- 東京マラソンは日本最大規模のフルマラソンです。フルマラソンの参加者は3万5千人を越えます。制限時間は7時間と国内の大会では長い方です。毎年テレビでも中継されるので、ランニングをしない方にも認知度の高い大会です。
テレビの中継を見ると、かなり高齢な方や体重の重そうな方が続々とゴールしてゆくシーンが放映されています。「私もフルマラソンに挑戦してみよう」と思い、東京マラソンに申し込まれた方も多いのではないでしょうか。11月になると東京マラソンに当選した初心者の方が「そろそろ練習始めなくては」と思う方が増えてゆく時期です。
この記事は初めてフルマラソンを走る初心者が東京マラソンを完走するためのノウハウです。
東京マラソン完走のレースイメージ
フルマラソン完走までのセオリーは5kmの大会、10kmの大会、ハーフマラソンを経てフルマラソンへのチャレンジです。東京マラソンへのいきなりフルマラソンにチャレンジする人も多くいますので完走のイメージを最初に作っておきましょう。
スタートはタイムロスがあるが慌てない
東京マラソンの制限時間は7時間です。制限時間とはスタートの号砲がなってから、ゴールラインを切るまでの時間です。初心者ランナーはスタート前に並ぶ後方なので、号砲がなってからスタートラインを通過するまで20分位かかります。
つまり6時間40分よりも短い時間でゴールしなければ完走にならないのです。スタートでのロスタイムを考慮しておきましょう。
走るペースは1㎞あたり8分で完走できる
走るペースは1kmあたり8分のペースで完走が可能です。実際に走ってみると分かりますが1kmあたり8分ペースはかなりゆっくりです。初心者の方でも「これ位のペースなら走り続けられるかも」と感じるのではないでしょうか。
5㎞毎にウォーキングを入れて脚を休める
初心者ランナーがフルマラソンを完走するには戦略も必要です。1kmあたり8分ペースで走り、5km毎にウォーキングを入れるのは有効な戦略です。ずっと走り続けようとすると身体に疲労が溜まり、30km以降は全く走れなくケースも多いです。
初心者は5km毎に脚を休ませた方が、脚が長持ちして結果的には良いタイムで走れることになります。ウォーキングの時に給水や給食も行います。
30㎞まで5㎞を6セットと考えて淡々と走る
トレーニングをしていると42.195kmが途方もない距離に感じるかも知れません。未知の距離は不安になるものです。東京マラソン当日は5kmを6セット走ると思えば出来そうな気がします。1kmあたり8分ペースで5km走りウォーキングを6セットをクリアすることが第一段階です。
30㎞以降は気力で粘る、歩いたり走ったりでも完走ができる
5kmを7セット行い35kmまでくれば、残りはカウントダウンになりゴールが見えてきます。30kmで脚に疲れが溜まり走り続けることが難しくなった場合、先は少々長いですが気力で粘りましょう。走り続けることが難しければ、歩いたり走ったりでも大丈夫です。
諦めなれれば完走できます。東京マラソンは30km過ぎでも応援が多いので、応援を力に変えて頑張ります。
40km以降は最後の力を振り絞りゴール
40kmを過ぎればもうすぐゴールなのですが、フルマラソンは残り2.195kmがとても長く感じられます。応援の人も多くなるので最後の力を振り絞ってゴールを目指しましょう。
具体的なタイムでスタートからゴールまで見てみましょう
1kmあたり8分のペースで走るとどれ位でゴールできるか見てみましょう。スタート時のロスタイム、トイレ休憩などのタイムも考慮する必要があります。
ロスするタイムを引く
ロスするタイムを
- スタートのロスタイム 20分
- トイレのロスタイム 2回×10分=20分
と考えると40分間がロスタイムになります。
30kmまでは1kmあたり8分ペースで頑張る
5kmを6セットとするとランニングのタイムは
- 30km × 8分 = 240分
5km毎に歩いて給水、給食をすると
- 6回 × 2分 = 12分
です。
40kmからゴールまでは歩いたり走ったり
30km以降は身体に疲れが溜まり走り続けるのは難しいかも知れません。歩いたり走ったりで良いので前に進み続けます。頑張って早歩きをすると1km辺り10分のペースです。歩いたり走ったりするとちょうど1kmあたり10分のペースになります。
- 12.195km × 10分 = 122分
です。
何時間でゴールができるのか?
