ランニングは着地時に体重の3~4倍の重さが足にかかります。ランニングによる故障は着地時の負担が原因になることが多いです。着地衝撃で膝を痛めてしまいランニングを休んだ経験があるランナーは多いのではないでしょうか?
ランニングの着地方法は大きく分けて3種類あります。足のかかとで着地するヒールストライク、足の中足部で着地するミッドフット着地、足の前足部で着地するフォアフット着地です。3つの着地方法にはそれぞれメリット、デメリットがあります。
着地について詳しい知識があれば、故障を防いで快適に走ることができます。
ランニング動作を確認してみよう
着地はランニング動作の一部です。ランニング動作は一連の流れをスムーズに行うことが理想です。ランニング動作全体を見てみましょう。ランニングは動き始めると同じ動作を繰り返すことになります。
始まりと終わりが無い動きのサイクルになります。身体の右側と左側を連携させながら交互に力を伝えていきます。
地面とコンタクトする
空中に浮いた身体は重力により、地面に引き戻されます。空中から地面に足を着く動作が着地の前半部分です。着地の前半部分は、空中に浮いた身体を足が受け止めるので大きな負担がかかります。
地面に力を伝える
ランニングは前に進む運動なので、足から地面に力を伝えて身体を前に動かす必要があります。接地した足から地面に力を伝えるのが着地の後半部分です。
地面から力を受けて推進力にする
作用反作用の法則で地面に伝えた力は地面から身体に戻ってきます。身体が前に動きます。まだ足は地面についたままですが段々と地面から受ける力が減っていきます。
身体が空中に上がる
ランニングは両足が身体から離れている空中姿勢があります。地面から受けた力で身体を前に進めると同時に身体を地面から浮き上がらせます。良い空中姿勢を作ることでストライドが大きくなり、速く走ることができます。
身体が上方に上がり過ぎるのは力のロスです。地面からの反力を推進力に活かすのが効率的な走り方です。
着地とは
着地は足が地面にコンタクトしてから地面に力を伝えるまでの動作です。着地で大事なのは、
- 衝撃を吸収し、脚や身体への負担を少なくする
- 推進力を減らさないようにする
- 足が地面に着いてから、足が地面に力を伝える動作へスムーズに行う
の3点です。衝撃を吸収しながら推進力を減らさない動きは難しいのです。着地動作が上手くなると楽に長く走れるようになります。
着地での身体の使い方
ストライドが1mのランナーはフルマラソンで42,195回の着地を行う計算です。身体の負担が少ない着地を身につけることは大切です。着地での身体の使い方を見てみましょう。
着地も体幹を使うのが理想
着地は下半身だけでなく、身体全体を上手く使うのが理想です。着地で足や膝など、身体の一部への負担が大きいと長い距離を走ったときに、疲労が大きくなったり、痛みが出たりします。
衝撃を受け止めるのは、足関節、膝関節、股関節
着地衝撃を受けるのは主には下半身の関節です。足関節、膝関節、股関節を上手く連動させます。足関節で着地衝撃を受けるときに使われるのがふくらはぎの筋肉です。膝関節で着地衝撃を受けるときに使われるのがももの前の筋肉です。股関節で着地衝撃を受けるときに使われるのがお尻の筋肉です。
この3つの筋肉の大きさを比べると、ふくらはぎは小、ももの前は中、お尻は大です。筋肉の大きさに合わせて負担を大きくするのが上手な身体の使い方です。膝を傷めるランナーは股関節を上手く使えていないケースが多いです。
足のアーチも衝撃を受けるために役立つ
足の裏のアーチも着地衝撃を受けるために役立ちます。足の裏には3つのアーチがあります。外側アーチ、内側アーチ、横アーチです。一番大きなアーチは内側アーチです。アーチが着地で潰れることで着地衝撃の吸収になります。
3種類のランニング着地方法
ランニングの着地方法は3つです。特徴を見てみましょう。
ヒールストライク
かかとから地面にコンタクトし、足裏全体で着地します。
ミッドフット着地
中足部から地面にコンタクトし、足裏全体で着地します。かかと部分は地面に着かないで、中足部、前足部だけで着地するランナーもいます。
