フルマラソンのタイムアップにはトレーニングが必要です。フルマラソンは努力した成果が出やすい競技です。特にランニングを始めて3~4年目位までは、走る度に自己ベスト記録を更新できることが多いです。
フルマラソンのタイムをアップさせるためにトレーニング以外の面でも工夫が必要です。フルマラソンの大会が行われる時期、コースのアップダウンはタイムに直接影響します。途中で失速をしないためにできることを取り入れていきましょう。
この記事はトレーニング以外でフルマラソンのタイムをアップさせる方法について書かれています。
良いタイムが出るコースの選び方
タイムが出やすいコース、出難いコースはあります。事前に情報を集めてタイムが出やすいコースにエントリーしましょう。
アップダウンが少ない
アップダウンが多いとタイムが出難いです。特に急な上り下りがあるコースはタイムを出すには向いていません。大会のホームページにはコース図と高低差を表わした図が載っていることが多いです。参考にしましょう。
大会に参加したランナーのブログを調べると有益な情報を得られることがあります。インターネットで検索してみましょう。
コース幅が広い
一万人規模の大会で、スタート地点の道幅が狭いと渋滞してタイムロスになります。最近ではスタート時の渋滞を緩和するために、幾つかのグループに分けてスタート時間をずらすウエブスタートを採用している大会もあります。
スタート時渋滞に関しては大会の公式ホームページに載っていることはないので、参加者のブログや参加したランナーから情報を得るしかありません。
自分に合ったコースを知っておく
河川敷のコースは平坦でコース幅が広いレースが走りやすいのですが、変化の少ないコースは飽きてしまい苦手なランナーもいます。混雑していると走り難いですが、参加人数が少な過ぎて前後にランナーが居なくなるとモチベーションも下がってしまいます。
自分に合ったコースを知り、合った大会に申し込みましょう。
気に入った大会は気持ち的に安心できる
いろいろな大会に参加していると相性が良い大会に出会います。相性が良いとタイムも出やすいです。どの部分が良いのか分析してみると自分に合った大会が分かります。運営がスムーズな大会は安心してスタートラインにつくことができます。
良いタイムが出る気候条件
気候条件は良いタイムを出すために大事な要素です。気温、湿度、天気、風がタイムに影響します。
気温は低めが良い
最適な気温は個人差がありますが、10~15℃位が走りやすい気温です。この気温になる可能性が高いのは関東地方では11月中旬から2月下旬です。晴れて日が出ているのか、曇っているのかでも体感温度に差がでます。
スタートしてからゴールまでは気温が上がっていくことも多いので、スタート時は少し寒い位が良いです。
冬の大会は風が大敵
風はタイムに大きく影響します。風速が5mを超える風が正面から吹いてくるとペースが落ち、体力を奪われます。風を予測するのは難しいですが、地域によっては強風が吹く時期が決まっていることもあります。
3月に入ると春一番の強風が吹くことも多いのでやはり、タイムを狙うには2月末までの大会が良さそうです。
気候条件に恵まれる時期の大会を選ぶ
天気を予想して大会に申し込むのは難しいですが、毎年良い気候に恵まれる大会、毎年厳しい気候条件になる大会はあります。この情報も口コミやインターネットのブログなどから仕入れるしかありませんが、調べてみる価値はあります。
インターネットで過去数年間の天気を調べるのも良いです。
減量をする
減量はトレーニング以外で、確実に速く走れるようになる方法です。同じ力で物体を移動させるなら重さが少ない方が仕事量も少なくなります。つまり軽いほうが楽に走れるのです。
体重が減ると速く走れる
1kg軽くなるとフルマラソンで3分間タイムを短縮できると言います。計算上でも証明されていますし、経験的にもこの程度のタイムアップが見込めます。
無理な減量は禁物
無理な減量は体調を崩してしまうので良くないです。減らしたいのは脂肪で筋肉を減らすと走力が落ちてしまうので注意しましょう。水分の絞り過ぎは一時的に体重が減りますが、身体の適正な水分量はランニングでも大切です。
レース前の一週間は減量をしない
レース直前まで減量をしていると、フルマラソン当日にエネルギー不足で失速することがあります。レース一週間前までには減量を終わらせましょう。減量後、急に食事量を増やすとリバウンドで2~3kg体重が増えることがあります。
レース前は練習量も減り、体重が増えやすいのでレース前一週間の体重管理は大切です。減量後1kg位増量することは想定しておきましょう。
身体のコンディションを整える
レースに向けて体調を整えていくことは大事です。レース前2~3週間はトレーニング量を減らしていき疲労を抜いていきます。レース前日の過ごし方も当日のコンディションを作るために大事です。
