ランニングを続けていると、「自分のとっているルーティンワークが正解なのか」と疑問に思うことが出てきますよね。特に水分補給について「自分の方法が最適だ」と自信をもって言える人は少ないでしょう。
それは水分や汗の量が、自分の目で見る機会が少ないからです。自分がどれだけ汗をかいて、自分がベストなパフォーマンスをするにはどれだけの水分量が必要か。それが分かるようになれば、より効率的な水分補給が可能になりますよ。
ここではランニング中の効率的な水分補給のためのタイミングは勿論、自分の発汗量、尿を検証します。
ランニングに適切な水分補給量とタイミング
1回の給水で100mlの給水を、20分毎のペースでとるようにしましょう。
腸が水分を吸収できる量は1回につき250ml、1時間に800mlが限度です。飲み過ぎるのも体の負担になりかねません。
そして、摂取した水分は60分〜90分で吸収、代謝が行われます。脳が喉の渇きを認識するときには脱水がはじまっているので、こまめに水分補給することが重要ですよ。
ランニング中は、水分は発汗だけでなく体内温度を低下させるためにも利用されます。よってパフォーマンスにも影響してくるはずです。
「100mlを20分毎」を実践して、体の負担にならない水分補給を心がけましょう。
ランニング中の水分補給に対する誤解
ランニング中の汗の量や体格、尿量など人によって体に必要な水分量は異なります。
とりあえず「水分補給をすればよい」というものではないことを理解しておきましょう。
- ランニング中の水分の取り過ぎは危険
- 初心者ランナーこそ水分摂取が過剰になる
- ランニング中の体調不良は全てが「脱水」ではない
1.ランニング中の水分の取り過ぎは危険
水分の取り過ぎによって低ナトリウム血症を引き起こす可能性があります。
上でも少し述べたように喉の渇きは、体の水分が失われてから遅れてやってきます。それによって喉の渇きを感じる前に水分補給を、と推奨されてきました。
この知識から意識して水分を取りすぎることによって、水分を取りすぎてしまいます。
そうなると血中のナトリウム濃度が低下してしまい低ナトリウム血症を引き起こす、という循環です。
2.初心者ランナーこそ水分摂取が過剰になる
初心者ランナーは水分補給が過剰になる傾向があります。とくに女性や体重が軽い人ほど注意が必要です。
初心者はペースがゆっくりであることから思っているほどに汗をかきません。特に冬のランニングは汗をかきにくいので給水に気を使い過ぎる必要はありません。
エリートランナーになると夏のレースで1時間に2ℓ近く発汗するといわれていますが、あくまでもエリートランナーの話。
適切な水分摂取には自分の汗の量を理解しておくことが必要になりますね。
3.ランニング中の体調不良は全てが「脱水」ではない
ランニング中に起こりやすい体調不良としては、低ナトリウム血症、低体温症、低血糖、高体温症などが考えられます。
どうしてもランニング中の体調不良は、「脱水」と考えがちですが、これだけ多くの原因が隠れているのです。少しでも疲労を感じ、足取りに違和感があったなら即座に中止し安静と栄養をとりましょう。
休養して体調が戻らないようなときには、病院を受診するという選択も必要ですよ。もしかすると他の病気が原因の可能性もあります。
水分補給には何が適しているか
水にお茶にスポーツ飲料。好みはもちろん、大会などではその場で提供されるものもあり、選択肢が多く迷いますよね。それぞれどのような体にどのような影響を与えるかみていきましょう。
- 水
- お茶
- スポーツ飲料
1.真水には塩飴を
真水の水分補給は塩飴などを一緒に摂取しましょう。
真水のみの水分補給は低ナトリウム血症を引き起こしやすくなるので危険です。コップ半量(100ml)に対して一個の塩飴の割合を目安にして塩分も摂取するようにしましょう。
自身でランニングする程度であれば飲み物も調整できますが、マラソン大会などでは真水を提供されることも多くあります。真水派の人は、ポケットに塩飴を忍ばせておきましょう。
2.お茶はカフェインを含んでいないものを
ルイボスティー、麦茶、そば茶などカフェインを含んでいないものを選びます。
