フルマラソンの理想ペースはイーブンペース?

ランニング知識

フルマラソンの理想ペースには諸説あります。一般的にはイーブンペースが良いと言われています。トップランナーは後半にペースを上げるネガティブスプリットで良い記録を出しています。前半に速いペースで突っ込んで貯金を作った方が良いタイムが出るというランナーもいます。

本、雑誌、インターネット、練習会のコーチの意見、いろいろな情報が錯綜する中で、どの説が良いのか迷っているランナーが多いのではないでしょうか?この記事ではフルマラソンの理想のペースについて書かれています。

理想のペースは一つではありません。ランナーのタイプによっても違ってきます。

イーブンペースとはずっと同じペースで走ることではない

イーブンペースと聞くとスタートからゴールまで同じペースで走るイメージを持つかも知れませんが少し違います。ペースには波があり前半型ペースと後半型ペースでは波の作り方に違いがあります。

基準ペースは決めるが、ペースに波はある

フルマラソンで4時間を切るには1kmを5分40秒のペースで走り続ければ達成できます。5分40秒ペースではギリギリになるので、5分35秒~5分30秒を基準ペースにします。基準ペースをベースに波を作る方が走りやすいのです。

前半型か、後半型かで波の作り方が違ってくる

前半型は前半に速めのペースをキープして後半の落ちをできるだけ抑えます後半型は前半はペースを抑えめにして徐々にペースを上げて25~35kmペースのピークを持ってきます。どちらの型にもメリット、デメリットがあります。

終盤にペースを落とさないことがイーブンペースのポイント

前半型、後半型のどちらにも共通して言えるのは終盤にペースの落ちを抑えることです。42.195kmという距離を自己タイム更新目指して走ると30km過ぎにきつくなってきます。きつくなってからペースを落とさないためには、前半、中盤のペースの作り方が大事です

後半型のペース配分のポイント

後半型ペースは前半抑えて徐々にペースを上げていきます。前半無理をしないことで終盤のペース落ち込みを抑えるのです。

トップランナーのペース配分は市民ランナーには向いていない

トップランナーのレース展開は30km付近までは集団で行き、30km以降に勝負をかけるパターンが多いです。結果として後半の方が前半よりも速いタイムになります。このレース展開は30kmまで余裕で走れるトレーニングを積んだランナーに有効です。

市民ランナーはトップランナーのように30km過ぎにスパートをかける走りは難しいです。

市民ランナー向けの後半型ペース配分

市民ランナーに向いた後半型のペース配分です。

  • 序盤の混雑は周りにペースを合わせる(スタート~3km)
  • 前半は余裕を持ったペースで基準ペースよりも少し遅い位(3~10km)
  • 中盤に向けて少しづつペースを上げて基準ペースにもっていく(10~25km)
  • 後半に向けてもう一段階ペースアップ(25~35km)
  • 終盤はできる限りペースダウンを抑え基準ペースをキープ(35km~ゴール)

市民ランナー向け後半型のメリット・デメリット

メリット

  • 前半にペースを抑えるので、後半の大崩が少ないので安定して記録が出やすい
  • その日の調子をみながらペースを上げるポイントを変えるなど臨機応変な対応がしやすい
  • 後半にランナーを抜いていけるので、後半のモチベーションが上がる

デメリット

  • 周りにつられて前半ペースアップしてしまうと計画が破綻する
  • 25km過ぎでもう一段ペースを上げるには経験とメンタルの強さが必要

前半型のペース配分のポイント

前半型は序盤に基準ペースよりも少し速いペースまで上げて、できる限りペースをキープするシンプルな配分です。

前半の突っ込みはギャンブル

ランニングを始めて2~3年の初心者は前半突っ込んで良いタイムが出ることがあります。これは初心者は走力の伸びが大きいので、突っ込んだつもりのペースが走力がアップしていたために、丁度良いペースになっていたのです。ベテランランナーは前半の突っ込みが成功する確率は低くなります。

前半型のペース配分

前半型のペース配分です。

  • 序盤の混雑は周りにペースを合わせる(スタート~3km)
  • 混雑がバラけてきたら基準ペースまで上げる(3~5km)
  • 基準ペースより少し速いペースをできるだけキープ(5~35km)
  • 終盤はできる限りペースダウンを抑え基準ペースをキープ(35km~ゴール)

前半型のメリット・デメリット

メリット

  • 調子が良くてペースの落ち込みが少ないと大幅な記録更新ができる
  • ペース配分がシンプルなので初心者でもやりやすい

デメリット

  • ペースの設定が速過ぎると後半に大失速をする
  • 終盤にペースが落ちるとランナーに抜かれてモチベーションが下がる
  • 人が多いボリュームゾーンで走るランナーは中盤までペースを上げられないことがある

まとめ

理想のレース展開は一つではありません。ランナーのタイプで合うレース展開が違ってきます。後半型ペースは徐々にペースを上げて25~35kmでペースのピークを作ります。前半型は序盤で基準ペースまで上げてできる限りペースの落ち込みを抑えます。

どちらのタイプも終盤のペースダンを抑え、全体としてイーブンペースになるのが理想のレースペースです。

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しゅうぞう

しゅうぞう

現役のランニングインストラクターです。パーソナルで教えたランナーは400人以上、レッスン時間は約2000時間になります。週2回のグループレッスンも担当。ランニング学会会員です。ランナー、ランニングインストラクターとしての経験を記事に発信します。自己ベストタイムはフルマラソン2時間57分30秒(2016年)、ハーフマラソン1時間22分3秒(2018年)。