特に夏は注意!ランナーの内臓疲労の原因と対策

ランニング知識

ランニングの後で気持ちが悪くなったり、食欲が無くなったりした経験を持つランナーは多いのではないでしょうか?原因は脱水症状、熱中症、胃液分泌過多などが考えられますが、内臓疲労も原因の一つです。

一時的な内臓疲労なら回復は早いですが、内臓疲労を繰り返すと慢性的な内臓疲労になり、回復に時間がかかることもあります。ランニングは肉体だけでなく内臓にも負担をかけます。特に夏は内臓疲労を起こしやすい条件が揃うので注意が必要です。

内臓疲労について原因を知り、対策をすることで夏を乗り切りましょう。

内臓疲労とは

内臓疲労とは、一般的には内臓が酷使されることにより内臓の機能が落ちてしまうことです。例を見ていきましょう。

  1. お酒と肝臓
  2. 食べ過ぎと胃腸
  3. 夏バテ
  4. 内臓疲労とメンタル影響

お酒と肝臓

お酒の飲み過ぎにより肝臓機能が落ちるのは内臓疲労の一種です。肝臓は沈黙の臓器と言われている通り、症状がかなり悪くならないと自覚症状がありません。お酒が好きな方は休肝日を設けるなどして肝臓を労わることが大切です。

食べ過ぎと胃腸

食べ過ぎたり、消化の悪いものを食べると胃に不快感がでることがあります。これも内臓疲労の一種です。暴飲暴食を避けることが大切です。

夏バテ

夏バテも内臓疲労が関係します。汗をかいて水分不足になると内臓の働きを悪くし、水分のと摂り過ぎは胃液を薄くして消化の働きを悪くします

内臓疲労とメンタル影響

胃腸はメンタルとの結びつきが大きいです。精神的な負担が大きいと胃潰瘍になったりしますが、その逆に胃腸の不良は精神的なダメージにつながります。内臓疲労が続くと気持ちが弱ってきます。

ランニングと内臓疲労

ランニングをした後、気持ちが悪くなることがあります。これは内臓疲労が関係します。激しいトレーニングが続くと疲れが取れ難くなると感じることがあります。これも内臓疲労が関係するケースがあります。

急性的な内臓疲労

普段ランニングをしない人が急に速いペースで走ると、走っている途中、走り終わった後に気持ちが悪くなることがあります。走り慣れている人でもフルマラソンのような長い距離を走ると走り終わった後に気持ちが悪くなることがあります

急性的な内臓疲労の原因

急性的な内臓疲労の原因は

  • ランニングで身体を動かすことに血液が使われ胃腸への血流が減り胃腸の機能が落ちる
  • 発汗により体内の水分が不足して胃腸の機能が落ちる
  • ランニングによる振動で胃腸が揺られるために機能が落ちる

が考えられます。

慢性的な内臓疲労

ランニングのトレーニングを続けていると疲労感が抜けなくなったり、食欲がなくなることがあります。肉体的な疲労の蓄積が原因と考えられますが、内臓疲労が原因のケースもあります。

慢性的な内臓疲労の原因

慢性的な内臓疲労は急性内臓疲労が積み重なり、簡単には回復できないレベルまで内臓がダメージを追ってしまった結果です。肉体の一時的な疲労は数日で回復しますが、慢性的な肉体疲労は回復に時間がかかります。同様に慢性的な内臓疲労も回復には時間がかかってしまいます

ランニングの内臓疲労を防ぐには

ランニングの急性的な内臓疲労を防ぐには、原因を避けることが大切です。慢性的な内臓疲労を防ぐには、急性的な内臓疲労を防ぎ、なってしまったら身体と内臓を休めて軽い段階でしっかり回復させることが大事です。

  1. 急性的な内臓疲労を防ぐ
  2. 慢性的な内臓疲労を防ぐ
  3. 特に注意!夏の内臓疲労

急性的な内臓疲労を防ぐ

原因を防ぐことで急性的な内臓疲労になる可能性を減らすことができます。

無理をしないでランニングに慣れる

無理なペースで走るとランニングの動きに血流が使われるので、内臓への血流が減り胃腸の機能がおちます。ランニングに慣れてくるとランニングの動きに使われる血流が少なくて済むので、極端に内臓への血流が減ることがなくなります。

水分補給を適切に

体内の水分が減り過ぎても、増え過ぎても内臓の機能が落ちます。体内の水分量を適切保つことが内臓機能を正常に保つことができます。水分補給のコツは少しづつ回数を多く摂ることです。一度に摂る水分量は100~150mlにしましょう。水よりもスポーツドリンクの方が身体への吸収が良いです。

内臓の揺れが少ないフォームで走る

上下動や左右のブレが大きいフォームは内臓が揺れてしまい内臓の負担になります。体幹を意識して上下動の少ないフォームが理想的です。急にフォームの改善が難しい場合はペースを落としてみるのが良いです。

走る前、走った後は消化の良いものを食べる

ランニングにより内臓機能が一時的に下がるのは避けられません。食事を摂ってから2時間程度経ってからランニングを始めるのが望ましいですが、走る前に食事をとらなければならない場合はゼリーなど消化の良いものにしましょう。

