肉離れなどの怪我をしないために注意が必要なランニングトレーニング

ランニング知識

トレーニングで怪我をしてしまうとランニングができなくなってしまいます。走れない期間が長くなるとせっかく培った走力が落ちてしまいます。疲労による筋肉や腱の痛みによる故障は兆候があるので、気を付けてケアをしながら走れば大事に至らずに済みます。

トレーニング中に注意が必要なのは肉離れのような突発的に起こる怪我です。特に中高年の方は筋肉が硬くなってくるので注意してください。重大な肉離れにならなくても筋肉を損傷し、痛みや違和感が出ると走りのバランスが崩れて、別の箇所を故障する原因になります。

この記事は肉離れなどの怪我をしないために、注意が必要なトレーニングについて書かれています。

トレーニングで怪我をするパターン

ランニングのトレーニングで肉離れなどの怪我するのは幾つかの典型的なパターンがあります。事前に知っておくと回避しやすいです。

練習会で無理をした

練習会のメリットは仲間と走ることでモチベーションが上がったり、普段以上に頑張れることです。逆に言えば無理をしてしまうことにもなります。仲間と競り合うと負けたくない気持ちが出てきます。

ペース走でラスト1㎞をフリー(自由なペースで走る)にする練習会も多くあります。大抵はラストスパート合戦になります。走力をつけるには最後はペースを上げて終わるようにする方針のコーチもいますが、疲労が溜まった状態でスパートをかけるのは肉離れなど怪我のリスクが高くなります

無理な動き作り

無理な動き作りで怪我をすることも多いです。動きづくりはランニングの動きを良くするために役立つものも多いのですが、普段使わない筋肉を無理に使うと肉離れを起こすことがあります

レース明けに無理をした

レース(ランニングの大会)は限界を超えて走ることもあります。フルマラソンを走った後は間違いなく身体に疲労が溜まっています。1週間程休養をして疲労が抜けたと感じても筋肉に疲労が残っていることもあります

ストレッチも注意

意外に思うかも知れませんが無理なストレッチで肉離れを起すことがあります。硬くなった筋肉を無理に伸ばすと筋肉が損傷します。

怪我をしないために注意すべきこと

怪我をしないために注意すべきことは無理をしないことです。分かってはいるが走り始めると気持ちのセーブができなくなります。自分の気持ちを抑えることが怪我を防ぐことになります

自分の年齢を認識する

ランニングをしていると若さを保つことができます。運動習慣を継続するのは良いことです。しかし加齢による身体の老化も進行します。年齢に合わせたトレーニングをしましょう。

人間の身体は20~30歳をピークに老化が始まります。30歳を過ぎたら老化が始まっていると認識しましょう。老化が始まったから走力が伸びないわけではありません。故障しないようにトレーニング方法に工夫をする必要があるだけです

急にペースを上げない

肉離れなど突発的な怪我をする原因は急な動きが多いです。練習会のペース走終盤にラストスパートを仕掛けられて抜かれると、抜き返したくなるものですが止めておきましょう。負けず嫌いの感情に任せて無理をして怪我をすれば後悔します。

熱血コーチには注意する

練習会やランニングクラブのコーチはランナーを言葉で鼓舞するのも仕事の一つです。体育会系出身のコーチを多く、疲れ切ってからの最後にペースを上げることが大事だと教えられています。若いランナーにはそれでも良いのですが、中高年のランナーに無理をさせると怪我の原因になります

身体の疲れ具合を把握する

学生の運動部は運動を中心に生活を送れるので、休息や睡眠時間をコントロールしやすいです。社会人ランナーは仕事や家庭が中心の生活になるので、十分な休息や睡眠を取れていないケースも多いです。

特に慢性的な睡眠不足は疲労を蓄積させ、身体の疲労回復を遅らせます。疲労が溜まっている状態で、練習会のメニューを無理にこなすと怪我の原因になります

危険な動き作りベスト5

練習会で動き作りをすることは多いです。動き作りは上手くできれば良いランニングフォームを作るために役立ちます。効果は高いのですが、正しい動きが難しく無理に形だけ真似ると怪我をする動き作りもあるので注意が必要です

バウンディング

バウンディングはランニングの動き作りとして有効なトレーニングですが、難しい動きです。無理に形だけ真似るとふくらはぎやハムストリングに負担が掛かり過ぎて怪我をする恐れがあります。

最初は小さい動きから始めましょう。体幹部分を上手く使えるようになると良いです。

負担の大きいバウンディング

負担の小さいバウンディング

ダッシュ

ダッシュは厳密には動き作りではありませんが、50m程度のダッシュを入れる練習会も多くあります。ウインドスプリントという動き作りを本来の目的とは間違えてダッシュにしている場合もあります。

長い距離を走るトレーニングでダッシュは必要ありませんウインドスプリントは50~100m程度の距離を大きな動きを意識して全速力の6~7割程度の速さで走る動き作りです

ダッシュ(長い距離を走るトレーニングには不要)

ウインドスプリント(良いフォームを作るに有効)

 

片足ケンケン

片足ケンケンもランニングの動き作りとして有効です。この動きも上手くやるには難しいです。体幹全体を使うのがコツですが、上手くできないとふくらはぎに負担が大きくなり怪我につながります

バウンディングと同様に小さな動きから始めるのが良いです。前に進む片足ケンケンは軸足と逆の浮脚の動きがポイントになりますが、これもとても難しい動きです。練習会などで急に大きな動きで前に進もうとすると怪我をしやすいので小さい動きに留めましょう。

片足ケンケン

小さな片足ケンケン

階段2段飛ばし、3段飛ばし

階段の2段飛ばし、3段飛ばしは、初心者、中級者ランナーには不向きな動き作りです。トップランナーや上級者には体幹全体をバネのように使う動き作りの効果がありますが、初心者、中級者ランナーには怪我のリスクが高い動き作りです。

階段の2段先という目標に向けてジャンプしなければならないので、小さな動きから始めることができません。もし練習会で階段2段飛ばしが動き作りに入ったら、キャンセルするか、1段づつの動き作りにするのが良いです

2段飛ばし

1段づつ

フロントランジ

フロントランジはランニングの動き作りによく取り入れられる動き作りです。一歩一歩腰を深く落としながら前に進む動きです。体幹を使ったバランスを養う動き作りとしての効果はありますが、無理をするとハムストリング、股関節周りを痛めます。

体幹を上手く使えない人が無理に深いランジをするとふくらはぎ、ハムストリング、股関節周辺の筋肉に無理な負担がかかり痛めてしまうのです。慣れるまでは浅いランジでバランスを取りながら体幹を使う意識を養うのが良いです

深いフロントランジ

浅いフロンとランジ

まとめ

走力をつけるにはトレーニングが必要ですが、トレーニングの負荷が大きすぎると怪我の原因になります。肉離れなどの突発的に起こる怪我はトレーニング中に急激な筋肉への負荷が原因です。急にスピードを上げる動きは避けましょう。

無理な動き作りも突発的な怪我の原因になります。慣れない動き作りは小さな動きから始めるのが良いです。

 

The following two tabs change content below.
しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。