疲労が残ったままでは良いタイムが出ない
多くのランナーは疲労を抜き切れずレースに出ていることが多いです。レースが近づくとトレーニング不足を心配して走る距離を伸ばし疲労を溜めてしまうのです。
睡眠は取れていた方が良いが、気にし過ぎない
レース前日、興奮して中々寝られないことがあります。結局浅い眠りのまま朝を迎えてしまっても気にしない方が良いです。「身体を横にして疲れは取れた」と思いましょう。
下痢、食中りのリスクをできるだけ避ける
前日、当日の食事には気をつけましょう。いつもと違うものをできるだけ食べないことが大事です。いつと同じ食事で炭水化物を少し多めに取るのが良いです。生ものや脂っこいものは避けるのが無難です。
トイレが近い人はカフェインを控える
トイレに行くことは大きなタイムロスになります。できればトイレに行かないでゴールしましょう。トイレが近い人もレース中のトイレはできだけ少なくしたいので前日にカフェインを控えます。カフェイン抜きの効果に個人差がありますが、気持ち的な効果は期待できます。
レース当日のルーティーンを決めておくと安心できる
当日のルーティーンを決めておくと良いです。荷物は前日に用意をして、当日の朝チェックをすると安心です。スタートの何時間前に起きて、食事を取り、トイレに行き、など普段の生活に沿ったルーティーンにすると良いです。
会場についてからのルーティーンも大事です。スタート時間の何分前にスタートラインに並ぶかから逆算してルーティーンを行います。ウォーミングアップ、トイレ、サプリの摂取、荷物預けなど、混雑を見越して余裕をもって行います。
失速しない工夫とは
タイムアップではありませんが、失速をしないことは安定したタイムを出すことに繋がります。逆に言えば失速をしてしまうとタイムアップは絶望になります。
エネルギー切れをしないようにする
本人が気がついていないまま、エネルギー切れで失速をしているケースも多いです。本人は練習不足だと思っていたら、エネルギーをしっかり摂取したら自己ベストをあっさり更新したケースもあります。
エネルギーは事前にチャージしておくカーボローディングと、レース中にエイドステーションや携帯したエナジーゼリーなどで補給する、両方を行います。カーボローディングは体重の増えすぎに注意しましょう。
脱水にも気をつける
脱水を起こすと失速に繋がります。軽度の脱水は本人が気がつかない場合も多いです。脱水を防ぐには走る前に水分を身体に蓄えるのが良いのですが、蓄えすぎると体重が重くなったり、レース中にトイレに行きたくなったりとタイムロスに繋がります。
気温にあわせた適度な水分を蓄えて、レース中に給水をしながら脱水を防いで走るのが理想です。適度な水分と給水の量は経験を重ねて身につけるしかありません。
脚が攣りやすい人は事前に対策を
脚が攣る原因は、体内の水分量の不足、ミネラル類の不足と言われています。給水を適度にとって水分不足を防ぐことは大切です。ミネラル類も給水でスポーツドリンクをとることで補給できます。エナジーゼリーにミネラル類が含まれているものもあります。
芍薬甘草湯は攣りを防止する漢方薬で顆粒として薬局で販売されているので、ロング走で試してみて効果があればレースで使ってみましょう。
腹痛もできる限りの対策をする
腹痛が起きやすい人は事前に対策をしましょう。腹痛の原因ははっきりと分かっていないのですが、走ることで胃腸が揺られること、消化不良などが原因と言われています。レース前に消化の悪いものを食べないようにしましょう。
自分が気がついていないが、自分の身体にとっては受付け難い食品もあります。練習やレースで腹痛が起きたとき、事前に食べたものをチェックします。腹痛の経験を積み重ねて、身体に合わない食品はレース前に食べないようにしましょう。
マメが潰れると痛みで走れなくなる
マメができるのはフォームに偏りがある場合が多いので根本的にはフォームの改善が対応策です。レース後半に疲れてきてフォームが崩れマメの原因になる場合もあります。シューズとソックスの相性が悪くてマメが出来る場合もあります。ソックスを変えることも試してみましょう。
マメができやすい場所に、事前にワセリンを塗るのも効果的です。ワセリンを塗ると滑る感じがして嫌な人もいるので、練習の時に試しておきます。
コンプレッションタイツなどを有効に使う
筋肉を締め付けることで筋肉疲労を防止するコンプレッションタイプのタイツやシャツがあります。好き嫌いは人によって分かれますが、合う人には失速防止に役立つアイテムになります。ロング走でコンプレッションタイツを試してみて効果があれば、レースでも使ってみましょう。
戦略がタイムを左右する
フルマラソンは2時間以上の長い競技です。5時間以上かかるランナーもいます。時間が長い競技は戦略が大切になります。良いタイムを出すには戦略が必要です。
結果的にイーブンペースになるのが良い戦略
