ナイキのズームフライシリーズは2017年6月に販売が開始されて以来、話題を提供し続けている人気シューズです。これまでのスピード系シューズはソールを薄くして、軽量化と共にクッション性を抑え、反発性能を高めてきました。
ズームフライシリーズはソールが厚く、クッション性が高いソールを採用しています。この常識破りのシューズはフルマラソンの世界記録、日本記録という実績を出して更に注目を集めます。
話題のナイキズームフライフライニットを購入しました。速く走れるという評判のシューズで走って確かめてみました。
ナイキズームフライの歴史
ナイキのズームフライシリーズが注目を浴びたのはナイキが開催したフルマラソンで2時間切りプロジェクト「Breaking2」です。2017年5月6日にイタリア・ミラノの近郊のモンツァサーキットで行われたこのプロジェクトで、エリウド・キプチョゲ選手がナイキのナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートを履いて2時間0分25秒でゴールをしました。公式記録には認められませんでしたが、フルマラソンの2時間切りまで26秒まで迫ったことで注目を浴びました。
この翌月の2017年6月にナイキは市民向けのナイキズームフライシリーズの第一弾を発売しました。
今までに日本で発売されたズームフライシリーズです。
ナイキ ズームフライ2017年6月発売
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%2017年7月発売
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット2018年9月発売 28,080円(税込)
ナイキ ズームフライ フライニット2018年10月発売 17,280円(税込)
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント2019年3月発売 81,000円(税込) 31足限定発売
ナイキ ズームエックスヴェイパーフライ ネクスト% 2019年7月発売 29,700円(税込)
ズームフライシリーズの評判
ナイキズームフライシリーズの評判はとても良いです。履くだけで自然に速く走れる魔法のシューズというイメージが出来上がりました。ウエブでのレビューや周りのランナーに聞いたズームフライシリーズの評判をまとめました。
前に進む
- かかと部分の靴底が厚く、前足部に向かって段々と薄くなってゆくソール形状は着地をすると前に倒れやすい
- 着地をすると自然に前に進む感覚
地面からの反発が大きい
- かかと部分のソールが厚い分、反発する力が大きい
- 跳ねるように走れる
速く走れる
- 前に倒れながら弾むと速く走れる
- 自然にストライドが広がる
ズームフライフライニットの私が走った第一印象
満を持してズームフライフライニットを購入したのが2019年3月です。噂の魔法シューズを試してみました。第一印象は「何だこれは?」という残念な印象でした。
底が厚い
想像以上の底の厚さに不安定感を感じました。昔流行った厚底ブーツは「こんな感じなのかな?」と思いました。少し不安定に感じる位に底が厚いシューズです。
クッションが柔らかい
「厚さは速さだ」のコピー通りに厚底ソールによる反発力の大きさを期待していたのですが、期待外れでした。着地でソールが沈み込むのです。ソールがグニャッとして反発を感じられません。
着地の左右差が大きく感じる
走ってみて最初に気になったのは着地で左側のクッションが感じられない点です。私は利き脚が右なので、左側への重心を乗せるのが苦手なのですが、このズームフライニットではこの欠点がしっかりと出てしまいました。
難しい
難しいシューズです。慣れていない点は大きいのですが、左右均等に乗るのが難しく、着地音がバラバラになってしまいます。
ズームフライニットの他のシューズにない3つの特徴
何度かズームフライニットで走ると、このシューズで走るコツが掴めてきました。上手く使えるようになるとこのシューズの特徴が見えてきました。
屈曲しないソールが重心移動を生む
ズームフライニットのドロップは10mm((ヒール33mm/前足部23mm))。比較対象としてアディゼロジャパンのドロップも10mmです(ヒール27 mm / 前足部17 mm)。
単純にドロップを比較するとどちらのシューズも10mmと同じです。実際に走ってみるとズームフライニットの方が前に倒れる感覚があります。この秘密はソールに埋め込まれたカーボン板にあります。
カーボン板のおかげでズームフライニットのソールはほとんど曲がりません。この曲がらないソールが中足部で着地をしてかかとに重心が移ってから前に倒れる感覚を生みます。
ソールの厚さ全体を反発力に活かして推進力にする
ズームフライニットはかかと部分のソールの厚さが注目を集めますが、前足部から中足部のソールの厚さも大きな特徴です。中足部で着地して中足部ソールが潰れて反発力を溜めます。重心がかかとに移ることでかかと部分のソールも潰れて反発力を溜めます。
重心はかかと部分から中足部、前足部へと移動をしながら、かかと部分ソール、中足部ソールの溜めた反発力が解放されて推進力になります。
フォーム矯正用シューズとして使える
理想的なランニングフォームは
- 重心移動を活かす
- 反発力を活かす
- 左右差を無くす
が重要になります。ズームフライニットを使いこなせると、この3点がクリアでききます。
重心移動を活かす
ズームフライニットで重心移動を促すのは、ソールのカーボン板入と厚いソールです。着地の重心位置は
- 中足部
- 中足部+かかと部(足裏全体)
- 中足部
- 前足部
へ移動します。ズームフライニットが上手く使えるとこの重心移動がスムーズにいきます。
反発力を活かす
反発力の主役になるのは厚いソールです。重心移動をしながらソールが圧縮されて反発力を溜め込みます。中足部とかかと部の厚さの差は反発力を溜め込むために絶妙な割合になっています。
着地で足裏全体に重心が乗ってから中足部に重心が移動しながらにソールの反発が大きく感じられるのがズームフライニットの上手い使い方です。
左右差をなくす
人間は利き手、利き脚があり、必ず左右差があります。ランニングは左右均等に使うことが理想なので、左右差が大きいとパフォーマンスダウンの原因になったり、故障を誘発することになります。
ズームフライニットは正確に重心を乗せ、重心移動をしないと良い感覚が返ってきません。左右差が大きい走り方はズームフライニットから受ける感覚の差となって返ってきます。ランニングの左右差を無くすためにもズームフライニットは役立ちます。
まとめ
ナイキのズームフライフライニットは上手く機能を使えば楽に速く走れます。機能を上手く使うには正確な着地技術が必要です。その点でフォームの矯正用としてもズームフライニットは活用できます。
ズームフライニットの機能を上手く使うのは難しく着地を中足部か前足部で入る必要があります。かかと着地のランナーとズームフライニットとの相性が悪いです。
しゅうぞう
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