ランナーにとっての腹筋の重要性と実戦的強化法

皆様はランニングの補強トレーニングとして腹筋運動は行っているのでしょうか?。近年は体幹トレーニングとして腹筋運動、背筋運動をしている方を多く見かけます。トレーニングジムに行くと、腹筋や背筋トレーニングマシンを使っている人が多く、順番待ちをすることも多いです。ところが最近は腹筋運動はかえって悪影響を及ぼすと言った意見も多く聞かれるようになっています。そこでランニングにおける腹筋の重要性について考えていきます。

腹筋はランナーにとって必要?不要?

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実業団の選手では1日何千回もの腹筋を補強運動としてしている人が多いです。「腹筋娘」と言われて、キレイに割れた腹筋を見せている選手もいるぐらいです。その一方で腹筋はすべきではないと言う人も最近は多くなっています。そこで腹筋必要派、不要派それぞれの意見を挙げていきます。

腹筋必要派の意見

高橋尚子氏(シドニー五輪女子マラソン金メダリスト)

高橋尚子選手は現役時代に1日何千回もの腹筋を行なっていたようです。現在も彼女直伝の腹筋トレーニングがYouTubeで配信されています。

高橋尚子(Qちゃん)の腹筋トレーニング

大迫傑氏(男子マラソン日本記録保持者)

大迫選手が所属するナイキオレゴンプロジェクトでは筋トレ、特に体幹トレーニングを重視しています。腹筋も例外ではなく、体幹強化の為に重要視しています。しかもかなりの高負荷で行っています。元々ナイキオレゴンプロジェクトはアフリカ選手に対抗すべく発足された組織。身体能力の高いアフリカ選手に対抗する為に筋トレに力を入れているようです。

腹筋不要派の意見

小出義雄氏(佐倉アスリートクラブ代表)

腹筋不要派の代表格が小出義雄監督。先に挙げた教え子のQちゃんこと高橋尚子さんとは対照的です。走る為に必要な筋肉は走ってつけるもの、腹筋で余計な筋肉をつけると体重増につながるから、腹筋している暇があったら休養にあてるべし。と語っています。

川内優輝氏(世界陸上男子マラソン日本代表)

かつては公務員ランナーとも呼ばれた川内優輝選手も腹筋不要派の1人です。フルタイムで仕事を抱えていて練習時間が限られている中で、腹筋をする時間があったら走るのが彼の考えです。代わりに体幹強化としてトレイルランを多く行なっています。

腹筋の構造と働き

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腹筋の構造は上の写真のようになっていて、大きく分けると下記の4種類で構成されています。

  • 腹直筋
  • 外腹斜筋
  • 内腹斜筋
  • 腹横筋

その腹筋でされるのが

  • 上体を縮めたり伸ばしたりする
  • 胴体の上部と下部を回転させる
  • ももを胸の方向に引き寄せる

以上の働きをします。いずれもランニングに関連する動きですが、特に3つ目の項目「ももを胸の方向に引き寄せる」がランナーにとって重要な動きとなります。

腹筋はランニングでどう働くか?

ランニングで腹筋を鍛えることによる効果はこれらの事が挙げられます。

  1. 脚の引き上げが強くなる
  2. フォームが安定する
  3. マラソン終盤でもフォームが崩れない

これらの効果を詳しく説明していきます。

脚の引き上げが強くなり、スピードがつく

腹筋はももを胸に引き上げる働きをします。腹筋を強化する事によって、ももの引き上げが強くなります。それがランニングの推進力向上となってスピードがつきます。また、坂への対応も楽になります。

フォームが安定して、スタミナ消費が抑えられる

いくら脚筋力を鍛えても土台がしっかりしていなければフォームは安定しません。不安定なフォームがランニングにおいて無駄な動きになりスタミナ消費につながります。腹筋を鍛えると体幹が鍛えられてフォームが安定するようになります。フォームが安定するとスタミナが節約され、記録向上につながります。

マラソン終盤でもフォームが崩れない

マラソン終盤では、疲労で猫背になりがちです。猫背になると前に出る推進力が上手く発揮できず、ペースダウンにつながります。腹筋を鍛えることで猫背が改善されて、それにより終盤でもフォームが崩れなくなります

走る事で十分できる腹筋強化法

それでは腹筋はどのように鍛えるのでしょうか?。オーソドックスな方法としてはおなじみのシットアップではありますが、実戦ランニングを重視したい方もいます。走る時間が限られている方では猶更ですね。筆者もそのひとりです。そのような方に適しているランニングによる腹筋強化をここで紹介します。ランニングにおいて必要な腹筋は走ることによって鍛えるのが一番有効です。トレーニングの原理・原則の1つである「特異性の原理」です。

坂道ランニング

起伏のあるロードを走る時は体幹を使います。「上りは体幹で上れ!」と言う指導者もいるくらいです。上りを走る時は、平地を走る時よりももの引き上げを強くしないと思うように上れません。したがって平地を走る時よりも体幹、腹筋に負荷がかかるのです。すなわち坂道ランニングをすることにより腹筋が鍛えられるのです。走る事によって負荷をかけているのですから、走るのに必要な筋肉の部位がピンポイントに鍛えられます

コースとしては100~200m程度の坂があれば十分です。平地に住んでいてこれと言った坂が近所にない場合は歩道橋の上り下りを代用するのも手です。

トレーニング方法としては上りは7~8割程度の力で走り、下りは息を整えるぐらいにゆっくり下りましょう。

参考:坂道ランニングの3つの効果と正しい練習方法

トレイルラン

先に挙げた川内優輝選手が重視しているのがトレイルランです。不整地を走るトレイルランは路面が不安定で起伏やカーブが多く細かな変化があるので、全体的な筋力のバランスが求められます。そのトレイルランで腹筋も必要な箇所を適度に強化し、全体的にもバランス良く筋肉が鍛えられます

近所に不整地のコースがあったり、たまに気分を変えたい場合には自然の中を走るトレイルランが有効です。筆者は夏場の暑い時期にトレイルランをよくやります。夏場は日陰になるので比較的走りやすくなります。

慣れていない方は山歩き、ハイキング程度でも十分です。力がついてきたなと思ったら少しずつランを入れてみるのがおすすめです。

但しトレイルランは危険も伴うので、走る時には十分注意しましょう。

まとめ

今回は腹筋がどのような働きをするのか、腹筋を強化することによる効果を紹介しました。そして走る事での腹筋強化法も紹介しました。腹筋が必要かどうかは賛否両論あるので、腹筋が本当に重要であるかの結論は出せません。

一つ言えるとしたら、各々に合った腹筋強化法を実践する事が大切である事です。他のスポーツでも肉体改造を実施しているアスリートが多くいますが、それで成功している人がいる中、フォームが崩れた、身体のバランスが悪くなった、筋力は強化されたが故障が多くなったと言う失敗例も多いです(プロ野球のK.K氏はその一例)。

十人十色、各々腹筋における考え方は異なりますが、自分のスタイル、生活習慣に合ったトレーニングを行っていきましょう。

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