タイムアップを狙って真剣にトレーニングを積んでいるランナーは、故障に悩むケースが多いです。故障を治すには痛みの原因が何なのか知ること大切です。原因を間違えたまま治療を続けても効果が得られません。
故障は病院や治療院に任せるだけでなく、自分で治す意思をしっかりと持つことが大切です。根拠の無い民間療法に頼るのは危険ですが、お医者さんの言うことが絶対に正しいとも言えません。
故障は身体のケアやちょっとした注意で未然に防ぐことができます。この記事はランニングの故障の原因と対策、予防方法について書かれています。故障に悩むランナーの参考になれば幸いです。
ランニングの故障とは
ランニングをしていれば身体の違和感や痛みと無縁ではいられません。ランニングの故障とは違和感や痛みで走ることが困難になることです。目標に向けてトレーニングをしたくても痛みや違和感で走ることができないのは残念なことです。
- 痛みで走れなくなるのが故障
- 痛みを我慢して走ると別の部分を痛める
- 痛みを気にし過ぎてもランニングを続けられない
- 走っても大丈夫な痛みと走らない方が良い痛み
痛みで走れなくなるのが故障
久しぶりにランニングすると筋肉痛になりますが、これは故障とは言いません。数日すれば痛みは和らぎランニングをすることができます。痛みで走るのが困難になる症状が毎回続くのは故障です。
痛みを我慢して走ると別の部分を痛める
右脚の痛みを我慢して走っているうちに左脚を痛めるケースはよくあります。知らずのうちに痛む部分に負担を掛けない走り方になり、別の部分を痛めてしまうのです。ランニングが習慣になってくると痛みが出ても走りたい気持ちは分かりますが、故障の連鎖には注意しましょう。
痛みを気にし過ぎてもランニングを続けられない
ランニングはウォーキングよりも身体に負担がかかります。ランニングに慣れていないと脚への負担は大きいです。初心者ランナーは膝に痛みがでることが多いのですが、痛みを気にし過ぎてもランニングを続けるのが難しくなります。
走って大丈夫な痛みと走らない方が良い痛み
筋肉痛は数日経てば改善される痛みです。フォームが乱れない程度の痛みなら軽く走るのは問題ありません。ランニングを継続していると筋肉に疲労が溜まり痛みになることがあります。走り始めは患部に鈍い痛みが出るが、走っていると痛みが消える場合は軽傷なので、無理をしなければランニングをしても大丈夫です。
走る距離やスピードを抑えて走り、日に日に痛みが減っていくのならばランニングを継続しましょう。問題があるのは着地で刺すような痛みがある場合、走るたびに痛みがひどくなるケースです。ランニングは休みにして、原因を究明して治療をしましょう。
痛みの原因を知る
痛みの原因によって、治療方法、治療に行く場所が違ってきます。原因を特定することができれば治るのも早いです。疲労骨折が原因なのに筋肉を緩めても効果はありません。正確に痛みの原因を特定するのは難しいですが、痛みが発生する原因を知っておくことは大切です。
- 骨
- 靱帯
- 腱
- 筋肉
- 神経
- メンタル
骨
ランニングの故障で骨に関して多いのは疲労骨折です。特に足の甲の中足骨の疲労骨折はランナーに多く見られます。骨折はランニングを休んで治療をすれば完治します。
靭帯
靭帯は骨と骨をつなぐ筋です。膝の靭帯は複雑な構造をしており、痛めると特定が難しいです。靭帯は切れたり伸びたりすると基本的には治りません。ひどい靭帯損傷は手術をすることになります。軽度の靭帯損傷は痛みと上手く付き合いながらランニングを続けることになります。
腱
腱は筋肉と骨をつなぐ筋です。踵の骨とふくらはぎの筋肉をつなぐアキレス腱は有名で外からも分かりやすい腱です。腱の損傷は治療に長期化することも多く、ある程度治ったら痛みと付き合い、走りながら治すことになります。
筋肉
筋肉の損傷で分かりやすいのが肉離れです。筋肉が切れる、伸びるなどを起こし痛みます。筋肉の損傷も適切に治療をすれば治ります。無理をして肉離れを繰り返すと肉離れが癖になるので注意が必要です。走り過ぎによる筋肉の炎症、硬縮も痛みや違和感が出て故障の原因になります。
神経
神経が損傷して痛みが出て走れないこともあります。ランニングでの神経系障害は坐骨神経痛が多いです。原因が筋肉の腫れなど神経を圧迫している場合は休息をとり、腫れが治まれば改善します。骨のズレにより神経が圧迫されている場合は外科的な治療が必要な場合もあります。
メンタル
