ダイエットのためにランニングを始めたばかりの人は、フルマラソンを走ると体重が劇的に落ちると思っているのではないでしょうか?フルマラソンは42.195kmを走ります。普段5km程度を走っているランナーにとっては8倍以上距離です。
42.195kmを走るとどれ位のカロリーを消費して、どれ位の体重が減るのでしょうか?結論から言えば、フルマラソンを完走しても大きく体重を落とすことは難しいです。フルマラソンを走るランナーは減量を目的としているのではなく、完走を目的にしているからです。
詳しくはこの記事をご覧ください。
フルマラソンで消費されるカロリーはどれ位?
フルマラソンを完走するとどれ位のカロリーが消費されるかを調べていきましょう。計算で算出する方法、心拍計付ランニングウォッチを使って測定する方法で調べました。
- 簡易的な方法で計算する
- メッツ(METs)で計算する
- 心拍計付ランニングウォッチで計測する
簡易的な方法で計算する
簡易的な消費カロリー計算方法は、ランナーの体重と走った距離で計算します。この方法では走ったペースや心拍数は考慮されません。
計算式
体重(kg) × 走った距離(km) = 消費カロリー(Kcal)
体重60kgのランナーがフルマラソンを走った場合
60kg × 42.195km = 2,531.7Kcal
メッツ(METs)で計算する
メッツという運動強度の単位を使うと詳細に運動による消費カロリーを計算できます。この方法はランニングの強度が考慮されます。速いペースで走る方が強度が高くなり、単位時間の消費カロリーが高くなりますが、運動時間は短くなるのでトータルの消費カロリーは、速く走った方が低くなります。
メッツとは運動や身体活動の強度の単位です。
安静時(横になったり座って楽にしている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。情報元:厚生労働省 e-ヘルスネット
計算式
1.05 × メッツ × 時間(h) × 体重(kg) = 消費カロリー(Kcal)
体重60kgのランナーがフルマラソンを4時間で走った場合
1.05 × 10.5 × 4h × 60kg = 2,646Kcal
体重60kgのランナーがフルマラソンを3.5時間で走った場合
1.05 × 11.5 × 3.5h × 60kg = 2,536Kcal
10.5(Mets) ランニング:10.8km/時、179.7m/分
情報元:国立健康・栄養研究所 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』
心拍計付ランニングウォッチで計測する
距離、心拍数、歩数などを計測できるランニングウォッチは消費カロリーの表示も可能です。最近走ったフルマラソン3大会の消費カロリーです。ランニングウォッチには自分の体重を設定する項目があります。私は60kgに設定してあります。
使用機種
GARMIN630J
フルマラソンの消費カロリー
- つくばマラソン 2,305Kcal 2時間58分6秒
- 古河はなももマラソン 2,396Kcal 4時間29分16秒
- かすみがうらマラソン 2,329Kcal 3時間32分59秒
消費カロリーはほとんど変わりません。速いペースの方が若干消費カロリーが少ない結果になりました。
フルマラソンの消費カロリーでどれ位痩せられる?
フルマラソンで消費されるカロリーは2,300~2,600Kcalとわかりました。消費カロリーを2,500Kcalとするとどれ位の減量になるか計算してみました。
- 1kgの脂肪を消費するには
- 脂肪1kgを減らすにはフルマラソンを2.88回走る?
- 運動で消費したカロリー全てが脂肪燃焼に使われるわけではない
- フルマラソン1回で減る脂肪の量を計算してみる
1kgの脂肪を消費するには
脂肪1gが持つエネルギーは9Kcalです。脂肪1gを減らすためには約7Kcalを消費する必要があります。計算上では脂肪1kgを減らすには7200Kcalを消費する運動が必要です。
脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は、9kcal×1000g×80%=約7200kcal 程になります。
参考情報:TANITA 健康のつくりかた
脂肪1kgを減らすにはフルマラソンを2.88回走る?
