頭打ちになったフルマラソンのタイムを打開する方法

ランニング知識

ランニングを始めた頃は、速く走れるようになりたい気持でトレーニングをすれば、タイムはどんどん縮まっていきます。タイムが縮まるとランニングが楽しくなりモチベーションが上がります。努力したこと対して結果ができるとやる気が出てくるのです。

ランニングを始めて3~4年が経つとタイムの縮み幅が小さくなります。努力をしても成果が小さくなっていくように感じます。やがて頑張ってトレーニングをしてもタイム更新ができなくなります。タイムの頭打ちです。

この記事は頭打ちになったタイムを打開するヒントが書かれています。

初心者は何故どんどんタイムが伸びるのか?

初心者はトレーニングを継続すれば自然にタイムが伸びていきます。要因を探ってみましょう。

フォームが良くなる

初心者は走ることに慣れていません。ランニングを繰り返すだけで走る運動動作に身体が慣れていきます。無駄な動き、力が少なくなり効率的なランニングフォームに自然になっていくのです。

ランニングに必要な筋肉が付く

ランニングを繰り返すことで、ランニングに必要な筋肉が鍛えられます。初めて走った翌日筋肉痛に悩まされますが、繰り返すことで筋肉痛が出なくなります。距離を伸ばしたり、ペースを上げて走ると再び筋肉痛がでますが、繰り返すことで出なくなります。

走ることで自然にランニングに必要な筋肉が鍛えられているのです。

心肺機能が向上する

初心者は少し走るだけで呼吸が乱れ、心拍数が上がります。自然に心肺機能が鍛えられていきます。人間の身体は適切な負荷を与えると、身体が反応して負荷に対応する身体になります。ランニングを繰り返すことで心肺機能が上がっていくのです。

エネルギー生産効率が良くなる

走るためのエネルギーの多くは筋肉内の細胞で生産されます。ランニングを繰り返すことで細胞内のエネルギー生産効率が上がります。この現象も適切な負荷を与えることで身体が反応した結果です。楽に走れるペースが上がっていくのです。

体重が減る

体重が減ることはランナーにとって大きなメリットです。楽に走れるペースが上がり、着地で身体への負担が減るので故障のリスクが下がります。ランニング初心者は今まで運動をしていなかった人が多いので、ランニングで体重が減ることが多いです。

タイムの頭打ちの原因は何か?

ランニングを始めて3~4年経つとベストタイムの更新幅が小さくなり、やがて頭打ちになります。頭打ちの原因を探っていきましょう

加齢による体力低下

人間の身体は20代中盤に体力的なピークを迎え、その後下降します。多くのスポーツは経験で選手のピークを20代後半から30代中盤まで伸ばすことができますが、体力的には低下しています。

ランニングを始めた年齢が30代以上の場合、加齢による体力の低下は進んでいきます。

身体能力の限界

誰もがオリンピック選手になれません。人間には個々の能力の限界があります。トレーニングを積んでゆくと限界に近づいていきます。ランニングも年数を重ねる程、身体能力の限界に近づいていきます。

トレーニング効果の限界

人間の身体は適切な負荷を与えると、身体が適応するように出来ています。ランニングも今まできつかったトレーニングが楽に感じるようになるのは身体が適用してきたからです。

同じ負荷のトレーニングを繰り返し、身体が負荷に適用すればそれ以上能力を上げることはできません。

体重減少のストップ

走り始めて数年が経つと適正な体重に落ち着いてきます。ランニングフォームが効率的になる程、消費カロリーが減り体重が減り難くなります。走る距離が増えても消費カロリーが減れば体重は減らなくなります。

タイム頭打ち打開の糸口

「タイムが伸びる要因」「タイムが頭打ちになる要因」を参考に、タイム頭打ちを打開する方法を考えてみましょう。

トレーニング方法を変える

繰り返しになりますが、人間の身体は適切負荷を与えると負荷に対応するように出来ています。今、行っているトレーニングではタイム頭打ちを打開するだけの刺激になっていないのかも知れません。

やみくもに走る距離を増やしたり、ペースを上げると故障の原因になります。新しい刺激は少しづつ増やしていきましょう。

ランニングフォームを変える

ランニングフォームを変えるメリットは多くあります。「運動効率が良くなりスピードを出しやすい」「身体への偏った負荷が減るので故障し難くくなる」などです。逆にデメリットもあります。

「馴染んだ動きを変えることで変な負荷がかかり故障の原因になる」「動きが身体に馴染まずストレスになる」などです。

減量に挑む

減量は多くのランナーにとって有効なパフォーマンスアップの手段です。ランナーは運動量は多いので、減量する場合は食事制限を強いることになり、ストレスになることもあります。既に痩せ過ぎのランナーはこれ以上の減量は逆にパフォーマンスダウンになります。

BMIが17以下、体脂肪率が男性5%以下・女性15%以下のランナーは減量をしてはいけません。

筋トレ・動き作りを入れる

「トレーニング方法を変える」「ランニングフォームを変える」にも関連しますが、筋トレや動き作りをトレーニングに入れることも新しい刺激になり、タイム頭打ちの打開に有効です。

ランニングに関係のない筋肉を鍛えると無駄な体重増加になるのでトレーニング方法には注意が必要です。体幹トレーニングを中心にしたトレーニングがおすすめです。

シューズでフォームを矯正する

走りを矯正する効果があるランニングシューズがあります。はだし系シューズは自分の身体を使って着地衝撃の吸収から体重移動を行う必要があります。反発性の高いシューズは地面からの反発をタイミング良く受けないと上手く走れません。

フォーム矯正は怪我のリスクもあるので、矯正用シューズは少しづつ試していきましょう。

生活の改善

ランニングのパフォーマンスを上げるには、良いトレーニングが必要です。良いトレーニングを行うには健康な身体が必要です。生活を改善することで健康な身体に近づいていきます。

食事の栄養バランスに気を付け、睡眠を適切にとって疲労を抜きます。毎日の積み重ねが大切です。

トレーニング方法を変えるポイント

トレーニング方法を変えるポイントを違う角度から3点紹介します。

月間走行距離を伸ばす

市民ランナーは月間走行距離が増える程、フルマラソンのタイムが向上する傾向があります。月間走行距離を増やすのは分かりやすい方法です。注意点があります。

  • 急に走行距離を増やさない
  • 故障には気を付ける
  • 最初はジョグなど負荷の低いトレーニングで距離を増やす

トレーニングを考えて行う

大切なのはトレーニングの目的を考えることです。「苦しいトレーニングをすれば速くなる」という考えは効率的なトレーニングではありません。苦しいトレーニングは時には必要ですが何のためのトレーニングなのかを理解して行うことで効果が高まります

トレーニングを組み合わせる

一回のトレーニングの中にいろいろな要素を組み合わせるとトレーニング効果が上がります。例えばジョグとウインドスプリントを組み合わせると良いフォームを作る効果が期待できます。

ウインドスプリントは80~150m程度の距離を「1km走全力の70~80%程度」で走ります。3~5本繰り返します。目的は楽にスピードが出るフォームを身に付けることです。短距離ダッシュではありません。楽に気持ち良く走ることが大事です。

ジョグの前に入れると身体が動きやすくなり、良いフォームの感覚を掴みやすくなります。

まとめ

タイム向上はランナーのモチベーションになります。トレーニングで努力した成果が数字に表れるのはとても嬉しいことです。ランニングを始めてから3~4年経つとタイムの向上が難しくなってきます。

それでも工夫次第でタイムを伸ばせる可能性があります。努力を重ねた結果のタイム向上は今まで以上の嬉しさを感じられます。

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しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。