心拍変動を利用して高いパフォーマンスの維持を!

ランニング知識

皆さんは自身の疲労度をどのように判断していますか?

おそらく多くの人が過去の経験であったり、なんとなくの体の感覚で判断していると思います。疲労の過度な蓄積は故障の原因やパフォーマンスの低下につながります。

何か具体的な数値で自身の疲労度を測れたらいいと思いませんか?

実は自身の疲労度を数値で測ることができる方法があるんです。それは「心拍変動」を利用する方法です。

心拍変動の指標を利用して日々の練習量を調節すれば高いパフォーマンスの維持が期待できます。

調子の上がり下がりが激しいランナーにはぜひ取り組んでもらいたい内容です。

 

心拍変動とは

  1. 心拍間隔について
  2. 自律神経についておさらい
  3. 心拍変動について

心拍間隔について

心拍変動について説明する前にまずは心拍間隔について説明します。心拍間隔とは心臓の拍動と拍動の間隔のことです。

心拍数が毎分60回であれば心拍間隔は1秒であるかというとそうではありません。心拍間隔は自律神経などの状態を受けて変化するのがむしろ健康的です。

自律神経についておさらい

ここで今出てきた「自律神経」についておさらいしておきましょう。

自律神経は交感神経副交感神経に大きく分けられ、これらが拮抗的に作用し合うことで体の調子を整えています。拮抗的に作用し合うとは、一方の作用が高まると他方の作用が低くなるという関係にあるいうことです。

要するに交感神経の活動が高まれば、副交感神経の活動が低くなり、交感神経の活動が低くなれば、副交感神経の活動が高くなるということです。

交感神経とは

交感神経とは簡単に言うと体のアクセルを担当しています。体が活動的なときに活動が高まります

しかし、交感神経の活動が高い状態が続いてしまうと疲労の蓄積の原因となってしまいます。

副交感神経とは

副交感神経とは交感神経とは逆で体のブレーキを担当しています。体が休まっているときに活動が高まります

副交感神経の活動が高いということは疲労がしっかりととれているというサインでもあります。

心拍変動について

心拍変動とは今紹介した心拍間隔の変化のことです。この心拍変動を数値化するために様々な指標が存在しますが、アスリートの中で最も用いられているのがrMSSDという指標です。

以下で詳しく説明します。

 

心拍変動を表すrMSSDとは

  1. rMSSDとは
  2. rMSSDの値から分かること
  3. rMSSDを測るのに必要な道具

rMSSDとは

rMSSDとは副交感神経の活動を示す指標です。値が高ければ副交感神経の活動が高く、低ければ副交感神経神経の活動が低い、すなわち交感神経の活動が高いことを示します

隣り合う心拍間隔の差の2乗平均平方根で求められますが、難しいので覚えなくてもよいです。

rMSSDの値から分かること

rMSSDの値が高い場合

rMSSDの値が高い場合は副交感神経の活動が高まっていることを表します。これは心拍間隔のばらつきが大きいことを示しています。

この場合、疲労が抜けており、パフォーマンスが上がることが期待されます。

rMSSDの値が低い場合

rMSSDの値が低い場合は交感神経の活動が高まっていることを表します。これは心拍間隔のばらつきが小さいことを示しています。

この場合、疲労が蓄積しており、パフォーマンスは下がることが多いです。

rMSSDを測るのに必要な道具

心拍ベルト

心拍データを測る専用のベルトが存在します。rMSSDを測ることのできるものを選びましょう。値段は1万円ほどと少し高めです。

スマートフォンのアプリ

スマートフォンのアプリでもrMSSDを測ることができます。無料で測ることのできるアプリもありますが、より正確さを求めるためには有料のものが良いです。

おすすめはHRV4Training」というアプリです。有料といっても1200円で購入でき、rMSSDの他にも様々な心拍データを表示してくれます。

私も実際にこのアプリを利用しています。スマートフォンのカメラに指をかざすことで測ることができます。

rMSSDの練習への利用

  1. rMSSDを練習へ利用する前に
  2. rMSSDの値が高いとき
  3. rMSSDの値が低いとき
  4. 練習量の調整で目指すもの
  5. 私のrMSSDの記録の例

rMSSDを練習へ利用する前に

rMSSDを練習へ利用する前にまずは自分のrMSSDの値がどれくらいなのかを知る必要があります。rMSSDの値には個人差があるからです。

起床後すぐの安静時にrMSSDを測ることを2週間続け、その平均値を求めてください。安静時に測る理由は、運動による心拍間隔の変化を最小限にとどめるためです。

平均値が求まったら、その値より高いから低いかで練習量を調整することになります。測るのは起床後すぐの安静時の1回のみでOKです。

rMSSDの値が高いとき

rMSSDの値が高ければ疲労が抜けている証拠なので、ジョグの時間やインターバルの本数を増やすなどして練習量を増やします

すると翌日には値が低くなっていると思います。どのくらいの練習でどのくらい値が下がるのかも記録を続けていると分かってきます。

rMSSDの値が低いとき

rMSSDの値が低ければ疲労が蓄積している証拠なので、ジョグの時間やインターバルの本数を減らします。値が低すぎる場合には完全休養にしても良いでしょう。

すると翌日には値が高くなっていると思います。値が高くなっていればその日の練習量を増やしても良いです。

練習量の調整で目指すもの

このように、値が高いときには練習量を増やし、値が低いときには練習量を減らすことでrMSSDの変動幅を一定にすることが大きな目標です。こうすることで過度な疲労の蓄積や練習不足を防ぐことができ、コンディションをある程度一定に保つことができます。

すると、練習やレースで抜群の安定感を発揮することができます。これが調子の上がり下がりが激しいランナーにおすすめな理由です。

私のrMSSDの記録の例

ここで、私が実際に行なっているrMSSDの記録の例を紹介します。

見てもらうと分かるように日によって値が変動していることが分かります。このアプリでは一週間と一ヶ月間のrMSSDの平均を計算してくれるので便利です。

計測を開始してから極端に調子が悪い日が激減し、自己ベストも更新しています。

 

まとめ

以上、心拍変動を利用したパフォーマンス維持の方法について説明しました。

疲労度はパフォーマンスに大きく影響します。疲労度は経験や感覚では正確に判断するのが難しい部分もあります。

疲労度を数値で表す方法も知ることができ、視野が広がったと思います。あとはこれをぜひ日々の練習に利用されてみてください。

心拍変動を利用して皆さんが良いパフォーマンスを発揮し、自己ベストを更新されることを祈っています。