ランニングをする前に準備体操やストレッチをするのが良いです。「ランニング自体が準備運動のようなものなのでランニング前に準備体操は不要」という意見もありますが、ランニングの前に準備体操をするメリットはたくさんあります。
準備体操やストレッチはいろいろな種類があり、どのエクササイズをどれ位やれば良いのか分からなくて困ってる方もいるのではないでしょうか?この記事ではランニング前で準備体操やストレッチをするメリットと、その方法について書かれています。
なぜランニング前の準備体操・ストレッチは必用なの?
ランニング前の準備体操やストレッチをすすめる理由は、「怪我の防止」と「走り始めのパフォーマンスアップ」です。
- 故障防止
- 走り始めのパフォーマンスを上げる
故障防止
準備運動をしっかり行うことで故障のリスクを減らすことができます。
関節の負担を減らす
関節の中には関節液という液体が入っています。関節液は関節の動きを良くし、骨同士摩擦を防ぐ役割があります。準備体操を行うことで関節液が分泌が増えて関節への負担を軽減します。
肉離れなどの筋肉損傷を防止
筋肉が温まっていない状態で激しい運動をすると肉離れなど、筋肉損傷を起こす危険があります。準備体操で筋肉を温めてからランニングに入ると筋肉損傷のリスクを軽減できます。
身体の調子を確認
準備体操で身体の様々な部分を動かすと身体の調子を確認することができます。関節の動きが悪く感じたり、筋肉の張りを感じる部分があれば疲労が溜まっている証拠です。無理にペースを上げて走ると筋肉損傷を起こす危険があります。
調子が悪い時は、ゆっくりペースの疲労抜きジョグにメニューを変えるのが良いです。
走り始めのパフォーマンスを上げる
どんなランナーでも走り始めの1~2㎞はなかなか身体が動かず、鬱陶しい思いをします。準備体操を行うことで走り始めのパフォーマンスを上げることができます。特にランニング大会の前に準備体操をしっかり行うことは大切です。
身体が動きやすくする
準備運動を行うと関節の動きが良くなり、筋肉が温まります。本格的に身体がランニングモードに切り替わるには、血流、心肺、呼吸、エネルギー供給などを切り替えるために1~2km位走る必要があります。準備体操を行うと身体の動きが良くなるので走りやすくなります。
ルーティーンとして行うと落ち着く
メンタルの面でも準備体操は効果があります。ランニング大会のスタート前は緊張しますが、準備体操を含めたウォーミングアップをいつも通りに行うと落ち着きます。普段から走る前の心の準備も含めて準備体操をルーティーンにしておくと良いです。
準備体操・ストレッチいろいろ
準備体操はいろいろな動きがあります。全身をバランスよく「伸ばす」「動かす」を行いましょう。
- ストレッチは「動かす」と「伸ばす」
- 「動かす」のが動的ストレッチ
- 「伸ばす」のが静的ストレッチ
- ランニング前に「静的ストレッチ」しない方が良い?
- ラジオ体操は優れた「動的ストレッチ」
ストレッチは「動かす」と「伸ばす」
準備体操は筋肉を伸ばす動きと、関節を回す動きがあり、両方を組み合わせるのが良いです。筋肉を伸ばす動きは、狙った筋肉に刺激を入れる意味もあります。関節を回す動きは同時に周辺筋肉を伸ばす動きにもなります。
「動かす」のが動的ストレッチ
動的ストレッチはダイナミックストレッチとも言われています。関節を動かすことで筋肉に刺激を入れて温めることができます。大き目の動きを入れれば心肺機能にも刺激が入るので、ウォーミングアップを兼ねることができます。
「伸ばす」のが静的ストレッチ
静的ストレッチはスタティックストレッチとも言われています。関節を曲げることで筋肉に伸びる刺激が入ります。筋肉を伸ばしたまま数秒~数十秒キープします。
ランニング前に「静的ストレッチ」しない方が良い?