走った後も消化の良いものを良く咬んで食べて内臓への負担を減らしましょう。

日常生活でも内臓への負担に気を付ける

ランナーは走ることで内臓に負担をかけるので、普段から内臓への負担に気を付けましょう
・暴飲暴食は避ける
・良く咬んで食べる
が基本です。

慢性的な内臓疲労

慢性的な内臓疲労は、急性的な内臓疲労の蓄積なので、急性的な内臓疲労を感じたらしっかりと回復させることが大切です。この点は肉体的な疲労と同じです。無理をしてきついトレーニングを続けると慢性的な内臓疲労を起こし、回復に時間がかかってしまいます。

特に注意!夏の内臓疲労

夏は内臓疲労を起こしやすい条件が揃います。夏は特に内臓疲労に注意して走ることが大事です。夏に無理をして慢性的な内臓疲労になると秋のランニングシーズンに調子を上げることができなくなります。夏は特に内臓疲労に注意しましょう。

内臓疲労に備えるウルトラマラソンの走り方

長い距離を走ったときに内臓疲労を起こす人と起こさない人がいます。体質的なものもあるので、完全に内臓疲労を回避できないかも知れませんが対策方法はあります。ウルトラマラソンにチャレンジしたいけど内臓疲労を起こしやすいランナーは参考にしてください。

  1. 事前準備をできるだけ行う
  2. 水分補給はしっかりと
  3. 体幹を意識した一定のペースで走る
  4. 前半の固形物が食べられるうちに食べる
  5. 中盤は消化の良いゼリーを中心に
  6. 終盤はジュースで栄養を摂る

事前準備をできるだけ行う

できる限りの事前準備を行います。

  • 事前にエネルギーや水分を身体に溜めておく
  • 少し位胃腸の機能が落ちても食べれる食料を準備する
  • 効果がある薬を見つけて携帯する

です。

カーボローディング

食べ過ぎは内臓に負担をかけますが、ウルトラマラソンに向けて体内にカーボ(炭水化物)を蓄えることは大切です。急に無理なドカ食いをしないで4~5日間かけて少しづつ食べる炭水化物の量を増やしていくのがおすすめです。

胃腸薬を携帯する

気持ちが悪くなる原因として胃が揺さぶられることによる胃酸の出過ぎがあります。胃酸を胃腸薬で抑えられる体質の方もいます。胃腸薬は事前のロング走トレーニングで服用し、効果を確認しておきましょう。体質によっては胃腸薬が逆効果になる場合もあります。

自分の好みのゼリーを用意する

レースの中盤に胃腸が弱ってきたとき頼りになる栄養補給はゼリーです。レースに携帯して持って行きます。ゼリーには甘すぎたり、味が自分の味覚に合わないものもあるので、携帯するゼリーは事前にトレーニング中に食べてみて、美味しく感じられるものを用意しましょう。

水分補給はしっかりと

気温が上がることが予想されるレースの場合、ある程度水分を溜め込んでおくのも有効です。ウォーターローディングと言われる方法です。2~3日間かけて少しづつ水分量を増やしましょう。直前にレース直前に大量の水分を摂ると胃酸が薄まり内蔵機能が落ちます。

水分補給はしっかりと

ウルトラマラソンは春、夏、秋が多いので、気温が高い日の水分補給はしっかり行いましょう。水分補給は少しづつ、小まめにが大切です。エイドステーションに水とスポーツドリンクがある場合は身体への吸収が良いスポーツドリンクをできだけ選びましょう。

体幹を意識した一定ペースで走る

内臓の揺れを少なくする意識で、体幹を意識して一定のペースで走ります。

前半の固形物が食べれるうちに食べる

事前の練習で自分がどれ位走ったら固形物を食べられなくなるのか把握しておくと良いです。内臓が元気な前半にエイドステーションで固形物を摂ってエネルギーを補給します。食べ過ぎは良くありません。焦らずによく噛んでゆっくり食べましょう。

中盤は消化の良いゼリーを中心に

中盤まで内臓が元気なランナーはエイドの食べ物を楽しく味わってください。中盤になると少し食欲が無くなってくるランナーは、消化の良いゼリーでエネルギーを補給します。

終盤はジュースで栄養を摂る

ウルトラマラソンの終盤になると固形物を受け付けなくことがあります。最後はカロリーが高めのジュースで栄養を摂りましょう。水分を摂り過ぎていると感じたら無理に摂る必要はありません。飴など甘いものを口に入れて少しでもエネルギーを摂りましょう。

まとめ

ランニングによる内臓疲労は起こりやすい人と起こり難い人がいます。夏場は内臓疲労を起こしやすい季節なので、起こりやすい人は特に気をつけてください。内臓疲労が起こったら軽いうちに身体と内臓を休めて回復させます。無理をすると慢性的な内臓疲労になり回復に時間がかかります。

秋に良いトレーニングができるように、夏のランニングは内臓疲労に注意して走ってください。

The following two tabs change content below.
しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。