フルマラソンで消費するカロリーは2,500Kcalとすると、脂肪1kg分の7,200Kcalを消費するには、フルマラソンを2.88回走る計算になります。
7,200Kcal ÷ 2,500Kcal = 2.88回
運動で消費したカロリー全てが脂肪消費に使われるわけではない
残念ながら、脂肪1kgを減らすにはもっと多くの運動が必要になります。運動で消費されるエネルギーは脂肪と糖分から捻出されるからです。運動で消費されるエネルギーはウォーキング程度の軽い運動で糖分:脂肪=50:50の割合です。運動の強度が増えると糖分をエネルギーに使用する割合が大きくなります。
フルマラソン1回で減る脂肪の量を計算してみる
フルマラソンで消費されるカロリーを2,500Kcal、脂肪がエネルギーとして使われる割合を40%とすると、フルマラソンでは139gしか脂肪が減らない計算になります。
2,500Kcal × 40% ÷ 7,200Kcal/kg = 0.1388kg
実測、フルマラソンによる体重変化
実際の体重変化を見ていきます。私はほぼ毎朝体重を計ってるので、フルマラソン前後の体重変化も記録しています。フルマラソン当日から前後3日間の体重変化を見てみましょう。
- つくばマラソン
- 古河はなももマラソン
- かすみがうらマラソン
つくばマラソン
フルマラソンの自己ベスト記録更新に向け、順調に減量を進めていた時期です。フルマラソン当日の朝は、ホテルに宿泊していたので体重を計れませんでしたが、前日より0.5~0.7kg増えていたと思います。フルマラソンの前後で大きな体重変化はありません。
11/22(木) 58.65kg
11/23(金) 58.35kg
11/24(土) 57.80kg
11/25(日) –
11/26(月) 58.10kg
11/27(火) 58.25kg
11/28(水) 57.85kg
※11/25はホテルに宿泊したので体重を量れませんでした
古河はなももマラソン
年末から年始にかけて大きな故障(左お尻の痛み)をして、体重が増えています。フルマラソン前日に炭水化物多めの食事にしてエネルギーを溜めたので体重が増えています。フルマラソンの直後には元に戻っています。その後は少し体重が増えています。
3/7(木) 62.70kg
3/8(金) 62.45kg
3/9(土) 62.65kg
3/10(日) 63.0kg
3/11(月) 62.20kg
3/12(火) 63.05kg
3/13(水) 63.45kg
かすみがうらマラソン
この大会も前日に炭水化物多めの食事をしました。大会当日に体重が増え、大会直後には元に戻り、その後は少し体重が増えるのは同じ流れです。
4/11(木) 62.00kg
4/12(金) 61.80kg
4/13(土) 61.90kg
4/14(日) 63.35kg
4/15(月) 62.35kg
4/16(火) 62.75kg
4/17(水) 63.20kg
フルマラソンを走っても体重は減らない?
結果を見るとフルマラソンを走っても大幅な体重減はありません。理由を考えてみましょう。
- フルマラソンの前にはエネルギーを多く摂取する
- フルマラソンの後は栄養のリカバリーをする
- フルマラソンでは体重が大きく減る程エネルギーを消費しない
フルマラソンの前にはエネルギーを多く摂取する
フルマラソンを完走するためには、理論上2,500Kcalのエネルギーが必要です。エネルギーが途中で切れると失速してしまうので、フルマラソンの数日前から前日は炭水化物多めの食事を摂り、身体の中にエネルギーを溜めます。一時的に体重も増えます。
フルマラソンの後は栄養のリカバリーをする
フルマラソンを走り切るとエネルギー(特に糖分)が枯渇状態になり、エネルギーを補給しないと筋肉が分解されてしまいます。使った筋肉を補修するためにも栄養補給は大事です。完走した自分へのご褒美も兼ねて、フルマラソンの後は多くのエネルギーを摂ります。
フルマラソンでは体重が大きく減る程エネルギーを消費しない
身体に溜めた糖分がほとんど枯渇しても400g程度しか減りません。脂肪は139gの減です。糖分は栄養をリカバリーすることも元に戻ります。フルマラソンを完走しても減る体重は意外と少ないのです。
まとめ
フルマラソンを完走しても大幅な体重減にはならないケースが多いです。フルマラソンを走るためには事前にエネルギーを溜めることが必用なので炭水化物を多めに摂ります。完走後は身体をリカバリーするために栄養・エネルギー補給をします。体重はプラスマイナスゼロになります。
フルマラソン1回で減る脂肪量は139gなので、それ程多くはありません。脂肪を減らしてゆくには、ゆっくりペースのジョギングをコツコツと継続しながら、軽い食事制限をするのが良いです。
しゅうぞう
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