「静的ストレッチは筋肉を弛緩させてしまい運動パフォーマンスを低下させる」という論文が発表されてから、ランニング前に静的ストレッチをしない方が良いという意見が広まりました。しかし現在でもウォーミングアップに静的ストレッチを入れている指導者も多くいます。
一つのポーズに30秒以上かけるような静的ストレッチは行わず、5~10秒程度の静的ストレッチと動的ストレッチを組み合わせているケースが多いようです。
ラジオ体操は優れた「動的ストレッチ」
ラジオ体操は日本人なら誰でもやったことがあるでしょう。ラジオ体操はとても優れた動的ストレッチです。全身にまんべんなく刺激を入れられます。しっかりと行えば軽く息が乱れます。ラジオ体操を一人で真剣に行うのが気恥ずかしい方は、部分部分を取り入れてみてはいかがでしょうか。
準備体操の注意点
トレーニングは目的を持って行うと高い効果が得られます。準備体操も動きの目的を理解して、どの部分にどのような刺激を入れるのかを意識すると効果が高くなります。
- 効かせる部分を意識する
- 正しい姿勢で行う
効かせる部分を意識する
「この動きは何の為に行っているのか」を考えて、効かせる部分を意識するのが準備体操では大切です。「伸びている」や「動かしている」と感じながら行いましょう。
正しい姿勢で行う
姿勢が悪いと効かせたい部分に効果が得られない場合があります。正しい姿勢で行うことは大切です。
実践!ランニングの準備体操・ストレッチ
実際に準備体操を行ってみましょう。「伸ばす部分」「動かす部分」を意識して行います。全部で10~15分程度です。
- 軽く歩くか走る
- 全身をほぐす
- 関節を動かす
- 脚の筋肉を軽く伸ばす
軽く歩くか走る
少し全身を動かします。初心者はウォーキング、慣れている方は軽いジョギングで5分程度身体を動かします。
全身をほぐす
まずリラックスして全身をほぐす動きを入れます。
身体を左右に倒す
身体の横が気持ち良く伸びるのを感じながら行います。
- 両手を組んで頭の上に持ち上げます
- ゆっくりと左右に上半身を倒します
ポイント:身体全体の伸びを感じながら固まっていた身体をほぐします
回数:左右10回程度
身体を左右に捻る
身体全体の捻りを感じます。ゆっくりと優しく身体をほぐしていきます。
- 両手を組んで胸の前まで上げます
- 両手を左右に動かして身体を捻ります
ポイント:身体全身を捻ります。下半身だけでなく、上半身も捻ります。
回数:左右10回程度
関節を動かす
全身の関節を動かしていきます。ゆっくりと優しく動かします。動的ストレッチです。
首を回す
ランニングでは頭部を安定させるために無意識に首の筋肉を使います。首の筋肉をほぐしておきます。
- 頭を左右交互にゆっくり回します
ポイント:ゆっくりと丁寧に首の筋肉の伸びを感じながら回します
回数:左右交互に5回程度
肩を回す
日常生活で固まりがちな、肩周りを動かします。
- 手を肩に添えます
- 肘を前から上に上げて横に下ろします(10回)
- 肘を横から上に上げて前に下ろします(10回)
ポイント:肩周り、肩甲骨周りをほぐす意識で大きく動かします
腰を回す
腰を回すことで背骨周り全体の筋肉をほぐすことができます。
- 腰に両手をあてます
- 腰を右回りに大きく回します(10回)
- 腰を左回りに大きく回します(10回)
ポイント:お腹、背中、腰、全体をほぐす意識で大きく動かします
脚を回す(股関節を回す)
ランニングで股関節の動きは大切です。走る前にしっかり動かしておきます。
- 右膝を横から前に回します(5回)
- 右膝を横から前に回します(5回)
- 左膝を横から前に回します(5回)
- 左膝を横から前に回します(5回)
ポイント:股関節を中心に股関節周りの筋肉を動かします。
片足で行うのでバランスが取り難い方は、壁などに手を添えて身体を支えて行います。
膝を回す(膝関節を回す)
膝はランニングで負担のかかりやすい関節です。事前にしっかりと動かしておきます。
- 両手を両膝におきます
- 膝を右回りに回します(10回)
- 膝を左回りに回します(10回)
ポイント:ゆっくりと丁寧に回します。膝周りの筋肉が動くのを感じます。
手首足首を回す
足首もランニングでは知らずのうちに動かす関節なので、動かしておきます。手首はランニングは使うことはありませんが、リラックスをさせる意味と転倒時に手をつくときに備えてほぐしておきます。
- 両手を組んで適宜回します
- 右足爪先を地面につけて足首を右回り、左回りに回します(10回づつ)
- 左足爪先を地面につけて足首を右回り、左回りに回します(10回づつ)
ポイント:関節周りをほぐす意識でしっかりまわします。
脚の筋肉を軽く伸ばす
最後に軽く脚周りの筋肉を伸ばします。脚の筋肉に刺激を入れる意味もあります。軽い静的ストレッチです。柔軟性を高めることが目的ではありません。軽く筋肉に刺激入れる程度で十分です。軽く伸びを感じてから5~10秒キープします。
ももの裏を伸ばす
- 右足を半歩前に出します
- 右膝は伸ばしたまま、左膝を曲げながら身体を前に倒します
- 右もも裏に軽い伸びを感じたらキープします(5~10秒)
- 左ももの裏も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの裏です。
