ある程度走れるようになってきたけど、レースに出るならもう少し記録を伸ばしたいですよね?。レースで記録を伸ばす為におなじみの練習がインターバルトレーニングです。そこでインターバルトレーニングの効果と練習方法について考えてみましょう。
インターバルトレーニングの目的
中学、高校陸上部で長距離をしていた方はインターバルトレーニングをしていたでしょう。それではなぜインターバルトレーニングが行われるのか?。主に以下の3つを目的としています。
- 心肺に高い負荷をかける事ができる
- 長距離では出せないペースで走る事ができる
- 短時間で高い強度の練習ができる
それによって得られる効果はこれから説明します。
心肺に高い負荷をかけて心肺能力の向上を目指す
インターバルトレーニングは速いペースで走るので、心肺に高い負荷をかける事ができます。それにより心肺能力の向上が期待できます。トレーニングの原理の1つ「過負荷の原則」ですね。すなわち心肺能力を伸ばすのにはインターバルトレーニングが効果的なのです。
速いペースで走ることによってスピード向上を目指す
インターバルでは疾走の距離があまり長くありません。したがって長距離ではできない速いペースで走る事ができます。それにより速いペースでしか使われない速筋に負荷をかける事ができます。極端な話にはなりますが、筆者のように普段長距離の練習をやっている人が、地元の運動会のリレーを走った後に思わぬところが筋肉痛になったと言うのもよく聞きます。それだけ速筋と遅筋は使われ方が違うのです。話がそれたが、速筋に負荷をかけることが、スピード向上につながり、速く走れるようになるのです。
短時間の練習で高い強度を得られる
インターバルは走行距離の総計が5~10kmであまり長い方ではありません。その上、速いペースで走るので、全体の練習時間が短くなります。練習時間が短くなった分を補強練習、回復に廻したりすることができます。また短時間で済むので平日の練習で実施する事も多いです。心肺能力向上で行われるLSDやロング走はどうしても時間がかかるのですが、同じ目的の練習がインターバルトレーニングでは短期間でできるのです。
インターバルトレーニングはどんな効果がある?
インターバルトレーニングで得られる効果としては以下の項目が挙げられます。
- VO2max(最大酸素摂取量)の向上
- 耐乳酸能力の向上
- 速筋線維の鍛錬効果
- 内臓脂肪の減少
これらの4つの項目について、詳しく説明します。
VO2maxが向上する
VO2max(最大酸素摂取量)は1分間で体内に取り込まれる酸素の量のことです。その量が多ければ筋肉が運動を持続することができる、すなわち持久力が高いと言う事です。インターバルトレーニングは心肺に負荷をかけるトレーニングで、取り込まれる酸素の量が大きくなります。それを繰り返せば身体がより少ない心拍数で酸素を取り込もうとします。その結果がVO2maxの向上につながるのです。
耐乳酸能力がつく
強度の高い運動をすれば、筋肉から乳酸が生成されます。その乳酸は筋肉の収縮の妨げとなり、それが蓄積されると筋肉の収縮が鈍くなり、パフォーマンスに影響を与えます。
インターバルトレーニングを繰り返して行うことによって乳酸は貯まっていきますが、身体はだんだんそれに適応して乳酸があっても筋肉を収縮させることができるようになる、すなわち耐乳酸能力、乳酸に耐える能力がつきます。つまり強度の高い運動でもパフォーマンスが落ちにくくなるのです。
参考:弘山勉のブログ
速筋線維が鍛えられスピードが向上する
筋肉には速筋と遅筋の2種類があります。力は弱いが運動を持続させる事ができるのが遅筋で、持続性に乏しいが大きな力を出せるのが速筋です。普段の運動では遅筋が主に使われるのですが、インターバルトレーニングのような強度が高い運動では速筋が使われます。筋肉は負荷を与えなければ能力の向上はしません。強度の高い運動をやることで初めて向上するのです。
インターバルトレーニングは速筋に負荷を与えるので、それが速筋を鍛える効果となります。速筋が鍛えられれば出せる力が大きくなる。それがスピード向上につながるのです。元々インターバルトレーニングはスピード持久力向上の為に開発された方法でその効果はてきめんです。
内臓脂肪が減少する
インターバルトレーニングを行うと内臓脂肪が減少すると言う研究結果もあります。これまではちょっときつめの有酸素運動が脂肪燃焼に効果があると言われていましたが、近年は高強度インターバルトレーニング(HIIT)の方が脂肪燃焼効果があると発表されています。とは言え高強度のトレーニングは中上級者向けで、初心者にとってはかなりきついですので、これまで通りの有酸素運動を継続させても効果はあります。
