ランニングを続けると自分のランニングフォームが気になったり、もっと楽に走れるようになりたいと思ったりしますよね?ランニングフォームに関する情報は検索したり、雑誌や書籍で得ることができます。しかし情報の多さがランナーを混乱させます。
ランニング腕振りも「生卵を握るように」「肘は90度をキープ」「肩甲骨を動かす」など、様々な情報が氾濫しています。入ってくる情報を全て試すと混乱を招きます。意識すべきポイントはランナーのレベルによって違うのです。
この記事ではランニング腕振りをランナーのレベル別に解説し、意識すべきポイントをまとめました。
ランニングにおける腕振りの役割
腕振りの役割は下記3つです。
- 走りのリズムを作る
- 着地での身体のバランスをとる
- 走る推進力を得る
ランニング腕振りの役割を知っておくと、腕振りの必要性が理解できるので、腕振りの意識が変わります。
走りのリズムを作る
ランニングはリズムが大切です。ランニングは連続するジャンプ運動なので、リズム良く身体を動かすことが効率的な動きになります。
腕を動かすことは脚を動かすことに比べてランナーがコントロールしやすいです。腕振りでランニングのリズムを作ることは、身体の動きの理にかなっています。
着地での身体のバランスをとる
不安定になる着地のバランスを腕振りで安定させることができます。これはランナーが無意識にやっていることで、力んで腕振りをするとバランスが崩れてしまいます。リラックスした腕振りが、ランニングのバランスをとります。
走る推進力を得る
腕振りでランニングの推進力を得ることができます。推進力を得るには意識して腕振りをします。中級レベルの項目で詳しく説明しますが、腕を振るのではなく肩甲骨を動かす意識です。肩甲骨が上手く動かせるとランニングの推進力を得ることができます。
初心者が腕振りで意識するのはリズムとリラックス
初心者ランナーは走ることを楽しみながら、ランニングの動きを身体に馴染ませてるのが大切です。腕振りもいろいろな情報に惑わされず、シンプルにリズムとリラックスを意識しましょう。
ランニング初心者は欲張り過ぎない
- リラックスして腕を振る
- リズムを意識する
ランニング初心者は腕振りを意識し過ぎてはいけません。少しでも楽に効率良く走れるようになりたい気持ちは分かりますが、いろいろな動きを無理に行うとギクシャクしてしまいます。リラックスしてリズム良くランニングに身体を慣らしていきましょう。
最初は手を意識して腕振り
腕振りでリズムをとるときに身体の一部を意識しましょう。最初は手を意識すると良いです。手の形は力を入れ過ぎなければ、何でも大丈夫です。生卵を潰さないように握る感じでも良いですし、無理に手を握る必要もありません。
徐々に意識する部分を体幹に近づける
- 最初は手を意識
- 慣れてきたら肘を引く意識
- 更になれてきたら肩を動かす意識
初心者から中級者へのプロセスとして、意識する部分を体幹に近づけてゆくと良いです。肩を意識してリズムをとれると腕振りの初心者レベルは卒業です。但し、力まないことが大事です。
中級者が腕振りで意識するのは肩甲骨の動き
リラックスしてリズム良く長い距離を走れるようになれば中級者です。次のステップでは体幹を使う意識が大事になります。腕振りの意識は体幹の一部である肩甲骨の動きになります。
肩甲骨を動かすメリット
- 今までと違う筋肉を使うことで筋肉疲労を分散できる
- ランニングの推進力を得る動きができる
スポーツで効率的に身体を使うには体幹を上手く使うことが大切です。肩甲骨も体幹の一部です。ランニングの腕振りで、肩甲骨を上手く使うと効率的な動きになります。
肩甲骨は使い難い?
