毎月100km、200kmと走っているのに、フルマラソンの自己ベストが更新できない。ハーフではいい記録が出るのに、フルになるとタイムが伸びない。そんな経験ありませんか?
あなたに足りていないのは、スピード持久力かもしれません。
そもそもスピード持久力とは
走力を表現するひとつの指標です。
走る力と書いて「走力」
「速く走る」方法を考えたときに、ぱっと思いつくのは次の2つの能力ではないでしょうか。
- スピード
- 持久力
スピード
文字通り走るスピードです。スピードと言っても、100m走るスピードと、1500m、100000mなど、同じ人でも走る距離によって出せるスピードは様々です。ここでは単純に速く走る力と捉えてください。
100mを速く走ることができる人でも、フルマラソンを速く走ることができるとは限りません。それは、次に書く持久力が影響しています。
持久力
体力や心肺機能という言葉にも置き換えられます。長い時間走り続けられる力ですね。
いくら速く走れても、持久力がなければすぐにバテてしまっていい記録は出せません。
スピード持久力とは、長距離を走る総合的な能力
ある一定の速度で長い距離を走りきれる力と考えてください。長い距離を走りきる力というのは、走るスピードと走り切る体力(持久力)の総合力です。
それぞれの力をバランス良く発揮できる力がスピード持久力です。
フルマラソンあるいはハーフマラソンで記録を伸ばしたい方は、スピード持久力を向上させる必要があります。
スピードだけでも持久力だけでもだめ
これは感覚的にわかっていただけると思います。スピードがあっても持久力がなければ後半バテてしまいますし、持久力があってもスピードがないと最初から最後までゆっくりしか走れないのでタイムが伸びません。
スピードと持久力の両方を同時に大きくはできない
スピードと持久力を同時にレベルアップさせることは可能ですが、非常に効率が悪くなります。これはスピードと持久力に関わる筋肉が異なるからです。
筋肉には大きく分けて下記の2種類があります。
- “速筋“
- “遅筋“
速筋
速筋は短距離走などで使われるような瞬発力を発揮する筋肉です。この筋肉を鍛えることでスピードアップの底上げが期待できます。
遅筋
一方で遅筋は長時間動き続ける時に使われる筋肉です。瞬発的な力を出すことはできませんが、長く動かし続けることが得意な筋肉です。
フルマラソンは長く動き続ける競技ですので、この遅筋を効率よく鍛えることが重要になります。ですが、遅筋だけ鍛えているとスピードが不足して、記録の更新が難しくなります。
ひとつずつ積み上げていく
まずはスピード、持久力のどちらかに重点を置いてレベルアップしていき、その後もう一方のトレーニングに取り組みます。
スピードと持久力どちらのレベルアップを優先させるか、という点においては様々な意見があり、これが正解という答えはありません。ご自身のやりやすい方法を見つけていくのが一番になります。
暑い夏は長く走らず、スピードアップする
これは個人的な意見ですが、暑い夏はどうしても長く走るのがキツくなります。そこで、短い距離・時間でも効果の期待できるスピード系のトレーニングを中心に行い、涼しくなってきたところで持久力アップに取り組むのがおすすめです。
スピード持久力を強化する方法
くどいようですが、スピードと持久力を同時にレベルアップするのは難しいものです。まずは、それぞれの能力を底上げした上で、バランス良く能力発揮できるようにスピード持久力を伸ばしていくようなトレーニング計画をたてる必要があります。
フルマラソンに向けた主なトレーニングメニュー
一般にトレーニングのメニューとして挙げられるのが下記のものです。
- LSD
- ジョギング
- ペース走
- ビルドアップ
- インターバル
上のメニューが一番ゆっくりで、下にいくほどスピードアップするメニューになります。
1.LSD
LSDは可能な限りゆっくりペースで長く走るトレーニングです。トレーニングの方法については書籍やネットにたくさん記事がありますので参考になると思います。
大切なのは、ついつい上がりそうになるペースを上げないこと。もうひとつは時間を決めて走ること。10kmとか20kmの距離ではなく、2時間や3時間といった時間を決めて取り組んでください。
