キロごとに1回は補給
・ゼリータイプ・液体タイプをとる
1時間に約12~14キロ進むペースのため吸収の効率性が求められます。固形物は控え、軽量性と機能性の良い補給食を食べましょう。
4時間以上で完走する
・1時間に一回は必ず補給
・前半・中盤は固形物・ゼリータイプをとる
・後半は吸収の早い液体タイプをとる
長時間の走行になるため、必要なカロリー数を考えてコマめな補給が大切になります。前へ焦る気持ちを抑えて、歩きながらや立ち止まった上で落ち着いて補給しましょう。こまめに休憩を入れると足のリフレッシュにもなりますので、最後まで気持ちを切らさずに前へ進めます。
5時間で完走目標のひとが2時間補給食なしで走った場合
METsの値は9として先ほどのカロリー計算式に当てはめると
1.05×9×2×75=1417.5キロカロリー を消費することになります。
これでは血糖値が大幅に下がり、カラダはエネルギー不足になりハンガーノック現象でリタイアすることは間違いありませんね。
まとめ
実はフルマラソンの補給食は中盤以降に大会側が準備してくれているケースが多いです。よくエイドステーションなどと呼ばれています。大会によってはご当地のおいしい補給食が準備されており、ランナーの足を止めることもめずらしくありません。
ただ、それを当てにして補給食を持たずにスタートするのは危ない行為と言えます。エイドステーションへの到着が遅れれば、補給食がもらえないこともあります。万全な準備がどんなときも重要です。
こまめな補給食と水分補給でエネルギー不足を起こさず、感動のゴールを掴みにいきましょう。
maasa
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