膝の痛みに悩んでいるランナーは多くいます。ランニングの故障による悩みで一番多いのは膝です。ランニングに膝の痛みは付きものと諦めている人も多いのではないでしょうか?逆に膝の痛みをほとんど気にしないで走るランナーも多くいます。膝が痛くなるランナーと痛くならないランナーの違いは何でしょうか?
この記事はランニングによる膝の痛みの原因を幾つか取り上げ、ケアの方法、治療の方法、痛みが治まってランニング開始する際の注意点を解説しています。膝の痛み、対処に困っているランナーに読んで頂きたい内容です。
膝の痛みの原因を考える
膝の痛みの原因は幾つか考えられます。骨が原因の痛み、膝関節内部が原因の痛みは病院に行って治療が必要です。膝外部の筋肉や腱が原因の痛みで軽度なものは自分でケアをして走りながら治すことが可能です。
- 外傷による痛み
- 関節内部による痛み
- 関節外部による痛み
外傷による痛み
ランニングやトレイルランニングで転倒をした時、打撲などが原因で骨にひびが入っていたり、欠けるケースがあります。ズキズキした痛みが慢性的に続くような場合は骨の原因を疑いましょう。着地などのショックを与えた時にズキンと痛む場合もあります。
整形外科の領域ですので病院へ行きましょう。
関節内部による痛み
関節自体に問題があるケースです。変形性膝関節症、関節リウマチ、半月版損傷などが主な原因です。ランニングが原因というより元々膝にかかえていた疾患がランニングで表面化したケースが多いです。病院の整形外科に相談してみましょう。
関節外部による痛み
膝周辺の筋肉、腱が原因で膝に痛みが出るケースです。走り過ぎで筋肉に疲労が溜まるケース、フォームが悪くての筋肉の一部に大きな負担がかかるケースがあります。ランニングによる膝の痛みはほとんどがこのケースです。軽度の場合は自分で治療改善ができます。
重くなると鍼灸・マッサージなどの治療を受けるのが良いです。ランニングの走り始めは痛くなるが、しばらく走ると痛みが治まり、距離が伸びてくると再び痛みが出る症状は筋肉疲労による膝の痛みの典型的な症状です。
軽い関節外部による痛みは自分で走りながら治せる
走り出してから痛みが出てしばらく走ると痛みが引くケースはまだ軽傷です。自身のケアとフォーム改善で治るケースが多いです。
- 基本的なケア
- フォーム改善
基本的なケア
基本的なケアは下記4点です。
- 走り終わった直後のアイシング
- 走った日はお風呂で温める
- 風呂上りにマッサージ
- ストレッチを行う
ランニングで膝に痛みが出るケースのほとんどが膝ではなくももの筋肉の疲労です。ケアは膝だけなくももの筋肉を中心に行いましょう。
走り終わった直後のアイシング
走り終わった後は筋肉が炎症を起こした状態です。炎症を早く鎮めるにはアイシングが効果的です。水風呂に腰まで浸かるのが最も効果的なアイシング方法です。水風呂の温度は体温より低ければ炎症を静める効果があるので我慢するほど低い温度にする必要はありません。10分間程度浸かります。
水のシャワーを10分間程度かけることで簡易的なアイシングになります。
走った日はお風呂に使って温める
硬くなっている筋肉を改善するには血行を良くすることが大切です。ぬるめのお風呂にじっくり浸かって身体を温めてください。水風呂とお風呂を交互に入る交代浴は血行促進に効果があるので銭湯など水風呂がある環境に行った時に試してみてください。
風呂上りにマッサージをする
マッサージはとても大切です。硬くなっている筋肉に刺激を与えることで血行の促進になります。膝の痛みはももの筋肉疲労が原因のケースが多いので、もものマッサージを重点的に行います。ストレッチポールを使うのが効果的です。
ストレッチを行う
ストレッチも筋肉をほぐすには効果的です。無理に伸ばすのではなく張り感がある状態でキープして自然に伸びてくるのを待ちましょう。1つの部位に対して3方向に伸ばすと広い範囲での筋肉を伸ばすことができます。
フォーム改善
膝を痛める原因は膝に負荷をかける着地です。着地は膝ではなく体幹(お尻、お腹)で受ける意識に変えましょう。
体幹に軸を作る
良いランニング姿勢はお腹の奥に丹田から鳩尾にかけて軸を意識します。軸を作るとき、お腹に力が入り過ぎると、ランニングをするには動き難くなりますが、力が抜けすぎると良い姿勢がキープできません。このバランスが難しいのですが丁度良い感覚を見つけてください。
お腹の意識を入れるエクササイズ
- 立ち姿勢を作ります
- お腹全体を凹ませます
- 丹田に意識を置き10秒キープします
- 一旦リラックスします
- 3回繰り返します
お尻の意識を入れるエクササイズ
- 立ち姿勢を作ります
- お尻の上の方を締め、身体の真ん中に意識を集めて10秒キープします
- 一旦リラックスします
- 3回繰り返します
体幹に軸を作る
- 立ち姿勢を作ります
- お尻の意識を入れ、身体の真ん中に意識を集めます
- お腹を凹ませて、お尻とお腹の意識を丹田に集めます
- 丹田の意識を鳩尾に伸ばし、身体の奥に軸を作ります
- 軸は意識したまま、お腹、お尻の力を均等に抜きます
- 踵を上げ下げし、下げた時に、丹田・鳩尾の軸で衝撃を受けます
着地でお尻お腹を意識
ランニングの着地はお尻・お腹を意識します。脚で着地を意識すると膝や足首を痛めやすいです。着地でお尻・お腹を使うのは最初は難しいのですが、意識を続けていれば使えるようになります。