インターバルトレーニングの効果を倍増させる実践方法
インターバルトレーニングのやり方を簡単に言うと、ダッシュとJOGの繰り返しです。ダッシュで大きな負荷をかけた後、JOGで心拍数を落ち着かせて、再びダッシュで負荷をかけるのです。インターバルトレーニングの距離や本数の取り方としてはこれらで行われる事が多いです。
- 400m×8~12(セット間のつなぎJOG200m)
- 800m×6~8(セット間のつなぎJOG400m)
- 1000m×5~7(セット間のつなぎJOG400m)
- 2000m×3~4(セット間のつなぎJOG1000m)
これはトラックで行う場合の距離設定ですが、ロードで行う場合はそれに近い距離で行います。ダッシュのペースは5kmのレースペースで行い、つなぎJOGは再びダッシュをする時にちょっと呼吸が落ち着いてきたかなと感じるペースで走ります。
400mインターバル
400mはトラック1周分で、トラックで練習するのによく使われる距離です。この距離の特徴としては、速いペースで走る事ができる事と、インターバルに慣れていない方にもとっつきやすい事です。また長い距離を走りにくい夏場の練習でもよく使われます。
800mインターバル(ヤッソ)
この距離はヤッソと言われる練習として有名です。ペースはフルマラソンのタイムで計算します。例えばフルマラソンのタイムが3時間15分ならば800mを3分15秒、つなぎJOGの400mも3分15秒のペースで非常に計算がしやすいです。実際のヤッソは10セット行うのですが、この本数では強度が大きすぎるので、本数を減らして行っている方も多いです。
1000mインターバル
この距離がインターバルで一番使われる距離で、筆者もインターバルトレーニングをこの距離で行う事が多いです。心肺に負荷をかける時間としてもこの距離が最適です。また1km何分を感覚づける側面もあります。
インターバルトレーニングを始める前の注意点
インターバルトレーニングはトレーニング効果が大きい分、身体にも大きな負荷がかかります。それゆえ、いくつかの注意すべき事があります。
- 準備運動は必ず行う
- 決められた本数をこなせるペースで行う
- クールダウンとケアを怠らない
- 2日連続で行わない
以上の4つについて説明をします。
準備運動は入念に
インターバルトレーニングは強度の高い練習になりますので、準備運動は必ず行いましょう。準備運動として行いたいのは以下の3つです。
- JOG
- ストレッチ、動きつくり(関節の可動域を広げ、ケガのリスクを軽減させる)
- 流し、ウインドスプリント(速いスピードに慣れる)
これらを行って身体を馴らしてから、練習に取り組みましょう。
決められた本数をこなせるペースで走ろう
いくらインターバルトレーニングを速いペースで行うと言っても、速すぎて本数をこなせなければ効果は期待できません。速いペースを何度もこなして初めて効果が表れるのです。できるだけ最初から最後まで変わらないペースで走りましょう。例として挙げた練習のダッシュの総距離はおおよそ5kmになっています。したがって5kmのペースで行うのが最適です。
クールダウンとケアは必須
インターバルトレーニングは身体に大きな負荷をかける為、クールダウンとケアは必須です。まずはクールダウンでは軽いJOGで身体の血液を循環させて疲労物質を除去します。練習後のケアとしては温冷交代浴、マッサージがおすすめです。
2日連続は逆効果
インターバルトレーニングは2日連続で行わないようにして下さい。強度の高い練習を行った後は必ず疲労が現れます。その疲労が抜けないうちに同じ練習を行っても、前よりパフォーマンスが落ち、結果効果が得られないどころか逆に力が落ちる結果となります。2~3日は空けてから再開して下さい。2~3日後に「超回復」を狙って再開すれば、同じ強度でも前より楽にこなせます。
まとめ
以上、インターバルトレーニングの効果と練習方法について述べていきました。マラソンのレベルアップには高負荷の練習が欠かせません。きつい練習ではありますが、是非インターバルを積極的に取り入れて下さい。但し無理は禁物です。
C-hidebo1929
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