2.ジョギング
LSDより少しペースは速くなりますが、基本的にはゆっくり長く走るという点で同じです。LSDとジョギングだけでも持久力を向上させることができます。
また、ジョギングはポイント練習の間のつなぎにも効果的です。
3.ペース走
言葉の通り、一定のペースで最初から最後まで走り切るトレーニングです。
ビルドアップやインターバルで鍛えたスピードと、LSDやジョギングで鍛えた持久力をベースにして、長く・速く走ることを目指すトレーニングになります。
今回のメインになりますので、後ほど詳しく説明していきます。
4.ビルドアップ、5.インターバル
こちらも参考になる記事や情報はたくさんありますので、詳しい説明はここでは省きますが、これらのトレーニングを組み込むことでスピードの底上げが期待できます。
ただし、負荷の高いトレーニングですので怪我のリスクが高くなります。週に1度か2度程度にとどめておきましょう。
スピード持久力の底上げ、閾値ペース走
先程も書いたように、ペース走とは「一定のペースで最初から最後まで走り切る」トレーニングです。(ウォームアップ、クールダウンは他のトレーニング同様必要です)
スタートからゴールまで一定ペースで走り続けられれば、フルマラソンを目標タイムで走ることができますよね。まさに、マラソンのためにあるようなトレーニングです。
このトレーニングで一番重要なのはペースの設定
ゆっくり長く走るLSDも、遅いペース走と言えます。短い距離を速く走るのも、早いペース走です。
スピード持久力のアップという目標に対しては、速すぎてもダメ、遅すぎてもダメです。目標とするペースは20分間走り続けられるスピードです。
このペースより遅いと負荷が低いため、トレーニングの効果が低くなります。つまり、単なるジョギングになってしまうということですね。
このペースより早いと乳酸が大量に生産され、一定のペースで走り続けることが難しくなります。ですので、乳酸濃度が急上昇する直前のところをキープしつつ、走り続けるというところがポイントになります。
乳酸濃度が急上昇するポイント=乳酸性閾値となるペースでのペース走、これがスピード持久力を効率的に向上させるためのペース設定となります。一般にはこれを閾値ペース走もしくは閾値走といいます。
でも、20分間走り続けられるスピード・・・とは言っても難しいですよね。そんな時のために参考になるのが下記のサイトです。
ここで、
- 目標距離(フルマラソンならMarathon)
- 目標時間もしくは現在の持ちタイム(サブ4なら”4″ “0” “0”)
- Calculateを押す
これで、画面下の「TRAINING」に適切なトレーニングペースが表示されます。
Thresholdの1kmペースが5:11と書かれています。
サブ4を目指す場合のペース走はこのペースで最低20分〜1時間走ることを目標にしてください。これ以上長く走っても効果はそれほど向上しないだけでなく、怪我のリスクが高まるのでおすすめしません。
さらに詳しいことを知りたい方は、ジャック・ダニエルズの「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」を御覧ください。
閾値走だけではなく、いろいろなトレーニング方法について理論的にまとめられており、非常にためになります。上記のサイトも、このランニングフォーミュラに記載されている内容を簡単に計算できるようにしたものです。
まとめ
フルマラソンのタイムを更新するには、スピード・持久力それぞれの能力だけではなく、スピード持久力を向上させることが不可欠です。
そのスピード持久力を効率的に向上させるトレーニングが、閾値ペース走です。自分の現在の立ち位置での適切な閾値ペースを把握することによって、より効率的なトレーニングが可能となります。
今年のマラソンシーズンもいよいよ本番間近。今からでも遅くありませんので、是非閾値ペース走をトレーニングに取り入れてみてください!
C-hgashi
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