意外に感じるかもしれませんが、メンタルがランニングの故障を起こす場合もあります。故障の痛みを脳が覚えてしまい、筋肉や腱の損傷は完治しても痛みを感じるケースがあります。ランニングのイップスもメンタルが原因です。ランニング中に急にカクンと骨がずれるような感じになるケースはイップスが原因と言われています。
ランニングの故障を予防する
ランニングで故障をする原因は大きく2つです。
- ランニングフォームが悪い
- 疲労を溜め過ぎている
ランニングフォームが悪い
ランニングフォームが悪いと身体の一部に負担がかかります。そのままランニングを続けていると一部の筋肉に疲労が蓄積されて故障の原因になります。
良い姿勢で走る
姿勢はとても大切です。ポイントは骨盤の位置と角度です。骨盤の位置が身体の軸より前過ぎると骨盤が後継し上体が後ろに倒れ気味になります。骨盤の位置が身体の軸より後ろ過ぎると骨盤が前傾し過ぎて腰に負担がかかります。
体幹を使う意識で走る
ランニングは脚で走るという意識は故障の原因になります。ランニングの着地は身体に大きな負担をかけるのですが、体幹を上手く使うと負荷が分散されます。膝や足首ではなく股関節を使って着地をする意識です。
着地が上手くなると着地の衝撃を受け流す技術が身につきます。ブレーキを掛けない走りです。衝撃を受け流すことができれば身体への負担は減ります。
ランニングコーチのフォームをチェックしてもらう
自分の姿勢やランニングフォームは、自分ではなかなか分かりません。自分のフォームを動画で撮影して、改善しても良いのですがどうすれば良くなるのかも自分では分からない場合があります。
信頼のできるランニングコーチにフォームを見てもらい、改善レッスンを受けるのがフォーム改善には早道です。
疲労を溜め過ぎている
トレーニングにより溜まった疲労の量を正確に把握するのは難しいです。タイムアップなどのパフォーマンスアップを狙う場合、身体に負荷をかける必要があり、負荷をかけると身体は疲労します。
栄養補給や休息で疲労は回復しますが、回復する前に大きな負荷をかけると疲労が蓄積してゆき故障へとつながります。
身体のケアをしっかりする
走り終わった後の身体のケアは疲労を抜くために必要です。
- 走り終わった後の軽いストレッチ
- 疲労が大きい時はアイシング
- 入浴をして血行を良くする
- 入浴中、或いは入浴後のマッサージ
- 入浴後のストレッチ
ランニングをした日にはできるだけケアをして疲労を抜きましょう。定期的に鍼治療やマッサージに行くのも疲労を回復させるのに役立ちます。
栄養補給、睡眠をしっかりとる
疲労を抜くには普段の健康管理と同様に栄養補給、睡眠が大切です。栄養補給はビタミン・ミネラル(野菜・果物など)、タンパク質(肉、牛乳など)、炭水化物(米、パンなど)をバランスよく摂ることが大切です。
ランナーはタンパク質を多目に摂るように心掛けてください。体質によっては鉄分が失われやすい人もいます。貧血になりやすい人は食事やサプリメントで鉄分を補給します。
睡眠も大切です。適切な睡眠時間は人によって違いますが、肉体的な疲労を回復するには6時間以上の睡眠は必要です。睡眠の質を良くするために早目に寝ることも心がけます。
計画的なトレーニングをする
蓄積した疲労を感覚だけで測るのは難しいです。トレーニングの量と質を計画的に行うことで無理な疲労の蓄積を避けることができます。
タイムアップを狙うランナーの基本的なトレーニングは週2回のポイント練習とジョグです。ポイント練習は長い距離を週1回、スピード練習を週1回です。
1週間のトレーニング例
- 月曜日 休養
- 火曜日 ジョグ
- 水曜日 ポイント練習(スピード練習)
- 木曜日 休養
- 金曜日 ジョグ
- 土曜日 ポイント練習(長い距離)
- 日曜日 ジョグ
疲労が溜まってきたと感じたら、休養を増やしたり、ポイント練習をジョグに変えたりします。
違和感や痛みが出たら早目に対応する
ケアやトレーニング計画に注意をしていても身体に違和感や痛みが出ることがあります。違和感や痛みは身体からの警告です。身体からの声を聴き休養を入れるなどして早目に対応しましょう。
走っている途中に痛みが出たらトレーニングを中止することも考えてください。
ランニングの故障を治療する
故障をしたしまったら、治療をして完治を目指します。
- 痛む箇所、痛み方を把握する
- 治療するのは自分という意識