以上の想定でゴールタイムを予測してみましょう。
30kmまでを5km×6セットで走り、残りを歩いたり走ったりだと
- ロスタイム 40分
- 30kmまで 240分+12分 = 252分
- 30~42.195kmまで 122分
計414分で、6時間54分です。
35kmまでを5km×7セットで走り、残りを歩いたり走ったりだと
- ロスタイム 40分
- 35kmまで 280分+14分 = 294分
- 35~42.195kmまで 72分
計406分で、6時間46分です。
関門をクリアできるか確認
東京マラソンには関門が9箇所あります。関門を決められた時間内に通過しないと失格になってしまいます。2020年東京マラソンの関門で検証しました。
- スタートロスタイム20分間
- 30kmまで1km8分ペース
- 30km以降は1km10分ペース
- 5km毎に2分間の給水・給食
- 15km地点・35km地点で10分間のトイレ
結果、閉鎖時刻よりも早く全ての関門を通過できます。
関門閉鎖時刻 通過予想時刻
5.6km関門 10:30 10:17
9.9km関門 11:00 10:52
14.6km関門 11:40 11:37
19.7km関門 12:30 12:24
25.7km関門 13:20 13:16
30.1km関門 13:55 13:53
34.2km関門 14:35 14:34
39.8km関門 15:45 15:39
42.195km関門 16:10 16:04
34.2km関門はかなり厳しいです。35kmまで1km8分ペースでいけると余裕ができます。
どのようなトレーニングをすれば良いの?
フルマラソンを始めて走る人は何から始めれば良いのか途方にくれてしまうかもしれません。11月トレーニングを始めると4ヶ月しか時間がありません。完走に向けたトレーニング方法を見てみましょう。
ロングウォーキングで基礎作り
東京マラソンで完走するには7時間身体を動かし続けることになります。基礎体力を作る方法として直ぐにでも始めたいのがロングウォーキングです。運動不足の人は30分間のウォーキングから始めましょう。運動習慣のある人なら60分間は歩けるはずです。
少しづつ歩く時間を増やしていき、180分間は歩いてみましょう。できれば240分間ウォーキングを経験すると心強いです。
まずは5kmを走れるようになる
ロングウォーキングと並行してランニングにも慣れていきます。最初は無理をしないでランニングとウォーキングを繰り返し、30分程度身体を動かしましょう。ペースは1kmあたり8分で十分です。段々とウォーキングを少なくして30分間走り続けられるようにします。
30分間走れるようになったら35分間、40分間と時間を伸ばします。1kmあたり8分ペースで40分間走れば5kmです。
5km×2セットで10kmを目指す
5kmを走れるようになったら、5km+アルファで距離を伸ばしていきます。5km+1km、5km+2km、5km+3km・・・といった具合です。5km×2セットの10kmを目指します。5km毎にウォーキングを少し入れると本番のシミュレーションになります。
ウォーキングをしながら少し給水をするのも本番に役立ちます。
5kmのセット数を増やしてゆく
10kmまでのトレーニングと同じ要領で、5km+5km+1km、5km+5km+2km・・・と距離を伸ばします。10kmを超えると身体への負担も大きくなるので、長い距離は週に1回程度にします。その他に5kmを週2回位走ると良いです。
最低限5km×4セットをクリアする
東京マラソンまでに最低限5km×4セットまでを経験しておきましょう。できれば1回だけでなく3回程度5km×4セットが出来ると良いです。
5km×6セットを経験すれば完走がグッと近づく
トレーニングが順調に進み5km×4セットに慣れたランナーは、5km×5セット、5km×6セットと伸ばしていきます。5km×6セットは1回で十分です。5km×6セットをクリア出来れば東京マラソン完走にグッと近づきます。
最後の2週間は疲労を抜く
長い距離は東京マラソンから2週間前までに終わらせます。残りの2週間は走る距離を減らして疲労を抜くことを重視します。
タイムを少しでもアップする工夫
シミュレーションではギリギリでの完走です。少しでもタイムをアップするヒントを見てみます。
トレーニングで走るペースを少しでも上げれるようにする
1kmあたり8分のペースで完走できますがギリギリです。トレーニングで楽に走れるペースを少しづつ上げていくと完走の確率が上がります。但し上げ過ぎると中盤で身体に疲労が溜まり20km過ぎから歩いてしまうことになり完走ができません。
- 1kmあたり8分ペースを目安にトレーニングを始め、少しづつ楽に走れるペースを上げる
- 1kmあたりのペースが5秒上がれば、フルマラソンでは3分30秒のタイム短縮になる
本番ではマイペースをキープする