エリートランナーのフルマラソンは30kmまでペースメーカーについていき、30km以降スパート合戦になり、前半より後半にペースが上がる展開が多いです。市民ランナーの場合は結果的にイーブンペースになる展開が良いタイムを出しやすいです。
前半抑えて、中盤、後半に少しづつペースを上げるのが安全策
前半に抑え目のペースで走り、中盤と後半に少しづつペースを上げる戦略は大崩れが少なく、安定して記録を出せます。前半を抑えると走りながら気候と体調の状態を確認して、適切なペースを身体で把握することができます。
余裕があれば予定通り、少しづつペースを上げ、余裕がなければペースをキープすることで、その日に出せる力を出し切ることができます。
前半に目標ペースまで上げ、後半の落ちをできるだけ少なくするのも有効
序盤の1~2kmでのスタート混雑を抜けた時点で、目標レースペースまで上げて30km過ぎまでキープし、終盤はペースを落とさないように粘る戦略も有効です。上手くいけば良いタイムがでます。目標ペースが速すぎる場合、30kmで失速してしまうリスクもあります。
練習では余裕があったペースもレース当日の気候や体調によっては速過ぎる場合もあります。はまれば良いタイムが出るが、外れると失速してしまう戦略です。
前半突っ込むのは一か八かの賭け
前半に突っ込んで入り、そのまま30km過ぎまでペースがもち、後半多少失速しても結果的に良いタイムになることもあります。特にフルマラソンの経験が浅い初心者は走るたびに成長しているので前半突っ込んで良い結果になることがあります。
一度、前半突っ込みの戦略が成功したランナーは、この戦略が自分に合っていると思い、失敗レースを繰り返す場合があります。前半突っ込みは賭けの要素が大きいです。自分の殻を破るために時には試してみても良い戦略ですが、失敗のリスクは大きいです。
事前に戦略のパターンを考えておき、当日の気候、調子でアレンジする方法もあり
戦略に幅を持たすことも時には必要です。長時間の競技中に状況が変わってくるからです。一番変わりやすいのが気候です。スタートしてから気温がグングンと上り暑く感じることもあります。設定ペースを3パターン位にするのも良いです。
メンタルをどう保つか
フルマラソンもメンタルが重要です。フルマラソンで大事なメンタルは、気持ちが切れないようにすることです。気持ちが切れたとたんペースダウンして二度とペースを上げることができなくなります。
やはり自身をつけるにはトレーニングの積み重ね
メンタルを支えるのは積んできたトレーニングです。「あれだけ頑張ったんだから絶対にいける」という気持ちは、気持を切れないようにさせる大きな力になります。
きつくなっても我慢すれば楽になる時間が来る
トレーニングでロング走を繰り返したランナーは、きつくなってから我慢すれば楽になる時間が来る経験をしているはずです。この経験は本番のレースでも役に立ちます。レースで少しきつくなってもペースを少し落として粘っていれば、楽になってペースを上げられる時間が来ます。
引っ張ってくれるランナーについて行く
レース中きつくなってペースが落ちかけたときに、追い抜いていったランナーに付いていくとペースを戻せることがあります。マラソンは不思議なもので周りの力を借りて自分の力を引き出すことができるのです。
頭の中で頑張れる曲をリピート
レース中も音楽を聴きながら走るランナーもいます。音楽の助けでメンタルを維持できるなら良いです。音楽を実際には聴いていなくても、レース前に自分を鼓舞する曲を聴いておくと、レース中に頭の中でリピートして走るリズムを作ってくれます。
厳密には音楽を聴きながらレースを走るのは「助力」とみなされる場合があり、出した記録は認められない場合がありますが、市民ランナーが咎められることはないでしょう。
35kmを過ぎたらカウントダウン
フルマラソンで良い記録をだすためには気持ちが切れないことが大切です。自己ベストタイムを目指して走るランナーは30kmを過ぎると誰でもきつくなってきます。きつさが35km過ぎに来た場合は「あと7kmだ」と思い、気持を繋ぎ止め易いです。
逆に25kmで、きつさがきた場合は「あと17kmもある」と気持ちが切れやすいです。35km付近まで脚を持たす戦略、トレーニングがフルマラソンで良いタイムを出す鍵になります。
まとめ
フルマラソンで良いタイムを出すにはトレーニングが必要です。トレーニングを積んだ成果をレースでタイムとして出すには、トレーニング以外の部分での工夫も必要です。フルマラソンは競技時間が長く身体への負担も大きいのでチャレンジできる回数が限られます。
数少ないチャンスでトレーニングの成果を出すためにも、万全の準備をして臨みましょう。
しゅうぞう
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