フォアフット着地
前足部から地面にコンタクトし、足裏全体で着地します。かかと部分は地面に着かないで、前足部、中足部だけで着地するランナーもいます。
ヒールストライクのメリット・デメリット
ランニング初心者がゆっくり走ると大抵、ヒールストライクになります。歩き動作と同じ動きなのでヒールストライクは自然にできる着地です。
メリット
- ウォーキングはヒールストライクなので身体が慣れ親しんだ動き
- 初心者用のランニングシューズはヒールストライクで走るように作られている
- 自然な重心移動で走れる
デメリット
- ブレーキをかける動きになる
- 足首、膝への負担が大きくなる
ミッドフット着地のメリット・デメリット
ランニングの中級者、上級者は自然にミッドフット着地になっていることが多いです。走るペースが上り、着地からの重心移動をスムーズにするとミッドフット着地になります。
メリット
- ランニング慣れてくると自然に習得できる
- ブレーキをかける動きが少ない
- 足首、膝への負担が小さい
デメリット
- 初心者には習得が難しい
フォアフット着地のメリット・デメリット
短い距離を速く走ると自然にフォアフット着地になります。長い距離をフォアフット着地で走るとアキレス腱やふくらはぎを痛めやすいです。長距離のランニングで使えるフォアフット着地は習得が難しいです。
メリット
- 速く走ることができる
- ブレーキが少ない
- 短距離走のイメージで走るとフォアフットになるのでイメージしやすい
デメリット
- 長距離に向いたフォアフットの習得は難しい
- 足底筋膜、アキレス腱、ふくらはぎを傷めやすい
おすすめの着地方法
おすすめの着地方法はミッドフット着地です。何故ミッドフット着地が良いか見ていきましょう。
良い着地を意識すれば自然にミッドフット着地になる
良い動きをしているランナーの着地はほとんどミッドフット着地だと言っても過言ではありません。トップランナーでもミッドフット着地の選手は多いです。テレビのマラソン中継を見ると踵から着地しているように見えますが、スローで見ると中足部で着地していることが分かります。
良い着地とは
良い着地とは何でしょうか?故障をしないで、楽に走れる着地が良い着地です。
ブレーキをかけない
ブレーキをかけると推進力を減らしてしまいます。脚や身体に負担をかけることになります。踵からドンと着地するとブレーキがかかり良いことはありません。
足関節、膝関節、股関節に衝撃を分散させる
着地は足関節、膝関節、股関節を上手く連動させると良いです。イメージは股関節で着地衝撃を受け止めて、膝関節、足関節は柔らかく使う感じです。
衝撃を受け流し推進力にする
ゆっくり走る場合、着地は受け止める感覚です。スピードを出す場合は着地は受け止めるだけでなく、衝撃を受け流して推進力に繋げていきます。
ミッドフット着地の習得方法
ミッドフット着地は感覚を掴むまで時間がかかるかも知れません。習得方法のヒントです。
着地ポイントを身体の下にする意識
着地ポイントを身体の下にすれば自然にミッドフット着地になります。着地のタイミングをワンテンポ遅らせる感じです。上り坂を使って練習すると感覚が掴みやすいです。
はだし系シューズを履く
ワラーチ、足袋シューズやビブラムファイブフィンガーのようなはだし系シューズはミッドフット着地の習得に役立ちます。かかと部分にクッションがないので、かかとからドンと着地をすると痛いです。
最初はウォーキングから慣らしていき、軽くジョギングする程度で十分です。無理にペースを上げて走るとフォアフット着地になり、ふくらはぎやアキレス腱を痛める危険があります。
まとめ
着地はランニング動作の中でも身体への負担が大きな動きです。良い着地は身体への負担が少なく、楽に走ることができます。着地にはヒールストライク、ミッドフット着地、フォアフット着地の3種類があります。
ミッドフット着地は故障をし難く、スピードも出せて楽に走れます。習得も比較的しやすいでおすすめの着地方法です。
しゅうぞう
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