左右別々に行うエクササイズなので、左右差も意識してください。苦手な方を集中的に行い、左右差を無くすと着地の安定、故障の防止になります。
スクワット
お尻に意識を入れるスクワットです。膝をつま先より前に出さないで、お尻を後に突き出す意識をすると、お尻を使ったスクワットになります。
- 立ち姿勢を作ります
- 股関節を曲げスクワットします
- 立ち姿勢に戻します
- 10回程度繰り返します
片足スクワット
簡単なエクササイズですが、左足を半歩引いた時に右側のお尻、お腹の力で安定した状態を作るのがポイントです。重心は右足に60~70%おき、右側のお尻お腹で安定させます。
- 立ち姿勢を作ります
- 左足を1歩引きます
- 股関節の曲げ伸ばしで軽く身体を上下させます
- 10回程度繰り返します
※逆足も同様に行います
片足スクワットウォーキング
片足スクワットを歩きながら行います。お尻を使う動きを段々とランニングに近づけていきます。15m位を右側、左側を交互に3セット行います。
片足スクワットランニング
片足スクワットをランニングのイメージで行います。着地の瞬間が短いので一瞬でお尻を使えるようにします。15m位を右側、左側を交互に3セット行います。
重い関節外部による痛みは治療院へ行きながら治す
走っている途中に痛みで走れなくなる場合は症状が重い部類です。ランニングを一旦休んで治療に専念するのが良いです。
- 基本ケアとフォーム改善は続ける
- 治療での注意
基本ケアとフォーム改善は続ける
「軽い関節外部による痛み・・・」で紹介した「基本的なケア」と「フォーム改善」は継続して行いましょう。
治療での注意
治療先を選ぶのは難しいです。先生との相性もあります。良い治療先を選ぶ注意点です。
関節外部(筋肉・腱など)による痛みは鍼灸・マッサージがおすすめ
スポーツ障害に強く評判の良い鍼灸・マッサージがおすすめです。ランニング仲間からの紹介や口コミ情報を頼りに探してみましょう。整形外科は骨に傷害がある場合は頼りになりますが、筋肉の傷害は電気治療しかしてくれない場合が多いです。
3ヶ月続けて効果が無ければ治療先を変える
鍼灸・マッサージの先生は患者からのヒアリングと筋肉の張り具合などを確認して治療方針を立てます。治療方針が合えば症状が改善してくるのですが、残念ながら外れていると治療効果は少ないです。1ヶ月続けて全く治療効果が無ければ別の治療先を検討した方が良いです。3ヶ月効果がなければ治療先を変えましょう。
ランニングで膝を痛めたランナーのリハビリ方法
痛みが治まり走れるようになったら直ぐにでも走りたい気持ちは分かりますが、リハビリは少しづつ行います。以前と同じことを繰り返せば同じ現象が起きてしまうのでフォームの改善も大切です。
- フォーム改善
- リハビリラン
フォーム改善
「軽い関節外部による痛み・・・」で紹介した「フォーム改善」行いましょう。
リハビリラン
準備体操、ウォーキングでのウォーミングアップは必須です。慎重に身体の違和感・痛みに気をつけてリハビリランを始めましょう。
ゆっくりペースで距離を伸ばす
初日は特に慎重に
最初は100m位をゆっくり走りましょう。100m走ったらウォーキングを入れて膝の具合を確認します。違和感や痛みが出た時点でランニングは中止して家に帰りましょう。100mが大丈夫なら200m、200mが大丈夫なら、500mと少しづつ距離を伸ばしていきます。
500mが大丈夫でも最初はこれ以上一度に走る距離は伸ばしません。500m走ってウォーキングを繰り返します。慎重にランニングを再開しましょう。
②段々と距離を伸ばす
500mラン&ウォーキングを繰り返して5㎞位を走れるようになったら、1㎞ラン&ウォーキングを5セット、2㎞ラン&ウォーキングを3セットのように少しづつ距離を伸ばしていきます。
③いつの間にか故障をしていた事を忘れていれば完治
違和感や痛みが出ないで走れる距離が伸びてくると故障をしていたことを忘れてしまいます。どこが痛かったのかを思いさせない位になれば完治です。
2)スピードは短い距離で
5km程度が走れるようになり、スピードを出してみたくなったら100m程度を少しづつペースをアップしてみます。100mペースを上げたらゆっくりペースに戻します。様子をみながら繰り返していきましょう。ペースアップも慎重に行います。ゆっくりペースのリハビリランと同じようにペースを上げる距離を伸ばしていきます。
まとめ
ランナーの膝の違和感・痛みは、膝に負担のかかるランニングフォームで疲労の蓄積したケースが多いです。症状が軽いものはフォームの改善と負担のかかったもも周辺の筋肉をケアすることで改善します。
症状が重いケースは、鍼灸・マッサージの治療院に行くのが良いです。痛みの原因が骨や膝内部の場合は病院で診てもらうことになります。痛みが治まった後のリハビリランも大切です。
しゅうぞう
最新記事 by しゅうぞう (全て見る)
- ランニングは歳をとっても若いランナーに勝てる?その理由は? - 2020年5月1日
- みんなで走るときは仕切る人が必要、グループランニングを計画するコツを教えます - 2020年4月30日
- 屋内でできるランニングトレーニング - 2020年4月29日