カフェインを含む紅茶、緑茶、ウーロン茶には利尿作用があります。ですからお茶だけの水分補給は危険です。しかし、お茶にはメリットも多く体脂肪の低下、コレステロールの低下、抗酸化作用などがあげられます。ランニング中の水分補給とは別のタイミングで1日2~3杯であれば問題ありません。
お茶を水分補給で利用する際には、カフェインの入っていないものを調べて取り入れましょう。
3.スポーツ飲料はベストな選択
スポーツ飲料はベストな選択です。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといったものがバランスよく含まれています。
これらは、細胞の浸透圧調整や筋肉、神経細胞に働くためランニングには非常に重要な働きをすることになりますよ。汗をかくことでこれらの成分は体外に排出されてしまうので、不足することで体調不良を起こしたり、足がつったり、という現象が起きてしまいます。
よって、ほかのドリンクよりも低ナトリウム血症の予防に効果的だといわれています。
自分の発汗量と尿の様子で体の水分量を知る
普段から自分がランニング中にどれくらいの汗をかいているか理解していますか?これが分かればどれくらい水分摂取をすればよいかが明確です。
また、普段から尿の様子を観察しておくと視覚的に水分の過不足が分かってくるものです。
- 自分の発汗量の計測方法
- 尿の様子から水分の過不足を知る
1.自分の発汗量の計測方法
「ランニング前の体重-ランニング後の体重=水分損失量」 という簡単な式で分かります。
ランニング中に水分摂取した場合には次のようになります。
「ランニング前の体重-ランニング後の体重+運動中の水分摂取量=水分損失量」
衣類を着たままだと、発汗量も計測されてしまうので、裸で計測することが望ましいですね。
発汗量が計測できたところで、失った分は確実に飲まなければいけないか、というとそうではありません。適量を飲めていて、1日トータルで水分摂取ができれば、問題にならないことがほとんどです。
2.尿の様子から水分の過不足を知る
色が濃い尿の場合には水分が足りていません。逆に色が薄い尿の場合には水分過多です。
尿の色は体の水分量に直結しているため、自分の水分摂取が適切かのバロメータになりますよ。中には激しい運動のあとにコーラ色の尿が出る人もいるようです。
あまりに濃い色の尿、薄い色の尿が続くときには、これも病院受診をおすすめします。糖尿病や溶血性貧血などの病気が隠れている場合があります。
普段から自分の尿の様子を観察しておくと判断しやすくなります。
ランニング中効率的に水分補給をするには
ずぼらな私が実践している方法です。
- 小銭をポケットに忍ばせる。
- 公園などの水飲み場がある場所をコースに入れる。
- 大き目の運動公園を利用する。自販機も水飲み場も豊富。
適切な水分摂取の必要性、必要量は分かったものの、ペットボトルを持ち歩くのはランニングの時に邪魔になる。確かに走っていると、いくらペットボトルとはいえ結構な重量に感じるものです。
私もはじめはホルダーを付けてランニングしていたのですが、フォームやタイムを意識するようになるとないほうが絶対的に練習に集中できますよ。
まとめ
①原則1回の給水で100mlの給水を、20分毎のペース。これを基準に個々で調整するようにしましょう。
②初心者ランナーこそ水分過多に気を付けましょう。ランニング中の体調不良は脱水以外が原因の場合もあります。体調が回復しないようなら病院へ行きましょう。
③水分補給には電解質バランスに優れたスポーツ飲料が最適です。
④発汗量は「ランニング前の体重-ランニング後の体重=水分損失量」で算出できます。濃い尿の場合には水分摂取を心がけましょう。
⑤ランニング中にペットボトルを持ち歩くより、自販機や水飲み場のあるコースを選ぶ方が集中できますよ。
水分摂取はしないよりした方がいい、という考え方が一般的です。しかし水分過多になると胃腸障害だけでなく、低ナトリウム血症といった影響が体に現れます。自分に最適な水分量を知って、有意義なランニングを楽しんでくださいね。
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