ランニングをする上で、痛みを伴うとベストなパフォーマンスはできませんよね。また痛みが出るのではないか、という不安が常に付きまとうからです。
ましてや土踏まずの痛みとなると、悪化してくると日常生活に支障をきたす恐れがあります。
そこで、土踏まずの痛みの原因、知識を知ってきちんと受診してみませんか。
病名と治療方法が明確になることで、現状より前向きにランニングに取り組めるようになるかもしれませんよ。
そこで、土踏まずが痛むときに考えられる足底腱膜炎の症状、原因について、足底腱膜炎の原因になり得るプロネーションについて、足底腱膜炎の治療についてをまとめました。
土踏まずが痛むのなら、足底腱膜炎を疑おう
症状と原因について解説します。
- 足底腱膜炎の症状
- 足底腱膜炎になる原因
1.足底腱膜炎の症状
かかとが痛いと一言で言っても、診断するうえでは、様々な病名があります。日本整形外科学会では、痛みの部位によって以下のような診断をしています。
診察は圧痛点や痛みの局在、荷重位での足の変形などを調べます。荷重位のX線(レントゲン)撮影をすると扁平足などの診断が可能です。
主に痛みの部位によって診断が決まります。①種子骨障害②外脛骨障害③足底腱膜炎④踵骨々端症⑤踵骨滑液包炎
引用元:日本整形外科学会
その中でも、ランナーには足底腱膜炎が多いと言われていて、具体的な症状は次のとおりです。
- 足の裏、踵が痛い。
- 歩き始めに足の裏に激痛を感じる。
- 続けて歩いていると痛みがなくなる。
2.足底腱膜炎になる原因
足底腱膜炎になり得る原因を次にあげます。
- 足に衝撃がかかる、同じ動作を繰り返すスポーツをしている。
- 疲労の蓄積、加齢
- 立ち仕事をしている
- 肥満体型である
- 適切な靴を選べていない
- 足関節が固い
1)足に衝撃がかかる、同じ動作を繰り返すスポーツをしている。
マラソン、サッカーは勿論、バスケットボール、バレーボールなどジャンプを繰り返すスポーツでも多いことが特徴です。
足裏のケアを怠った状態で衝撃が繰り返されると足裏の筋肉、腱が硬くなるので、足底腱膜炎を発症することがあります。
2)疲労の蓄積、加齢
スポーツをしていなくても、加齢によって足底腱膜炎を発症することがあります。疲労や年齢と共に、足自身が衝撃に弱くなってきます。
さらに、加齢によって重心が後ろに傾きやすくなり、踵部分に負担がかかります。すると、硬化しやすくなるので足底腱膜炎を発症することがあります。
3)立ち仕事をしている
長時間立ち仕事をすることで、足裏は体重を支え続けることになります。
すると、圧迫されることにより足底腱膜が硬化しやすくなるので、足底腱膜炎を発症することがありますよ。
4)肥満体型である
肥満であることも足底腱膜炎を発症しやすくなりますよ。
当然、体重が増えると足の裏にかかる負担も大きくなります。痩せている人より、負荷が大きくなるわけですから、足底腱膜炎も発症しやすくなります。
5)適切な靴を選べていない
スポーツの時などには特に、適切なクッションのある靴を履かないと足底腱膜炎を発症しやすくなります。
着地や蹴り出しなどで足裏に負担がかからない構造の靴を選ぶようにしましょう。靴を選ぶ際には、きちんと足の指まで使えているかも検討してください。きつかったり、足の指がスムーズに動かないと足の後側に負担がかかることがありますよ。
6)足関節が固い
足関節が固いことによって、足底腱膜炎を発症しやすくなります。足関節は、着地の衝撃を和らげる作用があります。
足関節が固いと、衝撃が分散されないことによって、足の後側に集中して衝撃が伝わることになってしまいます。これにより、足底筋膜炎を発症しやすくなります。
足底腱膜炎の原因の一つ「プロネーション」とは
プロネーションとは、着地のときに足裏を内向きに回転する人間の自然な動きのことを指します。