ももの前を伸ばす
- 右手で右足首を掴みます
- 右足首を右お尻に近づけます
- 右ももの前に軽い伸びを感じたらキープします(5~10秒)
- 左ももの前も同様に伸ばします。
ポイント:伸ばす部位はももの前です。
片足で行うのでバランスが取り難い方は、壁などに手を添えて身体を支えて行います。
ももの内側を伸ばす
- 両足を大きく左右に広げます
- 両手を両膝に置いて、腰を落とします
- 右手で右膝を押さえながら右肩を内側に入れます
- 右もも内側に軽い伸びを感じたらキープします(5~10秒)
- 左もも内側も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの内側です。
ももの外側を伸ばす
- 壁の左側に立ち、壁にもたれながら右手で身体を支えます
- 左足を右足の前からクロスさせます
- 右お尻を壁に近づけます
- 右ももの外側に軽い伸びを感じたらキープします(5~10秒)
- 左もも外側も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの外側です
ふくらはぎを伸ばす
- 左足を前、右足を後に開きます
- 左膝を軽く曲げます
- 右ふくらはぎに軽い伸びを感じたらキープします(5~10秒)
- 左ふくらはぎも同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はふくらはぎです
時間が無くてもランニング前にやっておきたい9つのストレッチ
時間が無い場合でも必ずやっておきたいストレッチを9つ選びました。時間が無い場合は回数・秒数を半分にしても良いので、ランニングで使う大事な筋肉に刺激を入れましょう。
肩を回す
日常生活で固まりがちな、肩周りを動かします。
- 手を肩に添えます
- 肘を前から上に上げて横に下ろします(5回)
- 肘を横から上に上げて前に下ろします(5回)
ポイント:肩周り、肩甲骨周りをほぐす意識で大きく動かします
腰を回す
腰を回すことで背骨周り全体の筋肉をほぐすことができます。
- 腰に両手をあてます
- 腰を右回りに大きく回します(5回)
- 腰を左回りに大きく回します(5回)
ポイント:お腹、背中、腰、全体をほぐす意識で大きく動かします
脚を回す(股関節を回す)
ランニングで股関節の動きは大切です。走る前にしっかり動かしておきます。
- 右膝を横から前に回します(3回)
- 右膝を横から前に回します(3回)
- 左膝を横から前に回します(3回)
- 左膝を横から前に回します(3回)
ポイント:股関節を中心に股関節周りの筋肉を動かします。
片足で行うのでバランスが取り難い方は、壁などに手を添えて身体を支えて行います。
膝を回す(膝関節を回す)
膝はランニングで負担のかかりやすい関節です。事前にしっかりと動かしておきます。
- 両手を両膝におきます
- 膝を右回りに回します(5回)
- 膝を左回りに回します(5回)
ポイント:ゆっくりと丁寧に回します。膝周りの筋肉が動くのを感じます。
ももの裏を伸ばす
- 右足を半歩前に出します
- 右膝は伸ばしたまま、左膝を曲げながら身体を前に倒します
- 右もも裏に軽い伸びを感じたらキープします(5秒)
- 左ももの裏も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの裏です。
ももの前を伸ばす
- 右手で右足首を掴みます
- 右足首を右お尻に近づけます
- 右ももの前に軽い伸びを感じたらキープします(5秒)
- 左ももの前も同様に伸ばします。
ポイント:伸ばす部位はももの前です。
片足で行うのでバランスが取り難い方は、壁などに手を添えて身体を支えて行います。
ももの内側を伸ばす
- 両足を大きく左右に広げます
- 両手を両膝に置いて、腰を落とします
- 右手で右膝を押さえながら右肩を内側に入れます
- 右もも内側に軽い伸びを感じたらキープします(5秒)
- 左もも内側も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの内側です。
ももの外側を伸ばす
- 壁の左側に立ち、壁にもたれながら右手で身体を支えます
- 左足を右足の前からクロスさせます
- 右お尻を壁に近づけます
- 右ももの外側に軽い伸びを感じたらキープします(5秒)
- 左もも外側も同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はももの外側です
ふくらはぎを伸ばす
- 左足を前、右足を後に開きます
- 左膝を軽く曲げます
- 右ふくらはぎに軽い伸びを感じたらキープします(5秒)
- 左ふくらはぎも同様に伸ばします
ポイント:伸ばす部位はふくらはぎです
まとめ
ランニングの前の準備体操・ストレッチは大切です。故障の防止、ランニングパフォーマンスアップの効果があります。準備体操は「伸ばす」「動かす」を取り混ぜて全身をほぐしながら筋肉に刺激を入れます。
準備体操は、動きの目的を知り、効かせたい部分を意識して行うと効果的です。
しゅうぞう
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