- 信頼のおける病院・治療院を見つける
痛む箇所、痛み方を把握する
原因を特定するのは難しいのですが、自分の身体と向き合ってみましょう。
- 何処が痛むのか(例:膝の皿の下側)
- どんな時に痛むのか(例:ランニングの走り始め、しばらく走ると治まる)
- どんな痛み方なのか(例:ずきずきと鈍く痛む)
- 筋肉の張りや腫れはないか(例:ももの前の筋肉が張っていて、押すと痛い)
治療するのは自分という意識
「病院や治療院に行けば治してくれる」と考えない方が良いです。治すのは自分だという意識が大事です。自分の身体からの声に耳を傾け、治療に対して痛みが改善してきたのか、効果が無いのかを判断しましょう。
病院や治療院は得意な分野、不得意な分野があります。効果のない治療を続けていても良い結果にはなりません。違う治療方法を探すのが良い場合もあります。
信頼のおける病院・治療院を見つける
病院や治療院に行って、最初にこちらの症状を伝えることになります。痛む箇所、痛み方は治療のための大切なヒントです。正確に伝えましょう。こちらの話を最初にしっかり聴いてくれる先生は良い先生が多いです。
こちらの話を余り聞かないで、レントゲン検査を行ったり、姿勢のチェックに入る先生には注意をした方が良いです。
故障からのリハビリランニング
治療が上手くいれば、違和感や痛みが治まり、早くランニングを再開したい気持ちになります。故障してからランニング始めるときはリハビリと思って慎重に進めましょう。
- 無理をしない気持ちが大切
- 短めの距離、ゆっくりペースから始める
- 大丈夫なら距離を伸ばしていく
- 違和感を感じたらフォームを改善
- 痛みを感じたら途中で止める
- スピードアップは慎重に
- 故障している箇所がどこか分からなくなったら完治
無理をしない気持ちが大切
最初は特に無理をしない事が大切です。目標のレースが迫っている場合などは一刻も早く元のトレーニングを再開したいと思いますが焦りは禁物です。
短めの距離、ゆっくりペースから始める
最初は慎重に始めます。準備体操をしっかりと行い、ウォーキングで身体をほぐしてから走り始めます。最初は100m位をゆっくり走ってみましょう。100m走ったらウォーキングで痛みや違和感が無いか確認します。
大丈夫なら距離を伸ばしてゆく
痛みや違和感が無ければ、今度は200m走りウォーキングで痛みや違和感を確認します。次は400m、次は1kmです。初日はどんなに調子が良くても1km以上の距離を連続で走ることは控えましょう。ペースはゆっくりです。
違和感を感じたらフォームを改善
故障から回復してランニングを始めた時に故障個所に違和感を感じることはあります。良い機会なのので違和感を利用してフォームを改善するのがおすすめです。違和感を感じるのは故障した箇所に負担がかかるフォームだからです。
故障した箇所に違和感を感じない身体の使い方をいろいろと試してみましょう。故障しないフォームへの改善ヒントになります。
痛みを感じたら途中で止める
痛みを感じたらランニングを中止してウォーキングで帰りましょう。故障からの回復時期はとにかく慎重になることが大事です。
痛みがでない距離を伸ばしてゆくスピードを上げるのは慎重に
ゆっくりペースで1kmランニングを繰り返しても痛みがでなかったら、走る距離を伸ばしていきましょう。1.5kmをウォーキングを挟んで繰り返し、2kmをウォーキングを半さんで繰り返し、といった具合です。
スピードアップは慎重に
ゆっくりペースなら痛みは出ないという状態まで回復したら、ペースアップをします。ペースアップも慎重に行います。ゆっくりペースでは使わなかった筋肉がペースを上げることで酷使されることもあります。
故障している箇所がどこか分からなくなったら完治
少しづつ走る距離を伸ばし、ペースを上げてゆき、故障した箇所がどこだったのか分からなくなったら完治です。違和感を感じているうちは注意しながらトレーニングを進めましょう。
まとめ
頑張ってトレーニングをしているランナーほど、故障に悩まされるケースが多く見られます。自己ベスト記録更新などの目標に向けてきついトレーニングをするのは良いのですが、故障をしてしまうと走ることができなくなります。
故障の原因は悪いフォームと疲労の蓄積です。故障をしないためにも故障をする前に手を打ちましょう。
しゅうぞう
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