自分のプロネーションのタイプを理解することで、足底腱膜炎の予防はもちろん、ランニングシューズを選ぶ際にも役立てることができますよ。
プロネーションは、以下のように3つに分類されます。
- ニュートラルプロネーション
- アンダープロネーション
- オーバープロネーション
1.ニュートラルプロネーション
着地の際に、足関節が垂直に近い状態をいいます。
蹴り出しもスムーズにいくので、足への負担が最も少ないプロネーションです。
2.アンダープロネーション
着地の際に、足関節が外側に傾く状態をいいます。このプロネーションでは、足底腱膜炎以外に、シンスプリント、足関節の捻挫をしやすいと言われています。
3.オーバープロネーション
着地の際に、足関節が内側に傾く状態をいいます。最も怪我を患いやすいと言われており、足底腱膜炎以外にも、シンスプリント、外反母趾、踵骨棘などの原因になり得るときがあります。
足底腱膜炎の治療
重症度によって足底腱膜炎の治療を解説します。
- 軽度な足底腱膜炎の治療
- 重度な足底腱膜炎の治療
1.軽度な足底腱膜炎の治療
1)温熱療法
入浴によって温まったところで、ストレッチやマッサージをしてみましょう。ただし痛みが強い時は無理に行ってはいけません。筋肉や腱が細かい断裂を起こしている可能性があるからです。
なお、湿布などで冷やす行為も控えるようにしましょう。足底腱膜が、より固まってしまう可能性がありますよ。
2)休息
足底腱膜炎は、足を酷使しないことが治療になります。できるだけ、踵に衝撃が加わらないよう心がけましょう。
その意味では、普段の生活にインソールを入れるなども有効ですね。なるべく足を休ませてあげましょう。
3)注射
痛みが強い場所周辺に、ヒアルロン酸やステロイドの局所注射をするときもあります。
ただし、注射効果は一時的なもので、完治するわけではありません。痛みが残る場合も多くあります。
2.重度な足底腱膜炎の治療
1)手術
一部の足底腱膜を切除する方法がとられます。歩行時の違和感が残ること。体への負担が大きいこと。以上の理由により、高齢者には積極的に行えませんでした。
2)体外衝撃波疼痛治療装置を用いた方法
手術を用いない方法として、2008年より厚生労働省が承認した体外衝撃波疼痛治療装置を用いる、という方法があります。これにより、手術でしか完治がのぞめなかった高齢者にも完治がのぞめるようになりました。
足底腱膜炎だけでなく、多くの体の関節の痛みに適応になります。衝撃波により、組織修復を促すことも明らかになっているので、疼痛治療には多く使われるようになってきています。
治療概要は以下の通りです。
・1回の治療時間は約30分です。
・麻酔等は不要です。
・外来で治療が可能です。
・副作用 がほとんどありません。
・治療後には治療前と同様にすぐに歩行が可能です。
・1回で効果が得られない場合は、数週間の期間をおいて複数回治療を行うことも可能です。
最後に
①土踏まずの痛みには様々な疾患があります。中でもランナーに多いといわれているのは足底腱膜炎です。原因となる生活スタイルを見直してみましょう。
②プロネーションとは、着地のときに足裏を内向きに回転する人間の自然な動きのことを指します。自分のプロネーションタイプを理解して、足底腱膜炎にならないようなシューズ選びに役立てましょう。
③軽度な足底腱膜炎は、足を酷使しないことが治療になります。重度な足底腱膜炎の治療には手術、体外衝撃波疼痛治療装置を用いた方法が選択されます。
踵の痛みは、ランニングだけでなく日常生活するうえで負担になります。あくまでもランナーに多い踵の痛みとしてまとめましたが、足の痛みは足底腱膜炎だけではありません。早めに受診することで、早めのランニングへの復帰がのぞめますよ。
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