東京マラソンはスタート直後が下り坂なのでスピードが出がちです。マイペースをキープして走るのが結果的にはタイムアップになります。
- スタート直後の周りのペースに惑わされない
- 身体が温まってきてもスピードを上げ過ぎない
- きつくなっても極端にペースを落とさないよう頑張る(しばらくすると楽に走れるようになることもある)
なるべくトイレの回数を減らす
トイレは大きなロスタイムになります。なるべく回数を減らすのが良いです。
- 前日、当日の朝、走っている最中に水分の摂り過ぎに注意する
- 前日、当日朝はカフェインなど利尿作用のあるものを控える
給水、給食は歩きながら
給水、給食は立ち止まらず、歩きながら摂ります。
- トレーニングで歩きながら給水、給食を練習しておく
- 東京マラソン本番でも歩きながら給水、給食を実践
- 給水所は混んでるテーブルを避けて奥の空いているテーブルからコップを取り時間を節約
疲れても歩くペースは速く
30kmもしくは35kmを過ぎで走る続けるのが難しくなったら、歩いたり走ったりを繰り返します。疲れているのでダラダラ歩くのではなくゴールに向かってできるだけ速いペースで歩きましょう。
- 普段から楽に速く歩くようにする
- トレーニングのロングウォークの時に良い姿勢、良いウォーキングフォームを研究しておく
- 東京マラソン本番でも速いウォーキングで頑張る
完走を阻害する要因を減らす
完走をするために阻害になる要因が幾つかあります。事前に対策をすれば防げるものも多いので、要因と対策方法を知っておきましょう。
脚の痛み
脚が痛くなるとトレーニングをしたくてもできなくなります。本番の東京マラソンでも脚が痛いとはしれなくなり完走ができなくなります。
- 走る前、走った後にストレッチを行う
- 走った日は足のマッサージ、ストレッチなどのケアをする
- クッション性の良い自分に合ったシューズを履く
- パーソナルトレーナーにフォームをチェックしてもらい改善する
脚の攣り
脚が攣る原因は、筋肉の疲労、体内の水分不足、体内のミネラル不足などが考えられます。
- トレーニングで長い距離を走るとき、自分に適切な水分、ミネラルの補給方法を試しておく
- 東京マラソン本番で、トレーニングで得た補給方法を実践する
- 攣りやすいランナーはトレーニングで攣りを防止するサプリや薬を試し、効果があったものを本番で使う
エネルギー切れ
どんなにトレーニングを積んでも体内のエネルギーが切れてしまうと走り続けることができません。
- トレーニングで長い距離を走るときに途中でエネルギージェルなどを摂って補給法を試す
- 10km毎に100~150kcalのエネルギージェルを1個補給するのが一般的
- 自分に合ったエネルギー補給方法を東京マラソンで実践する
- 東京マラソンの前日、当日の朝は炭水化物を多めの食事にする
脱水症状
東京マラソンは冬の大会ですが、気がつかないうちに脱水症状になっていることもあります。
- トレーニングの時に水分補給を適切に行い、気候と摂取水分量との感覚を身に付けておく
- 東京マラソン本番でトレーニングの経験を活かして適切に水分補給を行う
- 但し、水分の摂り過ぎはトイレが近くなったり、胃腸に水分が残って不快になるので注意
低体温症
冬の大会では雪がちらつくこともあります。寒い日の大会は低体温症に注意しましょう。一度低体温症になると身体が動かなくなりリタイアすることになります。
- トレーニングときに気候に合ったウエア選択のノウハウを身に付けておく
- 寒い日はインナーなども活用して低体温症を防ぐ
- 雨の日はポンチョやレインコートなども使って身体が冷えるのを防ぐ
モチベーションの低下
フルマラソンの後半に疲れでモチベーションが下がってしまうと気持ちが切れて歩き出し、走ることができなくなってしまいます。
- 30km過ぎに知り合いに応援に来てもらい、モチベーションにする
- 音楽プレーヤーを持っていきモチベーションが下がりそうになったら聴く
- 今まで積んできたトレーニングを思い出し自分を信じる
体調不良
風邪を引いてしまったり、体調を崩すと完走が難しくなります。
- 普段から人混みではマスクをするなど風邪対策を行う
- 東京マラソンが近づいてきたら、できるだけ規則正しい生活をして体調を整える
- 前日は飲み過ぎ、食べ過ぎに気をつける
- 前日に生ものなどは食べないようにする
まとめ
フルマラソンは初心者でも完走できます。初心者が完走するためには戦略が必要です。戦略を立てた上でトレーニングを積んでいきます。東京マラソンは制限時間が7時間あるので完走がしやすい大会です。
戦略とトレーニングが上手く噛み合うと完走に近づきます。最後はメンタルになります。メンタルを支えるのは積んでてきたトレーニングです。
しゅうぞう
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