初心者の頃から肩甲骨を使うことを意識すれば良いと思うかも知れませんが、肩甲骨を動かすことは実は難しいのです。その理由は下記の2点です。
- 肩甲骨周りの筋肉が硬くなっている
- 肩甲骨を動かす筋肉が使い難くなっている
このような状態で無理に肩甲骨を動かそうとすると、力んでしまったり、リズムが狂ってしまったりで、ランニングフォームが悪くなります。ですので、初心者はランニングの動きに慣れるためにリラックスとリズムを重視します。
ランニングに慣れてきた中級者はレベルアップするために、肩甲骨を動かすことを意識します。腕を振ると肩甲骨が動くのではなく、肩甲骨を動かすので腕が振れるのです。
肩甲骨を動かすプロセス
- 肩甲骨周りをほぐす
- 肩甲骨を動かす意識をする
- ウォーキングで肩甲骨を動かす
- ランニングで肩甲骨を動かす
今まで使っていなかった肩甲骨を動かすには練習が必要です。人によっては肩甲骨を動かす感覚を得るまで数週間かかる場合があります。焦らずに少しづつ感覚を掴んでいきましょう。
1.肩甲骨周りをほぐすストレッチ
肩甲骨を背骨に引けるストレッチです。
- 立ち姿勢で手を後ろで組みます
- 手を斜め下に引き20~30秒キープします
- これを3セット繰り返します
※注意点
肩甲骨周りに刺激を入れる意識が大事です
力を入れ過ぎてはいけません、軽く引いて肩甲骨周りに刺激が入る程度で十分です
2.肩甲骨を動かすエクササイズ
次に肩甲骨を動かすエクササイズです。最初は上手く動かないかもしれませんが、繰り返して肩甲骨を動かすコツを掴んでいきましょう。
両側の肩甲骨を引く
- 立ち姿勢でリラックスします
- 両方の肩甲骨を背骨に近づける意識で引きます
- 立ち姿勢に戻します
- これを10回程度繰り返します
右側の肩甲骨を引く
- 立ち姿勢でリラックスします
- 右側の肩甲骨を背骨に近づける意識で引きます
- 立ち姿勢に戻します
- これを10回程度繰り返します
左側の肩甲骨を引く
- 立ち姿勢でリラックスします
- 左側の肩甲骨を背骨に近づける意識で引きます
- 立ち姿勢に戻します
- これを10回程度繰り返します
左右の肩甲骨を交互に引く
動きを腕振りに近づけます
- 立ち姿勢でリラックスします
- 左右の肩甲骨を背骨に近づける意識で交互に引きます
- これを20回程度繰り返します
3.ウォーキングで肩甲骨を動かす
エクササイズで肩甲骨を動かす感覚を得たら、ウォーキングで肩甲骨を動かします。ランニングに比べて動きがゆっくりなので、しっかりと肩甲骨を引く意識をします。慣れてきたら少し歩くペースを上げてみましょう。
4.ランニングで肩甲骨を動かす
ウォーキングで肩甲骨を動かす意識ができたら、ランニングで肩甲骨を動かしてみましょう。このとき大事なのは力まないことです。力むとリズムが乱れ、走りがギクシャクして疲れてしまいます。ウォーキングでは肩甲骨をしっかり引きますが、ランニングでは肩甲骨で軽くリズムをとる感覚が良いです。
上級者は腕振りを推進力に活かす
ランニングの上級者は上半身の動きを推進力に活かします。肩甲骨を動かすことで重心を前に進める力にします。基本になるリズムとリラックスも忘れてはいけません。
腕や肩ではなく肩甲骨を動かす
肩甲骨を動かす腕振りが身についたら、いよいよ腕振りを推進力に活かしていきます。ここまで読み進めて頂いた方はお気づきかも知れませんが、大事なのは腕を振ることではなく、体幹の一部である肩甲骨を動かすことです。
ポイントは重心移動
肩甲骨の動きが上手く使えるようになると重心移動がスムーズになるというメリットが得られます。これらがランニングの推進力になります。
重心移動とは
身体の重心はおへその下5~10cmにあり、丹田ともいわれます。この重心を前に進めることが重心移動です。ランニングでは重心移動を効率的に行うと楽に走ることができます。肩甲骨を上手く使うと重心移動の力になります。
肩甲骨を使う重心移動のイメージ
- 右足を着地
- 左肩甲骨を引く
- 重心が前に移動
- 左足を着地
- 右肩甲骨を引く
- 重心が前に移動
この流れを繰り返していきます。
着地と肩甲骨を引くタイミングが上手くいくと、重心がスーッと前に気持ちよく進みます。重心移動が上手くできると自然にストライドが伸び、楽に走るペースを上げることができます。
繰り返しあるのみ
重心移動が上手くなるには、肩甲骨の動きを意識してランニングを積むしかありません。但し、肩甲骨を動かそうと力んではいけません。ランニングの前に「肩甲骨を動かすエクササイズ」を入れると良いです。
理想的な腕振りはリラックス
これまでも散々述べてきましたが、ランニングは力まずにリラックスすることが大事です。ランニングのように長時間を身体を動かし続けるスポーツは、少ない力で効率的に身体を動かすことが大切になります。
ですので究極の腕振りはリラックスです。良い動きを必要最小限の力で行うのが理想のランニングフォームです。
まとめ
ランニング腕振りについて、ランナーレベル別にポイントを解説してきました。
- 初心者はリズムとリラックス
- 中級者は肩甲骨を動かす
- 上級者は肩甲骨の動きを推進力に活かす
ランニングは肩甲骨を動かすことが大切です。肩甲骨の動きは重心移動に結びつき、ランニングの推進力になります。最適な肩甲骨の動かし方、タイミングが掴めると前にスーッと進む感覚を得ることができます。
但し、力みは禁物です。良い動き、タイミングをリラックスしてできるようになった時に、理想の腕振りが完成します。
しゅうぞう
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